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罰ゲーム

 心は、ずっとキョロキョロと目や顔を動かし、行動や言動について指摘されると驚いたり、慌ててパニックになったりする不思議な子。

 今日も教室で、沢城達のグループにちょっかいをかけられている。


「相手チームにパスしちゃってどうしたの?」


 ニヤニヤ、クスクス。


「え、あ、ごめんな、さい」


 俯いて、困った表情。


「指示してたのに、全然聞いてくんないから寂しかったじゃーん」

「あ……あ、その、その」


 面白がっているんだろう、心がああやってキョロキョロして焦っているのが可笑しくてつい弄ってしまう。

 分からなくもない、けどあそこまで言い寄る必要もない。


「いっぱいいっぱいだったんだよね? 運動系苦手そうだし、仕方ないじゃん」


 爽やかにフォローしているのは例のイケメン、沢城だ。

 顔が良い男は女に対して何か特殊能力でもあるのか?


「あ……う」


 ほのかに頬を赤らめて、照れた様子で俯いている。

 またその反応を面白がって、クスクス笑う。

 俺は……地味組。

 誰の的にもならず、大人しい友人達とゲームの話やテストの話、彼女持ちを妬んでいればいい。

 沢城達に目をつけられるような行為はしたくない。

 気になるのは、沢城は一体何がしたいのか?

 グループでちょっかいかけては笑い者にして、後からフォローして気があるように優しくする。

 最初は単に陽キャの優しい奴かな、と思っていた。

 心は素直で単純だ。

 ああやって優しくされたら、嬉しいだろう。



 放課後、心は掃除当番で中庭にいる。

 俺は教室の掃除当番。

 終わり次第帰りなんだけど、毎日掃除しているから大して時間はかからない。

 中庭の方がかかるだろう、学校の外でゆっくり待っていようかな……。

 掃除を終えた沢城が他の男子2人と机を囲んだ。


「もう1人欲しくない?」

「まぁね、3人だとすぐ終わるし」


 トランプを取り出して突然ゲーム。

 またド定番の物を……。


「あっ、ちょっとちょっと春斗君、一緒にやんない?」


 ほとんど喋ったことないのに、名前で呼ばれてしまう。


「え、あー」


 周りにいつも一緒にいる友人達がいない。

 こういう時に限って掃除当番がバラバラなのは最悪だ。


「遠慮しないで、ほらほら座って」


 流されるまま座らされる。

 強引過ぎる、これが陽キャの力か。


「ま、簡単にババ抜きとかどう? そんで罰ゲームあり」

「おっビリは何すんの?」


 1人が悪戯に笑う。


「負けたら告白」


 どこか楽しそうな「えぇー」に、俺は引き攣りながらなんとか笑顔を作る。

 やばい、とんでもないのに巻き込まれている……。

 誰かに告白とか、そんなの嫌だ。

 どうにかして逃げないと……。


「そんで、告白相手は?」


 沢城はニヤニヤと訊く。


「もちろん、あのキョロキョロしてるチビ女。面白そうじゃん」

 

 え? はぁ?

 一瞬にして逃げ道を塞がれてしまった……――。

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