消えない懺悔
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大学構内の食堂。
友人達と昼食中のことだった。
昼といっても、もう午後2時過ぎで、食堂にいるのは片手で数えられる程度。
「なぁーまだ時間あるし、ちょっとババ抜きしない?」
「またアナログなもんを、いいじゃん。なんか賭けよ」
「罰ゲームの方がスリルあるだろ、な?」
「え」
やるだろ、と勝手にカードが配られた。
罰ゲーム……。
「せっかくだしさ罰ゲームも昔っぽいことしよう」
「そうだなぁー」
友人は食堂を見回す。
肌がピリピリ、と張り詰めるような感覚がした。
嫌にも一度染みついてしまったあの光景が、浮かび上がる。
「柳にしよう、ビリは柳に告白」
床を削るような、イスの脚が擦れる音を立てた。
友人達の視線が一気に俺へ。
気づけば起立をしている、反射的な行動をした俺自身に戸惑う。
「……他の罰ゲームに、した方がよくない? そんなの、なんかだっせぇし」
取り繕うように提案するが、友人達は怪訝な顔。
「子供じゃないんだし、柳なんか特に変わってるから本気で捉えるわけないって」
なんて幼稚でくだらない言い訳だろう。
子供だからって許されるものでもない。
柳さんは奥のテーブルで黙々と読書に集中している。
黒髪を後ろに結んで、ラウンド型のメガネ。
落ち着いた色の服装、絶対に入ってくるなとパーソナルスペースを広範囲に張っている。
大学に在籍して一度も関わったことがない、知っていることといえば、新入生代表として挨拶していた程度。
「……もし本気で捉えたらどうすんの」
「はぁ? そりゃ罰ゲームでしたぁ、って言えばいいじゃん」
友人達はただ軽く笑っている。
軽率な発言を聞いた瞬間、クズと書かれたコピー用紙を顔面に貼りつけられた集団に見えた。
「っざけんなよ」
予想以上に喉が重く、低くなる。
クズ集団がお互い目を合わせて、重々しい空気に戸惑っていた。
やってしまった……別に、こんな空気にさせたかったわけじゃない。
「ごめん、やらない」
居心地悪さにグループを抜け出す。
服を皴いっぱいに手繰り寄せる、心臓が痛いぐらい動く。
焦りとか、後悔とか、怖いとか、ぐちゃぐちゃで、吐きそう……――。