魔法学校入学Ⅲ
お待たせしました。
れーじへん第3話です。
少し短いです。
悪夢を見たあの日。
起きた頃にはもう夕飯の時間になってたから、急いで居間に行った。
母さんの視線がなぜか生温かったので少しビビったが、特に何事もなく過ぎていった。
「さ、今日も元気に魔法だ!!」
あの悪夢は、それ以来ぱったりと見なくなった。
最初のうちはびくびくしながら寝てたけど、いつ来るかわからないのに気にするのは無駄だなと感じたから、あまり考えないことにした。
そして今俺は、前回成功した魔法の同時詠唱の成功率を上げるためにひたすら発動させてる。
成功したとはいえ、まだ40パーセントの確率っていったところなんだよな。
どちらか片方の魔法だけ発動してしまったり、そもそも両方発動しなかったり……。
「やっぱ理解の認識に時間を割かないといけないのかなぁ……。成功した時もそうだったし。でもそうなると反応が遅れるからなぁ」
そんな感じで、俺は悩んでいた。
(それとも理解の認識以前に俺の魔力量が足りないのか……)
魔力量が爆発的に増える手段は今のところ無いから、地道に増やしていくしか無い。
となると……
「これで一旦打ち止め……?!」
あれぇ?俺の成長フローチャート少なくない?
こういう転生したやつは限界突破的できるみたいなのないの?!
自分自身の境遇に肩を落としてしまう。
(そういや転生した時も、神様とかいなかったもんなぁ……)
なーんか力になるものは無いかなぁ……。
「よし、こーゆう時は!」
俺は困った時に頼れる人物の元へと向かった。
「え?魔法をもっと知りたい?」
「そう!だから教えてくれ!父さん!」
俺の身近にいる人物で、魔法についての造詣が深い人物。
といったら父さんしかいないんだよなぁ!
そう閃いた俺は、父さんを自分の部屋に呼んだ。
「レージ、分かってないかもしれないけど、魔法についての本格的な勉強は魔法学校でしか教えられないんだ」
父さんは申し訳なさそうに俺の申し出を断る。
まぁそうだよな。だが俺は諦めない!
「じゃ、じゃあせめて学校でしか教えられない理由を……」
その質問をぶつけると、いつも優しい父さんの目の色が変
わる。
「……レージ。どうしてその理由を知りたいと思ったんだい?」
父さんはいつもの柔らかな雰囲気とは違い、厳格な魔法技師としての顔だった。
そのオーラに気圧され、俺はついたじろいでしまう。
「そ、それは……」
(こ、これそんなに聞いちゃいけなかったのかよ?!)
一瞬聞くのやめようかとも考えたが、このままじゃ自分がもっと高みにいけるヒントが見つからないと考え、意を決して聞くことにした。
「それは……、気になったからだよ。
基礎魔法だけでもこんなに人間の生活が豊かになってるのに、もっと多くの魔法についての知識を教えないのはどうしてかなって思ったから」
「…………」
素直に思っていることを伝えたが、父さんは黙ったまま。
(な、なんとか言ってくれ〜!)
少しの沈黙の後、父さんは口を開いた。
「……話は分かった」
「!!!じゃあ」
「でも教えられないよ」
あれぇ?教えてくれる流れじゃないのかよ。
父さんに突っ込みたくなったが、その衝動を抑えて理由を確認する。
「理由を聞いても良い?」
「まあ、それくらいなら良いかな。
詳しくは言えないけど、魔法を使う際に必要なのはなにか。レージは覚えてるよね」
「もちろん!魔力量とその魔力を形にできる想像力、そしてその事象への理解だよね」
「正解。でも、その要素が必要じゃなくなる、と言ったらどうする?」
「え……?」
「はい!これで終わり」
父さんはもうこれ以上は言わないから!と笑顔で部屋を出ていった。
えぇぇ!超絶気になるんですけどぉぉ?!
なんだそれ!その三要素があって魔法は成立するんじゃないのか?!
父さんが残していったことを、俺は何度も咀嚼して考える。
(魔法はこの世界の事象の理解や魔力量、想像力が存在してないとつかえない。
だけど父さんはその要素が必要ないと言った。
ってことはこの世界の魔法の本質は別の要素……?話がややこしくなってきたな……)
そうしてたどり着いた俺の予想は、魔法はこの世界の事象の理解や魔力量、想像力とは別のものが発生源である、ってことだ。
まぁあくまで仮説だし、答え合わせができる学校にも入学してないからな。
謎解きの解答を待つようにワクワクしながら、俺は学校入学までの日を過ごした。
そうして____
「うっし!ついにこの日が来たぞ!!」
魔法学校入学の日が来た。
テンションは最高潮。
「これが!ハイって奴だァァァ!!」
前日最高潮になりすぎてそう叫んでたら、母さんにボコされたくらい。
「あんまりはしゃぎすぎるんじゃないよ……!?」
そのおかげで、母さんは昨日から怒りっぱなしだ。
「はいはい、分かってるよ」
そんなに怒ると年齢よりも老けて見られちまうぞ!っていう余計な一言は黙っておいた。
「レージは学校に行くの楽しみにしてたからね。仕方ないよサリア」
こういうときの父さんはめちゃ優しい。
やっぱ父って神様だよなぁ?!
「その通りだよ父さん!どんな奴がいるのかめっちゃ楽しみなんだ!」
これは紛うことなき本音だ。
今まで1人でいろんなこと考えてきたけど、それじゃ限界があるからな。
共に高みを目指す者がいるっていうのは大事なんだよ。
そ・れ・に!
メルクレアさんが学校にいるからなー!
これは楽しみでしかないだろ!
「さ、お話はこれくらいにして。
学校に行こうか。遅れたら大変だ」
俺は心の中で叫んでいたが、父さんの一言で現実に引き戻される。
「そうね」「そうだね」
さぁ、俺のキラキラの学園生活が始まるぜ!
いかがでしたか?
次回の更新は日曜日になります。
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