笑とは。
亀裂の入る二人、そして巻き込まれる世界。この世界は過酷だ。
「は…?」
ローズが耳にしたのはとても信じ難い。たった四文字の言葉。たった四文字。その四文字でも彼女は今まで何年も何年も聞いた言葉より、そしてこれから何千年も聞く言葉よりも深く心に突き刺さった。
「は、え…?今。今なんて?」
「ん?だからー、っぷ」
「ごめんローズ、これは僕から説明させて欲しい。」
「死ぬとか…、冗談だよ、ね、?だ、だってしん、だら。全部、きえて…。」
「ローズ、お前は少しリリーに似てるが。僕にも似て賢い子だ。よく聞いてくれ。そんな難しい話じゃないさ、」
「待って?それ私の事馬鹿って言ってる?喧嘩売ってる?」
「おぉ、賢いじゃん。」
「おーおー?ぶつぞ?ぶってやるぞ?」
「あ、あの、あ、ごめん、なさい。ちゃんと。説明して、欲しい。です、」
「はは、ローズ。ごめんな、まず簡単に説明すると、僕達はこの世界の生贄になるんだ。」
「生贄、?」
「あ!ほら、そこら辺の村とかで聞いたことない?」
「ある…けど。」
「そうだ、その生贄だよ。ローズには僕らがこの世界の創造神直々につくられた神だって事は話したよね?覚えてる?はは、いい子だ。僕らの力は民とは違う。この世界で一番大きな力を持っている。それは簡単に世界を滅ぼすことが出来るような、とても大きな力だ。やろうと思えばなんだってできる、その証拠にローズは今ここにいるだろう?普通の民の平均寿命は数千年程だ。でもローズは僕らの力で何万年も若さを保っている。そんな力を神に捧げるんだ。きっと平和だって戻ってくる、それに僕らの時みたいに。何か神からの贈り物があるかもしれない。ただ欠点があるとするならば。それは二人ではないと最大の力が出せないんだ。きっとローズは僕ら二人共が、せめて一人でも生きて欲しい、皆の上に立って世界を導いて欲しい、そう思ったんじゃないかな。僕ら片方ではなく、二人で生贄になるのは、二人でないといけないから。皆には申し訳ないと思ってるよ、でも。でもきっと皆なら、ローズなら世界を良いように導いてくれるって信じてる。それに、ほら。申し訳ないけどローズも数千年したら死んじゃう事になるからさ、また数千年後に黄泉の国?ってやつで昔みたいに三人で一緒に遊ぼうよ、僕ら待ってるからさ、僕らは未来に託すことにするよ。」
「随分長々とはなしたねぇー?あははっ、さっすが勤勉君。」
「うるさいなぁあんぽんたん…。」
(あ、二人は死ぬんだ。確実に。私が止める隙もない。どうにか。どうにかできないのか、数千年、一人で?二人がいないと、私。私は…。)
「ローーズ!ほら!そんな顔しなーいの!」
「ふぇ、ほっへはひゃわわいへ…」
「あはは!なんてー?」
「っはぁ、だ、だから。急にほっぺ挟まないで…」
「えへへ、ほら、ローズこっち見て。」
「なに…?」
「ほら、「笑って」?」
「んぇ、や、やめてぇ…」
「へへ、ほら。かわちぃね、」
そう言ってローズの顔から指をのけて、リリーはローズに優しくハグをした。
「っ…。」
「あー!やだぁ泣かないでー。」
「あーあ、リリーが泣かせたー。」
「な、泣かせてない!嬉し泣きだから!」
「やっぱりやだよぉ…。二人共。行かないでぇ…。」
二人は揃ってきょとん、という顔をして、そして揃ってニヤッと照れくさそうに微笑んだ。
「あらぁ、ローズが泣いたのっていつぶりかな?」
「うーん?こっっんなちっちゃい時以来かな?」
「懐かしいねぇ。ねぇローズ。大丈夫だよ。少し聞いて欲しいな、」
そうしてリリーは穏やかな口調てローズへと話しかける。
「あのね、これから私達の居なくなったこの世界はちょーっと大変な事になるかもしれない。でもね本当に大丈夫だから!、実は私達ちょっとした小細工?をしててね?私達が居なくなったあと、私達の意志を誰かに継いでもらおうってことになって。この世界に何年かに一度だけ、世界に一人私達の意志を継ぐ者が産まれるの。そこで!一つだけ頼み事。その子を守って欲しいの。お願いできるかな?えへへ、ありがとね。その子には少し辛い思いをさせてしまうけど、でもきっと世界を良い方向へと導いてくれるはず。そうしたらローズは寂しくないでしょ?まぁ本当に世界に一人だけなんだけどね。一人産まれたらその子が亡くなるまで次の子は現れないの。亡くなったら入れ替わりのようにまた次の子か現れる。そんな感じかなぁ。」
「一個の説明、なんか長くないか?」
「え?そうかなぁ。イースと同じくらいじゃない?」
「これが、お願い?でも。私。そんなのできるわけ…。だって二人がいないと、」
「あらあら、ローズ可愛い顔が台無しだよー?ねぇ、ローズ。」
「なぁに?」
「泣きたい時には沢山泣けばいい。でもその後は沢山笑って?笑ってたら幸せは寄ってくるから。笑っていればローズはきっと幸せになれるよ。」
「そんな、笑えって、」
「これ!私の名言ねー!ちゃんと覚えとくんだよ!」
「めんどくさいからとりあえずうんって言っとけ、めんどくさいから。」
「めんどくさいってなんだよ!」
「っふ、うふふ、」
泣きながら微笑んだローズを二人はローズに優しく別れのハグをした。
「決行は、明日!がんばるぞー!」
「え?明日??早っ!?いや、もうちょっとちゃんと準備しなきゃでな??」
「え?そうなの?」
「そうだな、何日後にしよう。今日は月の日だろ?うーん。」
「月の日、火の日、水の日、木の日、金の日…これだけあれば十分じゃない?今日から準備しよ!」
「確かにそれだけあれば十分か…?」
ローズはとても寂しそうな表情を浮かべ、そして二人は……。
「始まりの鐘よ、鳴り響きなさい。新しい今日を、新しい朝を迎えるために、新しい明日を迎えるために。皆の想いを一つに紡ぐ。「「イース」「リリー」の名にかけ、我らの想いを貴方様に捧げましょう。未来に希望を、未来に栄光を。さぁ、
登校の時間ですよ。」
登校?それは一日の始まりのことを指すことばのようだ。
「「ローズ、ほら、笑って。よろしくね。」」
ここまで読んで頂きありがとうございます。そしてあけましておめでとうございます。投稿があいてしまいましたが……さて、世界とは残酷ですね、皆様の一年が良いものになるように祈っております。
また次回もどうぞご覧下さい




