僕の楽しい学園生活。③~エラーが発生しました。~
無事、友達が出来た僕。少し個性の強い友ばかりだけどそれでも少し楽しい学園生活になってきた。しかもなんと愛花に好きな人が出来て、尾行させられて…?訳わかんない毎日だけどやっぱりそれでもみんなで過ごす時間は楽しいな。
終焉の鐘が鳴り響く。神である二人の少女は横たわる。天使は首を切り離され、悪魔は腸をくり抜かれた。そして二人の背中にあったはずの未来へと羽ばたくための翼は無くなり寒い背中で二人身を寄せ静かに亡くなってしまった。悪魔は天使にこういったそうだ。「ごめん、天使、ごめんね、」そして天使はこう言った。「悪魔、泣かないで、謝らないで、ほら、「笑って。」」
「っ…。あ、はは、すごい汗、学校行く前にシャワー浴びようかな……。ごめ、ん、ごめんね。」
入学してからもうだいぶ経って、学園生活にも慣れてきた。気温もだいぶ蒸し暑くなってきて半袖の人がほとんどだ。その頃になるとガーラも前よりもだいぶ丸くなった気がして少し嬉しかった。でも一つ、気になることが増えた。まぁ、愛花の件もあるのだが今はそれよりもガーラとヴェールの件だ。二人の仲が前よりもさらに酷くなってる、気がする。どうしたものか、一度話し合いをさせようと試みたものの…
「ガ、ガーラ…」
「っ…」
でガーラが逃げて終わってしまった。どうしたものか…、
「僕ちゃん!おーはよ!」
「愛花、おはよ、最近チースとどうなの?」
…ない…
「んー?あー!実はねぇー?あとちょっとで告白されそうなのー!」
「え?まだ付き合ってなかったの?でもおめでとうじゃん!良かったねー」
それ…ろ…
「えへへ、ありがと!」
…れどこ…じゃ…い…
「そういえばチース君と愛花って接点あったっけ?僕全然気づかなかったよ?」
…く、
「実はね、幼なじみ、なんだよねー」
…やく、
「そうなの!?初耳だよ、」
早く!
「色々かっこいいしさぁ、ちょータイプってやつ!お出かけする時もリードしてくれてさぁー、」
「良かったね、応援してるよー?あ、今はそれどころじゃなかったのか、」
「?どうしたの、何かあった?」
「実は、かくかくしかじか。」
「ほぉほぉ…つまり二人の喧嘩を収めて仲直りさせたい。と?」
「そゆこと。」
「ふーむ、ガーラちゃん!よーくお聞き!喧嘩していい事もあるにはある、あるんだ、け、どー?」
「何。」
「ずっと喧嘩してても楽しくないよ。」
「っ、」
その瞬間確かに僕は見た。ガーラが一瞬だが涙目になったのだ。普段からは感じられないほど優しい愛花の声がガーラの耳に届いたからなのか?
「確かに喧嘩っていうのはお互いの本音がよく分かるからいい事もあるけどね、だけどね、ずっと喧嘩しててもお互い寂しいだけだよ。お互いに事情があるのはもちろん分かってるよ。でも自分に事情があるからって意地張ってたらきっといつか後悔するだけ。ね、それはきっとガーラちゃんが一番分かってるんじゃないかな、」
愛花の言った事には何故か十三歳とは思えないほどの説得力があった。ガーラもそれを思ったのか数滴の涙を流して呆然としていた。
「愛花、あんな言葉どこで覚えたの、?」
「んー?あはは、生きてたら色々あるのー、そう、色々ね。あ、そういえば今日チース君に呼ばれてるんだった!ちょっと行ってくるね!」
僕はここで初めて愛花の暗い顔を見た気がする。この子はどんな気持ちで十三年間を過ごしてきたのだろう。私まで、少し胸が苦しくなった。夕日も相まって彼女の影は十三歳の普段脳天気な少女とは思えないほど痛々しい影だった。
「…やっぱり。伝えなきゃ、あの子に。ちゃんと。もう後悔はしたくないから…。あの子には。笑って欲しい。」
あれからどれだけ時間が経ったのだろう。私達はいつから、いつからこうなってしまったのだろう。最初は小さな喧嘩にすぎなかった。いや、今思えば小さくなかったのかもしれないけれど、
「えっと、確かここだった…よね、チース君?」
「愛花ちゃん、来てくれてありがとう、まさか来てくれるなんて思わなかったな、まぁでも来るよね。「風紀委員」として「サジ」を始末しなきゃいけないもんね。知ってるよ。全部。君の事なら。」
「え…」
「たった数ヶ月だったけど、楽しかったよ、ここでさ、最後のお願いなんだけど、」
そうして「チース君」いや、「サジ君」は愛花がよく使っている鎌を自分の首元に回した。
「待って!やめて!お願いだから…」
「どうせこの世界にはもう僕の存在がバレちゃったんだ、どこに行ってももう退学という道しか残ってないんだよ。」
「あ…、あ…、」
「愛花ちゃん、もう、最初から、全部分かってたんでしょ?分かってて僕と一緒にいた、そうじゃない?」
「ちが…そ…私は何も…知らな…」
「愛花ちゃん、僕は君にお礼が言いたいんだ。」
「へ…、」
僕はね、昔愛花ちゃんに助けられた時から愛花ちゃんのことが大好きなんだ。自分もお腹がすいているのにも関わらず皆に自分のパンをあげてたよね。あれのおかげで僕は今日この瞬間まで生きてこれたんだ。だからどうせ退学する身なら、君に手を下されたい。最後に君の笑顔を見て退学したい。こんな事に巻き込んでで本当にごめん。もしかしたら君の命も、ごめんね。でもこれだけはちゃんと伝えたい。あの時から、僕は君の事が、いや、これは直接言いたいな、
「愛花ちゃん。僕は君の事が」
「っ…!」
「大好きだよ」
サジがそう言ったその瞬間、サジの首が飛んだ。そしてサジの頭を大切に抱えながら愛花は
「私も、私もサジ君のこと、大好きだよ、」
泣きながらそう言った。死体は首を切られても暫くは意識があるそう。その証拠にサジの顔はこれまでにないほど安らかで素敵な顔をしていた。
パシャ
スマホのシャッター音が小さく泣いた。これで何回目なのだろうか。早く世界に平和を取り戻さなくては。これ以上。これ以上繰り返してはならない。どうにかしなければ。はやく…はやく…!早く!
「……」
寝ぼけて起きたらそこは寮の部屋の中だった。あぁ、そうだ、思い出した。昨日愛花が心配で途中から追いかけて行ったら…、まぁ何とか愛花を部屋まで運ぶことは出来たけど…。愛花、大丈夫かな。そう思った瞬間だった。隣からボソッと聞こえた
「大丈夫。」
という声、その声と共に愛花はどこかへ消えてしまった。
「まだ、私には、まだやらなきゃいけないことがある。こんな所で、こんな所で躓いてる訳にはいかない。」
少女は歩いた。幸せのために。誰の幸せのために?兄?友人?そんなのは少女の建前なのかもしれない。これは少女自信が、少女のために…そして少女は扉を開ける。そこは風紀委員の活動教室。
「愛花、お疲れ様。」
「おやつ食べる?」
「いらない。」
「元気ないようで悪いけど、この後」
「分かってるよ。じゃー、さっさと片付けようか。」
少女達は幸せを掴むために今日も校則違反者を取り締まる。彼女らが何故全校生徒に恐れられているのか。それは彼女らに関わるとほぼ退学を意味するから。今日も今日とて酷い荒れようだ。少女は大きな鎌を持ち、次男はピストルを持つ。長男は遠距離スナイパーのようになり、美人…いや、人形は隙をついて刀で切りつける。生徒はその武器、武力が怖いのか、それもあるが一番は違う。彼女らの「特別な力」が怖いのだ。
「くっそ、風紀委員!なんでお前らがそこにいるんだよ!」
「「こんな事ならアイツの言うことなんて聞かなきゃ良かった!」」
「でしょ?」
「止まれ。」
「お兄ちゃんちょっと早すぎ、」
「後ろ見てないお前が悪い。」
「はっ、美人かなんだから知らねぇけど、そんな遠いとこでずっと留まってちゃ殺られても仕方ねぇよな…、あぶ、だぁ?」
「こら、赤子がそんな汚い言葉使っちゃダメでしょ?めっ、だよ」
「ごめんね、」
「くっそ、動かねぇ!そんなデタラメ通用してたまるかぁ!」
……
「そう。私達「普通」じゃないの」
少女達は校則違反者を取り締まりその場を後にした。
夕方頃に校内に鳴り響くのは美しい楽器の音色。どの音も綺麗で元気で美しい。だが一人だけ、たった一人だけ寂しげで儚げな音色を響かせていた。この音色で学校の皆は今日の終わりを実感する。夕日に相まって心が少し寂しくなるような、そんな感じがする。私はこの学校に来てからこの音を、音色をとても気に入っているんだ。今日の終わりを告げる音。まるで終焉の鐘のようだ。ある家族が言った。今日の晩御飯はどうしようか、という他愛もない事を。ある姉妹たちは話した。今日の出来事や、明日の予定。ある兄弟は逃げた。世界を救うために、世界の目を欺くために。ある双子は決めた。二人でこの世界を守ろうと。
「柚香、そろそろ時間が無くなってきたな。」
「そうだねノエル、今度こそ変えようね。」
「「平和な世界にするために。」」
そろそろ夏休みが始まる。夏休み、それは学生にとっては至福のひとときを過ごせると言っても過言では無い素晴らしい休みだ。
「ねぇねぇ!お泊まり会しよーよ!」
そんな馬鹿げたことを言い出したのは愛花だった。お泊まり会、だと?そんなの。
「やるしかないでしょ…!」
なーにをしているんだ…。課題も色々やることが沢山あるのに。でもまぁたまには息抜きも必要かな、と思いお泊まり会に参加することにした。まぁそれともう一つ理由はあるんだけど。
「僕ちゃん!ねぇ聞いてるー?」
「え?なんだって?」
「だーかーらー!僕ちゃんは好きな人いるの?って」
「す、好きな人!?えぇー?」
好きな人…、好きな人…?好きな人か……
「うーん、家族、かな?」
「うっそー!、いいじゃん!」
「それと……、」
「はいはい!俺は愛花の事が大好きだよ。」
「お兄ちゃんなんでいるの!女子会なんだけど!?出てってよ!」
泣きながら去っていく奏の背中はとても小さく寂しげに見えた。
「あ、あのぉ、さっきから思ってたんだけど、私ここにいていい感じなの?」
「いいよいいよー!ヴェールちゃんもお友達なんだから!」
「……寝る。」
「あ、ちょガーラもう寝るの?」
「僕ちゃん、しー、」
「あ、ご、ごめん。」
もう一つの理由はこれ、ガーラとヴェールの仲直りが目的だ。二人がまた仲良くしてくれたら僕らとしては嬉しい限りなんだけど…。
ここから数日間色々出かけたり楽しい夏休みを過ごした。数日経ったある日流石に長居はいけない、とガーラとヴェールは自宅に戻ることになった。ガーラは僕に話したいこと、見せたいことがあるからついてこい。と言い三人で二人の家に行くことになった。
「あーあ、僕ちゃん達行っちゃった…。ねぇサジ君、私どうしたらいいのかなぁ…。僕ちゃん帰ってきたら何しようかなぁ、どうしよう。あはは、必死に頑張ったんだけど、ごめ、ごめん、僕ちゃん。」
そう言って二人の涙が零れ落ちる。
そうしてまた、踏切の音に紛れてシャッター音が鳴った。隣の彼女は叫び悲しんだ。
「また、まただ。ごめん。」
何が起こったのか。僕には理解が出来なかった。いや、実際には理解したくなかった。三人で他愛もない会話をしようとしただけなんだ、そしたらヴェールが突然口を開いた。
「あんたは昔からそうだよね、人のこと気にせずガンガン踏み込んで踏みにじって自分の意見ばっかり、そういうのもう飽き飽きしてんの!自分の意見は言うくせに、でも自分の思ってること言わない!自分の感情表に出さないあんたが大嫌いなんだよ!ねぇ!?」
「うるさい、うるさいうるさいうるさいよ!私が今までどんな気持ちで、どんな思いで……!」
「ちょ、二人とも、」
「だいたいね、あんた、偉そうなんだよいっつもいっつも、私は誰よりも辛い思いしてきましたー!って!?ふざけんじゃないわよ!昔からずーっと皆皆、オペラオペラって!あんた知らないでしょ?私が色んなやつに嫌がらせされてたの、」
「っ…、あんたって言わないでよ……だって……ヴェールだって!ヴェールだっていっつも冷たかったじぁゃん!そんなの、そんなの知ってたよぉ!!だから私、辛い思いしないようにってぇ!言ったもん!」
「二人共!ほんとに落ち着いて!ね、深呼吸しよ!」
「あんたなんて、もう知らない!来世は別々!もう今後、絶ッ対会わないから!」
「あっ…、ごめ、ショコラ!待って!」
「え、?ショコラ……?嘘、待ってオペラ!」
これは神の気まぐれなのか、それとも定められた運命なのか、怒って先に行ってしまったヴェールを追いかけたガーラの横に電車が現れた。途端に辺りがスローモーションに見え、自分の重力も重くなった気がした。ガーラは慌てるでも怯えるでもなく、ただこちらを見て、微笑んでいた。そして僕らに向かって、
「笑って」
確かにこう言った。
ヴェールはすぐさまガーラに駆け寄り叫び悲しんだ。
「オペラ…?嘘だよね、また?またなの?また私を置いていくの?ねぇ、返事してよ。私、ちゃんと笑ってたよ?皆とも仲良くしたし、楽しくしてたよ?ねぇ、起きてよ…!」
彼女の悲痛な叫びは耳の奥深くに残ってしまった。
「はぁ、今夏休みだよー?こんな時まで委員会なの?」
「こんな時って…、だいたいお前、仕事サボりすぎなんだよこのグーダラサボり魔、ただでさえこっちは二人いなくなって大変だってのに…。」
「いいじゃーんべつにー?生徒会なんて、何もすることないでしょ、ねぇ?ゆきちゃん?香童ちゃん?」
「風紀委員長。母校からお仕事だよ。検討を祈ってる。これ終わったらせいぜい休むといいよ。じゃ、」
「あちゃー、サボりすぎたか…?それに、次はあたしの番、ってか。ふふ、あはははは!はぁ……。最後にひと仕事でも、してこようかな。」
「ごめんね、柚香ちゃん、ノエル君、オペラちゃん、ショコラちゃん。ちょっくら。行ってくるよ。」
終焉の金が鳴った。終わりはもうすぐそこ。天使と悪魔の亡骸を目の前に、彼は何をするのか。それは、彼は世界のために、彼女らのために動き出す。かつて笑いあっていた彼女らを世界を取り戻すために。
「オペラ…ショコラ…。ごめんね。僕二人を、二人を絶対に救うからね。次こそはどんな敵からも、味方からも、世界からも。キミらからも。」
ここまで読んで頂きありがとうございました!またまた少し話がコロコロ変わったりややこしくなったりしましたね…。これからまだ僕君の大変なことはたっくさん続くので良ければ見届けてあげてください!
前回も書かせて頂いたのですがX(旧Twitter)を開設させていただきました!そこに新たに風紀委員の四人とガーラとヴェール、合計六人描かせていただいたので良ければ見てみてくださいね!絵があまり上手じゃないのでキャラデザだけでもお楽しみください。それでは次回もよろしくお願いします!