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マギアス〜魔を求めるモノ〜   作者: ピロシキまん
エピソードⅢ〜三勇士、邂逅す〜
46/132

魔皇戦第二回戦〜混沌〜

お待たせしました!二回戦決着です。

 

 〜魔法学校 控え室〜


 開始早々リカルドって奴が倒された頃。

 俺は控え室で、みんなと今後について話し合っていた。


「みんなどーする??今の試合は2位以上は確定したけど、できれば連続で一位を取りたいよな〜」


 まぁミディなら一位を取ってしまう気はするけど、仮にもさっき最下位だったからなぁ。


「うぅ……。ごめんなんだなみんな……。おらが不甲斐ないばっかりに」

「何言ってんだミュートン。あの勝負はどっちが勝ってもおかしくなかったぞ」


 治療を受けて戻ってきたミュートンだけど、案の定すごい凹んでたから俺たちで励ました。


 けど俺が言ってることは本当で、クリスって奴との勝負は本当にどっちが勝つか分かんなかった。あの時の基礎魔法が押し合いに勝ててたら、間違いなくミュートンは勝ってただろうからな。


「そうだよミュートン。あんたは頑張ったんだ。その悔しさは次に活かせばいいのさ」

「うぅっ……。あ"り"がどゔ……!シェヘラ」

「うんうん。良いってことよ!」


 こちらの面倒見がいい姉貴分な彼女は、シェヘラ・ザルディン。

 最初に代表で会った時は三白眼で真紅の髪だったから、パッと見高圧的かなーと思ったけど、話していくと全然違ったね。

 世話焼きだしフォローもうまい。特にミュートンみたいな責任感を感じちゃう子のケアはお手の物だ。

 最近はシェヘラ姐さんって呼んじゃってるよ。

 当の本人は恥ずかしそうだけど。


「そ、それで、次の出場は、ど、どうしますか?」

「そうだった。んー……、シェヘラ姐さんはなるべく最後らへんに出て欲しいし、ラルファスは4番目が良いって言ってどっか行っちゃったし……セシリアちゃん出る??」

「え、えっと……私、ですか……?」

「うん」


 こっちの少ししどろもどろな彼女は、セシリア・フラクトル。

 全体的にちっこい白髪の子だ。


「も、もうちょっと心構えの時間が欲しいです……」

「ん。分かった」


 これでも大分話せるようになった状態だ。最初に会った時なんて何言ってるか分かんなかったもん。


「レージ。なんであたいは最後らへんに出て欲しいんだい?」

「ん?だってシェヘラ姐さんギリギリの状況になると燃えるタイプでしょ?」


 俺の分析じゃあ、姐さん的ポジは逆境に燃えるタイプだと決まってるからな!


「はぁ……まぁ別にいいや。じゃああたいが最後に出るよ」

「オッケー。決まりだね!」


 なんか反応が違ったけど流石の分析力!

「じゃあその一個前がセシリアちゃんだね」

「は、はい!が、が、が、頑張りましゅ!」


 あ、決めない方が良かったかもなぁ……。



 〜円形広場〜


 同刻。


 第二回戦が絶賛開催中の円形広場では、今まさにニコルとミディがぶつかり合おうとしていた。


 ニコルは剣を構え、ミディはファイアを掌に出現させ戦闘態勢を取る中、ニコルは構えていた剣を下ろし、尋ねる。


「少し、聞いても良いですか?」

「……内容による」

「そこまで重要なことじゃないですよ。さっきリカルド君を倒した時のあの速度はどーやって出したんですか?」


『むむむ……!ニコル選手が構えた剣を下ろして何か話し始めたぞぉぉ!!なんだなんだぁ!?』



 このピリついた空気の中、ニコルは相手の力の正体を探りにかかった。

 普通であればこんな賭けに出るようなことはしない。


 だが、ニコルは感じていた。


(この人は純粋に戦いを楽しみに来てる。バルトラに似てるんだよなぁ。この手の人たちはあまり周りの雰囲気に流されないし、不意打ちなんてことはしないタイプだから)


 彼があえてそう思わせているだけなのかも知れないが、同じ気配がする人間を間近でみてきた故の直感だった。

 すると予想通り、ミディは楽しそうに話し始めた。


「なんだよ。そんなことか。あれは強化で俺の脚力を上げて近づいただけだ。あそこで心魂魔法(マギアス・ソウル)なんて使いたくないからな」

「……なるほど。ありがとうございます」

「おう!ほんじゃあやろうぜ!」


(あの口ぶりからして……当たり前のことをやったような感じだったな。ということはあの速さはデフォルトか……。これは大変になりそうだね!)



 2人は再び態勢を戻し、再び円形広場にピンとした空気が張り詰める。


「先手は僕から行きますね」

「いつでもいーぞ!」

「じゃあ遠慮なく……ふっ!!」


 ニコルが力強く大地を蹴り、剣を振り抜く。

「良いねぇ!」



 一閃。


 相手を真っ二つにせんとした軌跡は、空を切る。


「流石に当たらないですよね。じゃあ次っ!」


 振り抜いた剣をすぐに持ち直し、さらに一歩。

 ミディが空中にいる間に間を詰める。


(迷いが無ぇな!)

 地に足が付いていないと自由な行動が制限されるため、咄嗟にファイアをぶつけて威力を相殺しようとする。

 しかし___


「はぁぁ!!」


 その剣はファイアを切り裂き、その先にあるミディの体にヒットした。


「ぐっ……!」


 鈍器のような痛みを受けミディは真横に飛ばされるが、直接壁にぶつかることなく止まっていた。


「….…俺の上半身と下半身がおさらばしてないのはなんでだ?」

「流石に体を断つレベルにまで研磨してませんよ。僕が殺人者になるじゃないですか」


 2人でそう言い合うが、心の内では今の攻撃を冷静に分析していた。


(今のは多分……理解の想起が遅かったな……。それか魔力量を多めに含めた方がいいか……?)

(僕の攻撃はクリーンヒット。もっと痛がって欲しかったんだけどなぁ)


「……ごちゃごちゃ考えてもわかんねーからやるか。


 真名解放」


 そう唱えた瞬間、広場の空気が一瞬で変わる。

 どんよりとした力の渦が、急に漂い始めたのだ。


『こ、これはぁぁ!ミディ選手から膨大な魔力が放出されているぞぉぉ!!』


「これが本当の力ですか……。僕も頑張らないとな」


 真名解放。その言葉を口にした瞬間に溢れ出た尋常ではない魔力に、ニコルの身体は冷や汗を流していた。


(すごい魔力量だ……。怖さすら感じるよ)


 しかし、体と心は違い、何故かワクワクしていた。

 これほどの相手にどれだけ自身の力が通じるのだろうかと。


(僕もバルトラの影響を受けちゃったかな?)


「じゃあ僕も頑張ります。魔力伝導。二式解放」


 鈍い輝きを放っていた鉛色の刀身は輝きを増し、純白にも似た銀色の刀身へと変化を遂げる。


 その変化は、ミディの心を揺り動かした。


「くぅぅ!かっこいいじゃねぇか!」



「いえいえ。じゃあ先に行かせてもらいますね」


 剣を構え、ニコルは()()()()振り抜いた。


「なんだ……?あそこで振り回しても何も……!!!!」


 しかし、()()()()()()()()()()



「!!!!」

(取った……!)



 ニコルの魔導機、金剛刀は魔導銀とアダマンタイトの合金で作られた剣。

 魔力を伝えることによって刀身が分裂。魔力を鎖として繋ぎ、遠距離で攻撃できるようになる。

 さらに二式解放は刀身が銀に変化し、更に細分化され手数が増える。

 また金剛刀は元の形状に戻すことも自由自在であり、それによって奇襲をしかけたのである。


 ずっと接近戦を続け、近距離戦しか無いと覚えさせた上での完全な奇襲。


 だが、ミディは()()()()()


「きたぁぁ!!!」


 その瞬間、空気が唸るほどの魔力がさらに増加し、届いたはずの刃が逸らされる。


「くっ!」

(なんて魔力量だ……。人間が持つレベルじゃない……!)


「次は俺だぁぁ!!!」


 まずい。


 そう感じた瞬間に、ミディは()()()()いた。




「ブラスト」



 膨大な魔力量を内包したブラストが、ニコルに着弾する。


 ドッゴォォォォォン!



 ブラストの強烈な余波が、円形広場に轟く。


「きゃぁぁぁーー!」「うわぁぁぁーー!」


『くぉぉぉ!!これもまた強烈な技が……!!勝負はどうなったんでしょうかぁぁあ!』





「い、一体どうなったんだ?!」

「どっちのイケメンが勝ったの?!」

 衝撃波が収まり、観客たちが再び広場に目を移し始める。




 そこにいたのは、地に臥したニコルと、かすり傷程度で立っているミディだった。


「大丈夫か?もしかしてまだやれちゃう感じ?」

「え、えぇ、なんとか。もう無理ですよ。降参です、降参。僕の奥の手良いと思ったんですけどね……」


 ニコルの口から告げられた降参の言葉。

 それを聞いたイグナチアは勝敗を告げた。


『こ、この戦いの勝者が決まったぁぁ!この戦いの勝者はぁ!ミディ・オプトナーだぁぁ!!

 イケメンが入り乱れたこの戦い!!!今一度歓声をおくってくれぃ!!!』


 うわぁぁぁぁ!!!!




「ほら。楽しかったぜ」

「あ、ありがとうございます。僕も楽しかったです」

 広場中に歓声が響き渡る中、差し出された手を取りゆっくりと立ち上がり、ミディに肩を掴まれながら広場を後にした。



『さぁさぁボルテージが上がって来た魔皇戦!!これからも色んな戦いが起こるはずだぁぁ!!疲れないようにしろよぉ!!

 第三回戦は30分後に始まるぜい!!』






 同刻。

 魔術都市の心臓部、ドリントス神殿。


「教皇様、本日の行脚は終わりました。これからいかに致しましょうか」


 純白の法衣を着た男が眼鏡を直しながら、蓄えた髭を撫でて寛ぐ爺に問う。


「そうか……。今、ファーモニクで魔皇戦なるものがあっているようだ。どれ。一つ見に行こうではないか」

「……了解いたしました、倪下」



 二人は、ファーモニクへと歩みを進めていく。



「未来ある若者の勇姿を……、見せてもらおうか」

いかがでしたか?

今後も様々な人物が登場していくので、楽しみにしておいてください!


次の更新は明日の20時頃を予定してます!

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