魔術学院入学Ⅲ
お待たせしました!アルマ篇第3話です!
~アルマの部屋~
「どういうこと?第四階層魔術が人を飲み込むほど強くないって」
「お前、昨日魔蝕を使って魔術を打ったか?」
「え、火柱しか打ってないけど……。それが何なの?」
やっぱりなぁと呆れたように言われ、アルマはつい語気が強くなる。
「なによ」
「いやいや、納得しただけだから」
手をひらひらとさせながら、マキアは説明し始めた。
「種はこうだ。
魔蝕で吸収された魔力は、発動する魔術によっちゃあ体内に残ることがある。
発動した魔術が吸収した魔力を使い切れなかったってことだ」
「ふーん。でも、体内に残った魔力ってどうなるの?」
「そいつはな、次の魔術に持ち越されるんだ。お前は昨日使った魔蝕で吸収した魔力を使い切ることなく次に持ち越した。その結果、絶水の威力が上がってたんだよ」
「なるほどね……。じゃあ、その使われなかった魔力は、いろんなことに使えるし、印象も悪くなってないってことで良いのね!」
「そういうことだ」
「ありがとう!マキア。っと、時間だ。夕飯食べに行ってくる」
魔蝕の副次的な効果を知ることが出来たアルマは満足そうな表情を浮かべ、夕食を食べに居間へと向かっていった。
「ほんと、魔術を知る時の顔は輝いてんなぁ」
~次の日の朝~
次の日の朝。
朝食をとった後、両親は試験結果を見にいくアルマに、励ましのメッセージを送っていた。
「今日は発表の日だ。アルマ。
僕とウルスは村にお布施をしないといけなくなったから、一緒に結果を見に行くことは出来ない。本当にごめん。でもアルマの合格を祈ってるから」
「アルマ、今日一緒についていけなくて本当にごめんなさい。でも私たちはあなたをいつでも見守っているわ」
「お父様、お母様……。ありがとう!ここまで頑張れたのは2人のおかげ!じゃあ行ってきます!」
「「行ってらっしゃい」」
両親に見送られながら、アルマは学校へと向かった。
家から出て少しした頃、アルマは鞄の中から魔術書を取り出した。
父の棚から持ち出した魔術書である。
学校に行く道すがら中を拝見しようとすると、絶水の魔術書からマキアの声が聞こえてくる。
「おいおい、あんな感動的にしてたが、村へのお布施ってお前が依頼した奴だろ。
しかも架空の名前を作って両親を名指ししてるし。用意周到だな」
(イカれてるよ全く)
その徹底ぶりに、乾いた笑いがでる。
「そりゃそうでしょ。私が魔術を使えるなんて2人は知らないし、ばれるとこの魔術書も一緒にバレちゃうもん」
「さいですか。ま、受かってるかは分かんねえし、とりあえず行こうぜ」
「うん」
その後も他愛のない話をしながら、学校へと歩みを進めていく。
〜魔術学院〜
学院に着くと、そこはすでに受験者やその保護者で埋め尽くされていた。
「うわぁ、こんなにいるのか……。早く結果を探さないと」
試験結果を探していると、学校の門をすこし進んだところに一際人だかりができている場所が目についた。
「あそこかも。ちょっと行ってみよう」
そこに近づいていくと、案の定【結果】と書いてある大きな紙が張り出されていた。
「正解。さーて、結果は……」
...
...
アルマ・テラズド 合格
「よし。合格!これで思う存分魔術が学べる!!」
人目も憚らず喜んでいると、その紙の周りにいた学校の職員らしき男性から案内が通達される。
「ただいまから入学式を行います。合格した生徒の皆さんは、大会堂に集まってください」
その指示に従い、アルマは大会堂へと向かった。
(暇だったなぁーー)
入学式はつつがなく終わり、次の説明があるという中会堂に1人で向かっていると、ある少年がアルマに話しかけてきた。
「昨日以来だったけど、やっぱり広すぎだわね……」
「やぁ、そこのお嬢さん。君も合格者みたいだね」
その少年は高貴な雰囲気を漂わせ、アルマに話しかけている。
「え?あたし?」
「そう、君さ。試験に合格したということは、この僕と同様に魔術の才能があるのだよね?」
「え、えぇ。実技で合格したから……」
アルマはその少年のオーラに気圧されていた。
(な、なにこいつ……話しづらくてしょうがないんだけど)
若干引きながらも会話を続けるアルマだったが、突然少年は声高に宣言した。
「なんと素晴らしい!その容姿!その才能!僕の妻となるにふさわしい方だ!ぜひ僕の妻になってくれ!」
「……は?!な、なに言ってんの!こんな大勢の前で!まだ入学初日よ?第一、アンタ誰なの?」
いきなり訳の分からないことを言い出す少年にペースを乱され、つい彼女も大声になってしまう。
「よく聞いてくれた我が妻よ!僕の名前はリカルド!リカルド・ガリアスさ!」
(なんでもうアンタの妻になってんのよ)
リカルドは自信満々でそう名乗ると、アルマの声で注意が向いていた周りの人間がざわつき始めた。
「おいおい、あのリカルド・ガリアスかよ!?」
「うそー!?伯爵家の嫡男で5歳から魔術を使いこなしているっていう?!」
リカルドは周りの人間の称賛を聞きながらうんうんとうなずいていたが、彼女は首をかしげていた。
「リカルド・ガリアス……。誰?全然知らないんだけど」
「なっ、なんだと……!こ、この僕を知らないというのかい?」
「ごめん!ほんっとに知らないの。あなたも私のこと知らないだろうし……、だからごめん!」
リカルドは、彼女の話が途中から聞こえなかった。
「ぼ、僕が……この僕が、結婚を断られる、だと……?」
小さなころから、何かを頼めば皆が快く了承されていた。自身の力や生まれの優秀さ、いろいろな要因が絡まっていたが、自分にはそれだけの魅力があると思っていたのだ。
「な、なぜ僕の結婚を受け入れない!!僕はみんながついてくる人望を持ってるんだぞ!」
自身の尊厳を否定されたように感じたリカルドは激怒していたが、対して彼女は困っていた。
「えーと、なんで怒ってるのか分かんないんだけど……。いきなり知らない人に求婚されたら、そりゃ断るに決まってると思うんだけど……」
至極まっとうな意見であるが、激怒していた相手にはさらに煽られたようにしか聞こえない。
「お前……、どこまで僕を怒らせる気なんだ!」
堪忍袋の尾が切れたリカルドは、ついにアルマの胸倉をつかもうとしたーー
が、その手はアルマに届かず、別の少年の手によって受け止められていた。
「おい。入学早々問題を起こすんじゃねえよ。ガキが。もうちょっと落ち着くことを覚えようか?」
「な、何者だ!おまえ!」
アルマにとっては、見覚えのある顔。
「マ、マキア……!?なんでここに。いつ出てきたの……?」
「話はあとだ。先にこの面倒くせぇ男をつぶす」
「誰かは知らないが、僕を愚弄したその女の知り合いなのかな!」
「まぁそんなとこだ。それよりお前、入学式が終わった早々に暴行を起こそうとするとか、お前アホだろ。しかもお前が勝手に求婚して振られただけで。まともな教育をされてないのかな?」
颯爽と登場したマキアは、とことんリカルドを煽っていた。
(なんでこんなにマキアは煽ってんの?手を出されたいのかな……)
そうが考えていると、案の定リカルドはブチギレて殴りかかろうとする。
「うわぁぁぁぁぁ!!僕をそれ以上悪く言うなぁぁぁ!」
しかし、それも眼鏡をかけた黒髪の少女の声によって止まった。
「いい加減やめてください!あなたたち!!」
「な、なんだ?!お前は!」
「あちゃー、見つかっちゃったかー」
その場を鎮めさせる一喝を入れた後、少女はマキアの元まで歩み寄ると、拳骨を1発食らわせた。
「いってー!さすがに拳骨は無いだろ……。オリヴィア」
オリヴィアと呼ばれた少女は、先程のマキアの行動にうんざりしていた。
「生徒会室にいないと思ったらこんなところに……。今日は定例会の日ですよ!」
「いやー、ちょっとね」
「はぁ……まぁ良いです。暴行事件になる前に防いだのはさすがです」
「だっしょー?」
「が!自分に殴らせようとしましたよね!どーせ力試ししたかったんでしょうが」
「大正解!」
オリヴィアという少女との会話に、アルマも周りの人もついていけなかったが、アルマが意を決して会話に割り込む。
「あ、あの!」
「ん?どうした?」
「どうしたもこうしたも……、どういうことなのマキア。なんで学校にいるのよ?」
「え、あぁ。言ってなかったっけ。俺はこの学校の生徒会長やってるんだ。
この際だからフルネームも教えておくわ。
マキア・シュテルグリフィだ。よろしくな!」
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