魔皇戦準備Ⅰ〜SIDE魔法学校〜
お待たせしました!レージ篇の魔皇戦準備です!
魔皇戦の開催の知らせから1ヶ月。
俺たちは日々自身の心魂魔法の特性を理解しながら、各自で練習を頑張っていた。
この1ヶ月で分かったことは、俺の心魂魔法は攻撃用じゃ無いってこと。
どうやら防御に特化した魔法みたいで、基礎魔法で攻撃を担っていくタイプみたいだ。
ほかの生徒の心魂魔法も知りたかったけど、まだ手合わせみたいなものが無いから知れずじまい。
だが、ついに手合わせができる時間がやってきた。
「よし!皆揃っているな!今から模擬戦を始めるぞ!!盛り上がっているかぁぁぁ!」
「イエェェェェ!」
凄まじい熱量を持ったジェームズ先生に、生徒の中にはついていけない者もいたが、多くの生徒(特に男)は昂っていた。
もちろん俺とミディもだ。
やっぱ男はどこの世界に行っても変わらないわ。
その熱の高まりを感じながら、先生は説明を続ける。
「この模擬戦のルールは簡単だ!相手を見つけたら試合を持ちかける!それが了承されれば試合開始だ!
皆が今まで向き合ってきた心魂魔法を扱い、全力でぶつかっていくのだ!
殺し合いは禁止だ!それ以外の勝敗で決めたまえ!」
おぉ!これはかなり自由だな。
「皆準備はいいか!では……始め!!」
ジェームズ先生の気合いのこもった宣言を皮切りに、模擬戦の時間が開始された。
俺はもちろん、ミディの元まで早足で向かう。
「ミディ!(レージ!)」
「「やろうぜ!!」」
ミディと声が重なりあい、つい2人で顔を合わせて驚く。
「考えることは同じみたいだな」
「あぁ。存分にやろうぜバルトラ」
互いに距離を取り合い、戦闘の構えをとる。
「勝敗はどうする。俺はなんでもいいぞ」
死ぬ以外はなんでも良いからな。
「そうだな……。じゃあどちらかが気絶するまででどうだ?」
おっ、良い条件じゃん。
「良いねぇ!さぁ、やろう!!」
数刻の間の後、先に仕掛けたのはミディ。
「先はもらうぜっ!」
ボウッ!!
火球が数発俺に向かって飛んでくる。
基礎魔法のファイアか。
「そんなもんにっ、当たるかよ!」
俺は悠々と横に避けた__つもりだった。
「おいおい!なんで追尾してくんだよ!」
通常のファイアは一直線上に飛ぶものだが、ミディのファイアは避けた俺に向かってきた。
「くそがっ!」
俺はファイアを打ち出して魔法を相殺する。
ボフゥゥゥ!
火球同士がぶつかり合い弾けあう。
(追尾するファイアか……。後で教えてもらおう)
「さすがだよミディ……!次はこっちの番だ!」
尚も襲いかかるファイアを相殺しながら、俺は次の攻撃を繰り出す。
「来い!レージ!」
その期待に応えるように、俺は両手を合わせ、アクアとブラストの合成魔法、鋭利な刃と化した水を衝撃波に乗せて打ち出す。
「来たな!レージお得意の合成魔法!だが甘ぇぞ!」
ミディは軽い身のこなしで避けていくが、俺はそれを見逃さなかった。
「読んでたぜっ!」「なにっ……!」
ズバァァァン!
大まかに避ける方向を読んでいた俺は、ミディが避けるよりも早くその方向にブラストを打ち出していた。
避けたことで安心していた奴は、もろに俺のブラストを食らって吹っ飛ぶ。
「俺が一歩リードかな?」
一息整えながら言ってみたけど、あいつはかすり傷も負っていないだろうなぁ。
ブラストは衝撃波を撃ってるだけだからな。空中でも無い限りは受け身を取られて反撃される。
「へっ。よく分かってんじゃねぇかレージ」
案の定、土煙の中から所々服が破けているだけのミディが現れた。
「はぁー。やっぱり基礎魔法だけじゃ無理だよなぁ」
「そうでもないぞ?お前のブラストの威力、かなり強かったからな。最初の合成魔法も当たればやばかっただろうし」
うっ、やっぱ面と向かって褒められるのは慣れねぇな。
「褒めんなよ。ちゃんと受けきったお前に言われても実感湧かねーから」
「ハハッ。そうかもな。
じゃあ…第二ラウンドと行こうじゃねぇか!」
「……あぁ!」
再び距離を取り合い、俺たちは叫ぶ。
「「真名解放!!」」
2人の周辺に大きな魔力の唸りが現れる。
俺たちは互いの力の奔流に魅了され、高揚を隠しきれない。
「心魂魔法を人に向けるのは初めてだ!死ぬんじゃねぇぞレージ!」
「それはこっちの台詞だ!やるぞ!ミディ!」
先に魔法を打ち出したのは俺。
さっきと同じようにブラストとアクアの合成魔法を打ち出す。
少し配分を変えて。
「それはもう見切ってんだよ……。!!!」
ミディは囮の役割だと瞬時に分析し、心魂魔法によって溢れる自身の魔力で身体を覆って距離を詰めようと走り出す。
「甘いぜ」
だが、ミディはすぐに気付かなかった
先ほどの合成魔法とは明らかに魔力の密度が違うことに。
(まずい!)
走り出して気づいたが、慣性がついた体は急には止められず、合成魔法が襲いかかった。
バガァァァァァァン!
魔力の衝突により大きな衝撃音が鳴り響く。
「な、なんだ!?」「何が起こってるの?!」
「む。大きな魔力同士のぶつかり合いが……!」
その間、俺はとても心配していた。
「さすがに強すぎたか……?いやでもミディも体を魔力で覆ってたし……」
あの衝撃音からして相当な魔力量だったはず。
体がバラバラにはなってないはずだけど。
しかし、その心配はすぐに払拭される。
「ふうー……。危ねぇ危ねぇ。ブラストで魔法の密度を下げたとかないと死んでたぜ」
「ミディ!!無事だったか!」
軽い調子で言いながら土埃を払うミディを見つけ、俺は咄嗟に傷の有無を確認する。
「大丈夫か?死んでないよな?」
「何言ってんだよ。死んでたら立ち上がってねぇだろ?」
「そ、そうだよな!良かったぁ……!つい殺っちまったんじゃないかと……」
「おい、サラッと怖いこと言うなよ」
互いに笑みを浮かべながら、ミディの手を取る。
「んで?勝負はどうする?」
「もちろん続行!って言いたいとこだけど……」
俺はすごく悩んでいた。
実のところ、気絶するまでやろうぜ!って決めたは良いけど、そうなるとこの1日を無駄にしてしまうことになる。
今はまだ昼前。まだ魔力を残しておけばもっと魔法や心魂魔法を磨けるかもしれないと思っちゃったのだ。
「どーしたんだよ?」
未だやる気満々のミディに、とりあえず申し訳ない感じで今考えていることを伝えた。
「ほーん……。まぁお前のやる気がねぇのにやるのは面白くねぇな……。
よし!今日のところは引き分けにしておこうぜ!続きは明日な!」
「すまんなミディ」
「おうよ!」
引き分けにすることにした俺たちは、講義の時間が終わるまで第二ラウンドで使っていた魔法について話し始めた。
「なぁ、あの魔力の密度が高ぇ合成魔法はなんなんだ?心魂魔法の力なのはなんとなく分かるが」
「あぁ。あれは俺の心魂魔法だ。
俺の能力は物体に全方位の見えないシールドを作る能力だからな」
「あぁ?どーゆーことだよ?シールドを作る能力と魔力の密度が高いことになんの関係があんだよ?」
「それはだね_____
君たちも気になるだろう?
フフン!特別に教えてあげようではないか!
説明しよう!
俺の心魂魔法の真名は守護の幇助。
さっきミディに言った通り、物体に全方位の見えないシールドを作るものだ。
それを使って、合成魔法を閉じ込めたんだ。
魔力自体を包み込んで発射して、当たる直前に解除する。
そうすることで離れていくほど魔力が霧散していくことを防いだんだ。
ってことだ!」
あ、ミディには真名のことは伝えてないよ。
「ほー。魔力の保護か……。発想力はピカイチだなマジで。どんな発想力してんだ??」
やべっ!
「あ、い、いやぁ。と、父さんからのアドバイスをもとにしただけだよ」
必死に取り繕うが、俺は思わぬところでミディの地雷を踏んでしまった。
「父さん、か……」
こ、これは訳ありな感じか……?
前世で鍛えられた空気読みでそう感じた俺は、咄嗟に話題を変える。
「あ!そ、そーだ!ミディの方も教えてくれよ!俺の合成魔法を受け止めようとした時のあの魔力!なんで急に増えたんだ?」
「あぁ……。あれは____」
一瞬悲しい表情をしていたミディだったが、俺の話題について話していく内に元の明るい表情に戻っていった。
やっぱり、友達の悲しい顔なんて見たくないぜ……。
いかがでしたか?
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次回の更新は金曜日を予定してます。




