魔皇戦準備Ⅲ〜SIDE魔法学校〜
お待たせしました。
レージ篇第3話です!
魔皇戦まで後1ヶ月ほどに近づいたある日。
俺は今、メルクレアさんと昼飯を食べていた。
近頃はミディとか他のクラスメイト達との手合わせとか、その反省、意見交換で時間を取られすぎて会えて無かったからな。
だが今日はミディが別の奴と飯を食いに行くみたいで、一人で飯を食っても良いかなーと思ってたら、一人でいる彼女を見かけて話しかけにいったってとこ。
こんな美女と飯を食わないなんて上級生は頭どーなってんだ?
「それで〜?今日はなにしに来たのレージ君」
「いやぁ、ただ話したかっただけですよ」
「ふーん……」
やっぱり綺麗な人だなぁ……。見惚れてしまうよ。
飲み物を飲む所作一つ一つにも気品が感じられるし、圧倒的に完成された顔!
と、俺は心の中で彼女を褒めまくっていたが、言葉にはしていないわけで……。
「フフッ。レージ君ってたまにニヤニヤしてる時あるよね」
「えっっっ、そうですかね……?き、気持ち悪いですか?」
「いや?別に。何考えてるのかなーと思って」
あっぶね……。
これで彼女に嫌われたら、俺の学校に来る目的が一つ無くなっちまうからなぁ。
今後は顔に出ないようにがんばろっと。
「あ、今日はメルクレアさんに会ったのは魔法について聞きに来たの忘れてました」
「魔法?私よりも先生に教えてもらった方が良いんじゃないの?」
「いえ!メルクレアさんが良いんです!どーしても!」
俺は必死に彼女に訴えた。
実のところを言うと、魔法については先生に聞いた方が圧倒的に良い。先生ってのはその道を分かりやすく教えてくれる人だからな。
だが俺はそれでもメルクレアさんが良いんだ。
なぜかって?
それぐらいしか会える口実がないからだ!
今は魔皇戦の準備で忙しいし、メルクレアさんも予定があるからな!
下世話な目的はあるが、魔法について聞きたいって言うのは本当のこと。彼女の同級生に話しを聞いて回ったところ、彼女はとても成績優秀みたいだからな。
「そ、そう?そんなに頼ってくれるなら……話は聞くけど」
「よし!ありがとうございます!」
俺の熱烈な視線を感じ取ったのか、メルクレアさんはオッケーしてくれた。
やったー!
「じゃあ質問なんですけど……、メルクレアさんは心魂魔法とどう対話してますか?」
そう聞くと、彼女は口に手を当てて考える。
あ、心魂魔法の対話っていうのは、ネーム先生が講義で教えてくれたこと。
精神を集中させながら、自分の魂に刻みついてる心魂魔法に話しかけることだ。
心魂魔法はその魔法自体が自我を持っているらしく、話しかけることで対話することが可能できるよう。
そして対話が上手く行けば、その力が強くなったりするみたい。
魔皇戦に向けて対話が必要だと考えている俺は、守護の幇助と対話しようとしたんだけど……。
「んっ、んぅぅぅ。久しぶりだなこの空間。相変わらず何も無いけど」
「久しぶりだね、レージ・ロスト君。君に僕の名前を教えて以来かな?」
「そうだな。今日はお前と対話しに来たんだ」
そう伝えると、守護の幇助は驚いたような口調になった。
「へぇ……!驚いた。僕ともう対話をしに来たんだね。それほどまでに君は、今の状態の僕を理解しているのかい?」
「どういうことだよ??」
「そのままの意味だよ。僕の今の力をどれだけ理解して扱えてるのかってところさ」
今の守護の幇助の能力なんて、任意の対象に見えないバリアを作り出すことだろ?
その応用として攻撃を弾く対象を内側にしたりすることが出来る、くらいか。
そう伝えると、こいつからため息をつく様なガッカリした声が聞こえてくる。
「はぁ……。レージ、君はまだまだ分かっていないよ。僕の今の力はそんなもんじゃ無い。まだまだ応用が足りないみたいだね。出直してくると良い」
そう言うと、強制的に弾き出されるように意識が戻されてしまった。
「んはっっ!意識が戻ってきた……。応用が足りないって、何があるんだよ……」
ここで俺は万策尽きていた。
今の俺の頭で考えられるものは全て試したからだ。
「どうしよう……そうだ!上級生なら!」
心魂魔法との対話が進んでいるだろうと感じで、今に至ってる。
メルクレアさんはしばらく考えていたが、考えがまとまったのか話し始めた。
「レージ君。これはあくまで私の心魂魔法との対話方法だから、君に当てはまるかは分からないけど一応教えるね」
「は、はい。分かりました」
「私が対話できるようになったのは、私自身の心魂魔法の応用を同時にできるようになってからなの」
「同時に……?!」
ってことは守護の幇助の応用である魔法の密度を保つこと、内側からの攻撃を防いで相手を無力化すること、そして内側にバリアを作って身体強度を上げることの3つを同時並行でやる、みたいなことか……?
ちょっと辛すぎね??
「……それってかなり厳しくないですか?」
その過酷さに驚いていたが、彼女はさも当然な顔をしていた。
「そりゃそうだよ。対話に成功するってことはそれだけの力を扱えるようになるんだから」
「そうなんですね……。分かりました!頑張ってみます!」
「うん。頑張ってね」
ここで足踏みしてても何も始まらないからな。
次の目標が出来た俺は昼飯を食い終わり、早速秘密の部屋に行くことにした。
「……頑張ってね。レージ君。私に夢を見せてよ」
部屋に着いた俺は、さっそく同時発動を試みる。
「まずは……!とりあえず内側の攻撃を防ぐことと体内にバリアを作ることを同時にやってみるか」
俺は部屋の中央に立ち足を肩幅に開き、両手を胸の前で合わせる。
そして深い呼吸を繰り返し、集中力を高めていく。
最初は内側の攻撃を防ぐため、魂に刻まれている守護の幇助の力を呼び起こす。
すると、透明なバリアが身体を包み込むように形成された。
「よし……。これと一緒に!」
すぐに俺は、内部にバリアを作るために意識を体の奥深くに向ける。
自分の体が強固な障壁で満たされていく感覚に当たる。
(途切れるな……。途切れるな……!)
この二つの要素を同時に行うため、俺は心と体の一体感を追求した。
(イメージは、自分自身を一つの存在と捉え、心と魂、そして身体の力を結びつけるように!)
集中力を高めながら、自身の魔力を最大限に引き出すために内なるエネルギーを探していく。
「まだだ…………。これか!」
少しすると、外に置く魔力と内に留まる魔力がゆっくりとバランスを保っているような感覚が、ズバッと俺の脳裏に飛びついてきた。
その感覚を、焦らず深呼吸を続けながら、少しずつ内側へ意識を向けて浸透させていく。
「もうちょっとだ…………。ここ!」
魔力が均一になった瞬間、俺はバリアの生成を強く意識した。
すると、内側の攻撃を防ぐバリアはそのままで、同時に身体の中にもバリアを生成することに成功した。
「やった……ぁ」
しかしそれは長く続かず、30秒ほどで身体の内側のバリアが割れてしまう。
「っはぁ、はぁ、はぁ……。キッツイなこれ!!!」
魔力も集中力も想像力も、何もかもがかなり擦り減っていることを、嫌でも感じさせられる。
「こ、こんなに疲れるっけ……!?」
同時に対話を行うためには、これらの力をさらに洗練させる必要があるな。
伸びしろを発見した瞬間だった。
「やるしか、無いな……!」
俺は努力を惜しまず、繰り返し練習することで自分の力を高めていく覚悟を決めた。
魔法の対話に挑戦するために。
メルクレアさんが思わず惚れてしまうような、デキる男になるために!
そして、早くも1ヶ月の月日は過ぎていった。
いかがでしたか?
これからついに魔皇戦に入っていきます!
お知らせです。
リアルが忙しくなるため少し投稿間隔が空いてしまいます。
良い作品を書けるようにしているのでよろしくお願いします!




