魔皇戦第六回戦〜介入〜
少し遅れました!最新話更新です!
竜(?)の出現で揺れる円形広場。
そのざわめきは、救護室で安静にしていたバルトラ、アルマ、レージの三人にも伝わっていた。
「おいおい……。ありゃ竜の姿そっくりだ。なにが起こってやがる」
バルトラとて竜の伝承は知っている。
かつてこのゲニオン大陸を、圧倒的な力で支配していた絶対的な強者。
その力の前に人類は絶望と恐怖を味わっていた。
しかし、最終的には大地の創造者である神が再臨して、竜を奈落へと叩き落としたと伝わっている。
その怖さを、多くの人物は幼い頃から悪い事をすれば竜の災いとなって帰ってくる、というように言われてきたため、あまり物怖じしないバルトラでさえ、思わず息を呑んでしまう。
「あぁ、竜ね。ネクレアってばやるわね……」
「りゅ、竜だと……!やっば、かっこいい!」
だが、他の二人は明らかに反応が違っていた。
「おいおい、お前らあれ見てビビんねぇのかよ?魔術学院なんて俺たちよりも怖いんじゃねぇのか」
時折映る観客の様子を見ると、やはり一層恐怖に怯えていたのは魔術学院の生徒達だった。
「それはそうでしょう。でも、あれはネクレアが作った幻影よ。魔力で作ってるのなんて、よく見ればすぐ分かるわ」
魔力で作った幻影。
そうアルマに言われ、バルトラはもう一度ネクレアの背後にいる竜を注視する。
すると、竜の体全体にネクレアと同じ魔力が流れているのが視えてきた。
(魔力が同じ……。本当に作り出してんだな)
「みたいだな……。だからお前はビビんなかったのか」
「そういうこと」
(ま、私としては神や竜なんて、もう信じちゃいないけど)
「んで?お前はどうなんだよ。レージ・ロスト」
「あっ、俺?俺はー……。あんまり怖いイメージがない、からかな?うちじゃあんまり言われてこなかったからなぁ」
(本当は竜とか神とかにワクワクしてただけだけだけど。そんなこと言ったらそれこそ変質者だろうし)
「ふぅん。なるほどな」
竜の伝承は、三都市の人間達は様々な媒体で伝えられている。
ある時は竜と同じように、人間に恐怖をもたらすものたちを倒す理由として、またある時は神の絶対性を示す際のエピソードとして。
「あ、話は変わるんだけど_____
__________
竜を模した魔力の集合体によって、セシリアは萎縮してしまい、ネクレアの雷爪がクリティカルヒット。
ネクレアの勝利が決まった。
「勝ったな……。ってことは今のポイントは……」
「魔導学園、魔術学院、魔法学校が並んでるわ」
「おぉ!ってことは……!」
「「「次で優勝が決まる」」」
いよいよ、第一回魔皇戦の優勝校が決まる。
〜円形広場〜
第五回戦終了から30分後。
先ほどの恐怖が冷めない中、イグナチアが落ち着いた声色で観客達に語りかける。
『いやー、先ほどのあれは私もめちゃめちゃビビっちゃっいましたけど、どうもネクレア選手が作り出した幻想だったようです。ほんとに良かった……。だから皆さんも落ち着いてくださいね』
「はぁ、幻想なのか。良かった……」
「こ、怖かった……」
ひとまず本当の竜ではないことが分かった観客達から、大きな安堵の声が上がる。
だがいまいち盛り上がらない会場を盛り上げようと、イグナチアは高らかに叫んだ。
『さぁさぁ!!気を取り直して第六回戦いくぞぉぉ!!五回戦でポイントは三校とも並んだ!これで勝負がきまるぜい!みんな盛り上がれぃ!!!』
うわぁぁ!!
今までよりは盛り上がりが少ないように感じたが、先ほどまでのどんよりとした雰囲気よりは大違いだった。
『よぉし!まずは魔術学院の選手だ!
代表決めの選考会では2位!そして優秀な座学!かなりの好成績を納める彼の名は!!
ケネス・ブラスカだぁぁ!!!』
うぉぉぉ!!
「ケネス……!頑張れ!」
ケネスへの声援に乗じて、ルームメイトであるマルコも、控え室で声援を送っていた。
「やれやれ。期待されるのは辛いよ」
『お次はぁ!魔法学校からの登場だあ!!
クラスのみんなからの相性はお母さん!その面倒見の良さについ家にいるような感覚に陥ってしまう人続出だあ!
彼女の名は!!シェヘラ・ザルディンだぁ!』
「きゃぁぁ!姐さん頑張ってぇー!!」
「応援してますわ〜!!」
シェヘラの声援は、女子はもちろんだが、まさかの男子からも黄色い声援が飛んでいる。
その声援の様子に、シェヘラは驚かされながらも声援に応えようと天に腕を掲げた。
「まったく、女子みたいな声援を送るんじゃないよ男子」
『くぅぅー!男気あるおねぇさんだ!!
さぁ最後の選手の紹介だぁ!!
魔導学園でいちばんの力持ち!超重い得物をブンブンと振り回すその様はまさにベヒーモスのよう!
しかぁし!性格はハイテンションな激ヤバ野郎だぁ!
彼の名は!ヴァイス・サディアスだぁぁ!!』
「うひょぉぉ!俺っち参戦だよ〜!みんなよろしくぅ!!」
う、うぉぉぉぉ!!!!
解説の例に漏れないハイテンションな登場ぶりに観客達は一瞬ついていけなくなるが、なんとかそのテンションについていく。
「いいねぇいいねぇ〜。頑張っちゃうよ俺っち!」
かくして、第六回戦を戦うメンバーが揃った。
「ヴァイス。あたしゃあんたみたいな元気な子は好きだよ?」
「おぉ!嬉しいねぇ!俺っち張り切っちゃうぜい!」
「楽しくなりそうな相手がいっぱいだね」
ヴァイスはインベントリから剣でもなく槍でもない巨大なツルハシを取り出し、ケネスは杖を構え、シェヘラはいつでも動けるようにステップを踏む。
『ラストを飾るにふさわしい試合を頼むぜい!
それじゃあ……試合!開始!!』
試合開始と同時に動いたのはシェヘラ。
先ほどのようなことをやられては負ける恐れが高いため、ケネスを真っ先に狙いに向かう。
対するケネスも、狙われることが分かっていたかのように万全の態勢を取っていた。
しかし、そこに第三者の大きな声と共に、膨大な質量を持ったなにかが向かってくる。
「そぉぉぉい!!!」
その声の主はヴァイス。
自身の持つ巨大なツルハシ、命を吹き込まれし槌を、シェヘラとケネスに向かってぶん投げていた。
「早速かい!」
「紹介通りの怪力だねっ!!」
投げられた命を吹き込まれし槌を前に、本来なら二人は避けるか受け止めるかの選択肢を選ぶことができるが、その暴力的なまでの質量に避ける以外を選ぶことはできない。
幸いにもその軌道は直線的であり、どの方向にでも避けられたため、二人はそれぞれ右と左に避けた。
だが、その瞬間を待っていたかのように、ヴァイスはニヤリとして叫んだ。
「魔導解放ぅ!!」
その瞬間、命を吹き込まれし槌に青い線が走り、急激にその軌道を変えた。
「「!!!」」
「ふっふっーん。俺っちは最初から全力だぜぇぇ!!」
その標的は___ケネス。
「僕ですかっ!!ちっ! "加速"!」
自身の脚力を魔力で底上げする加速を使い、命を吹き込まれし槌から逃げていく。
それを見たヴァイスは、さらに表情を嬉々とさせた。
「おぉ!早くなった!まだまだ俺っちもやるよぉ!二式解放ぅ!」
ヴァイスの叫びと共に、命を吹き込まれし槌の青いラインの輝きがさらに強まり、さらにスピードが上がった。
そのスピードは加速を凌ぐ速さで追いつき、ケネスを捉えた。
「まじですかっ!」
(まずいっ!!)
暴力的なまでの重さと超スピード。
それを受け止めてしまえば、自分の肉体がどうなるかわからない。
決死の覚悟で強靭を使って身を固めようとしたその時。
「こっちを見てないのはいけないねぇ!!」
シェヘラがヴァイスの上方から、爆炎を纏った剣を振り下ろさんとしていた。
「おっと!」
(こりゃやばい___)
ヴァイスはケネスに視線を集中させており、シェヘラが向かって来ていることには気づいていなかった。
「てぇぇい!!!」
寸前で命を吹き込まれし槌に回していた魔力を自身の肉体の強化に回し、なんとか灼熱の剣の一太刀を受け止める。
ギリギリと膠着が続く中、命を吹き込まれし槌が今度はシェヘラへと方向を変えて向かってくる。
しかし先ほどまでのスピードには遠く及ばず、シェヘラは悠々とその攻撃を避けて距離を取った。
「俺っち今のは焦っちゃったわー!にしても今の剣何?魔導は習ってないんでしょー?」
「ふん。それはまだ教えられないねぇ」
「危なかったー。助けてもらってありがとうございます」
三人で言い合いながらも息を吸い、体勢を立て直す。
「次が勝負だね?やってやんよ!」
「次は当てるぞぉー!」
「怖い人たちだよ全く」
一瞬の間の後、三人が一斉に駆け出した。
その時。
「ハァーーーイ!皆さんこんにちハ!」
広場に不気味な声が響き渡った。
いかがでしたか?
まだまだ分からないことは多いと思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
ぜひいいねやブクマ、よろしくお願いします!




