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マギアス〜魔を求めるモノ〜   作者: ピロシキまん
エピソードⅡ〜それぞれの学び舎〜
20/132

魔導学園入学Ⅵ

お待たせしました!

バルトラ篇第6話です!


追記 9月12日


文章作法を直してます。

 

 かなり早い入学式を終えたバルトラは、ニコルと話しながら寮へと移動していた。


「さ、今からどうしようか?ヴァイス君に話しかけに行ってみる?」

「そうだな。話したいこともあるし。クリスは……、後でいいだろ」


 ヴァイスと親交を深めようと決めた2人は、鼻歌を気分よく歌いながら寮へ1人で向かっている彼のもとへ小走りで向かい、話しかけた。


「なぁなぁ!ヴァイス・サディアスだったよな?どーせ同じ寮なんだし、一緒に行かねぇか?」


 バルトラが笑顔で誘うと、ヴァイスはふわりとした笑顔で答えた。


「俺っちと行きたいのー?いいよー。ニコル君とバルトラ君だったっけー?改めて、ヴァイス・サディアスだよー」

「おう!よろしくな!」「よろしく」


 互いに自己紹介を済ませると、バルトラは早速気になっていたことを質問し始めた。


「なぁ、ヴァイスの家ってさ、鉱山の管理してるって言ってたよな?その鉱山ってどんな鉱石が採取できるんだ?」


 ヴァイスの家業であるという鉱山管理の鉱山のこと。


「そうだね〜。うちで産出が多いのは魔導銀が1番で、次がミスリルって感じかな〜。たまにアダマンタイトが出る感じ〜。そこまで優良な鉱山じゃないよ〜」



 魔導都市エンゲニスは、魔術都市との境目に大きな山脈が存在し、魔導都市はそこから採掘される鉱石を使って魔導機を生産している。

 採掘される鉱石は現在判明しているもので9種類。

 主に流通しているものは魔導銀という鉱石であり、他の鉱石より多く産出され、魔力伝導率も比較的高いことから、魔導都市で流通しているものの多くが魔導銀で作られている。


 次いで産出量が多いのはミスリルやアダマンタイトであり、それらは産出量が少ないだけでなく、魔力伝導率や素材の頑丈さが魔導銀より優れているため高値で取引されている。



「めっちゃ良いじゃん!魔導機になれる奴らがごろごろ転がってるなんて……最高の環境すぎるぞ!でかい休みになったらヴァイスの家まで行こーぜ!ニコルも一緒にさ!」


 目の前の少年のキラキラした目に、ヴァイスは感動してしまった。


 質の良い鉱石が出ると言えば、仲良くなって鉱石を貰いたい、という打算的な考えで質問してきたのではないか、と。

 しかし、バルトラはそんな考えなど微塵も持っておらず、単純な興味で質問している事が目に見えて分かるのだ。

 

 そのことがとても心地よく感じた。


(やっぱり、ここはあのクソ田舎みたいな媚び野郎はいない。良い場所だなあ〜!)



「いいよー。お父さんも喜ぶだろうしー」

「やったぜ!うれしすぎるぞ!」


 珍しく興奮している様子を見て、ニコルは驚いた。


 まだ1日しか接していないが、結果発表の時やビアーが先生となることが分かった時でも普通の表情をしていたバルトラが、鉱石採掘の状況だけで胸を躍らせていることが、新鮮なのだ。


「ねぇ、バルトラ。もしかして話したいことって……そのこと?」

「そうそう。自己紹介の時から気になってたんだよ。鉱山管理の仕事っていうのを聞いて気になったんでな」


(バルトラって思ってることズバズバと言うよね……。それがもとで悪いことにならないといいけど)


「っと、話してるうちに寮まで来ちゃったな」


 寮は学園の敷地内、校舎のすぐそばにある場所で、生徒は全員そこに5年間住むことになる。


「どんな感じなんだろうね。寮って。男女が分かれてるっていうのは聞いたことあるけど」

「それ以外は俺っちも聞いたことないな〜」


 3人が寮の中に入るとすぐに、寮母と思しき女性が、椅子に座って目を閉じていた。


「あのー、俺たち1年生なんですけど……部屋ってどこですかね……?」


 バルトラは女性に尋ねるが、その女性は何も反応しない。


「あ、あのー……」「……」「あのー!!」


 バルトラが大きな声を出すと、女性は目を覚ました。


「んあ?なんだいお前たち。部外者は立ち入り禁止だよ」

「違いますよ!俺たち新入生なんです!部屋を教えてほしくて聞いてるんですよ!」

「まぁまぁ、それで、僕たちの部屋はどこですか?」


 明らかに怒っているバルトラを宥めながら、ニコルは改めて質問する。


「分かったよ。あたしはローネ。ここの寮の管理をしてる。

 あんたたちは新入生だったね」


 ローネは机に置いてある分厚い書物を開き、何かを探している。


「えーっと、あった。

 バルトラ・フォウ・グリスト、ニコル・モーント、ヴァイス・サディアス、クリス・ネス・リースの4名だね。クリス・ネス・リースはあんたたちより先に来てるから、お前らが残りの3人かい?」


「……そうだ」「そうですね」「そうだよー」

(バルトラーー。少し抑えて抑えて)


「よし、この寮の説明をするよ。ここじゃ基本2人一部屋だ。

 風呂もトイレも部屋にある。朝飯と夕飯はあるけど、昼飯は無いから気を付けな。飯が要らないときは事前にあたしに言えば良いから。ルールはそんくらいだ。


 メンバーはクリス・ネス・リースとヴァイス・サディアス、ニコル・モーントとバルトラ・フォウ・グリストの2組だ。

 さ、早く部屋に行きな。部屋は階段を上がったところの扉に名前が書いてあるよ」


 ローネ説明を聞き終えても、バルトラはムスッとした態度に変化はない。


「バルトラ。何ムスッとしてんの。早くいくよ」


(まだ怒ってるんだなぁ……。こういうとこは年相応というべきか……)


 心の中で苦笑しながら、ニコルはバルトラの背中を押して部屋へ行こうと促す。


「分かった……」

「じゃあね。ヴァイス君。クリス君にもよろしく言っといて」


「分かった!じゃあねー、バルトラ。ニコル」


 3人はここで分かれ、部屋へと入っていった。





「……意外と広いな」


 部屋は小綺麗に整頓されており、2人でこれから過ごすには十分すぎる大きさだった。


 部屋に入って少し機嫌が治まったと感じたニコルは、怒って原因をあくまで優しい口調で聞いた。


「さっきまでどうしてムスッとしてたの?」


 少しの間黙ったままだったが、一つ溜め息をついた後、ゆっくりと喋り始めた。


「……あのローネってばあさん、自分が寝てたのに謝りもしないのかって思っちゃったんだよ。まぁ遅い時間に来た俺たちも悪いんだけどな」


「…………。プッ」


 自分が話し終わった後、ニコルから聞こえたのは、笑いが溢れた音だった。


「なんだよ」

「いや、子どもっぽさが感じられて良いなーと思って」

「それ褒めてんのかよ」

「どうだろう?」


「フッ、」「プハッ、」

 

 2人の間に流れた微妙な空気に耐えきれず、今度はお互いに笑いあった。





 そうしてひとしきり笑い合ったあと、ニコルは夕飯を食べにいこうとバルトラを誘う。


「さ、良い時間だし、夕飯を食べに行こう。今の時間帯は女子もいるだろうから」

「げっ、女子もいるのか……」


 てっきり交友関係を増やせて嬉しがるかと思っていたが、実際の反応はあまり芳しく無かった。


「???なにか嫌な事でもあるのかい?」

「あぁ、実はな……、かくかくしかじか」





「えぇ!?メリーさんと婚約者の関係なの?!」 

「しー!声がでけぇよ!今のとこはってだけだ。

 結婚は学園を卒業してからだから、それまでにいい人が見つかれば別れることができるんだよ」


「そんなに別れたいのかい?公爵令嬢だし、文句はなさそうだけど」


 公爵家同士の結婚は魔導都市では普通に行われていることであり、周囲の貴族が文句を言えるほどの身分差でも無い。

 言ってみれば普通のことである。


「位は良いかもしれないけど、あいつの性格がだめだ。

 初めて会った時に怒りながらぱっとしない奴とか言ってきたんだからな」

「怒りながら……?もしかしてメリーさんの顔が赤くなったりしてた?」


「え、そうだけど。それがどうしたんだ?」


(あぁーー……。もしやバルトラは__)

「バルトラ……頑張らないとね」


「???」


 気づいてしまった。

 こいつ(バルトラ)は、他人から向けられる感情〈主に好意〉に鈍感な奴だ、と。


(メリーさんも表現するのが苦手なんだろうな。今会ったらもっと拗れるだろうから、今回はいかない方がいいかもね……)


 2人の未来のことを考え、ニコルは食事をこの部屋まで運ぶことにした。


「分かった。今回の夕飯は僕が部屋まで持ってくるよ。ちょっと待ってて」

「本当か!助かる!」





 ~食堂~



 ニコルが食堂に着くと、そこにはメリーとトレーネが一緒に食事をとっていた。


(バルトラは来なくて正解だったかもね)


 自身の賢明な判断にホッとしていると、メリーがこちらに気づいて話しかけてきた。


「あら。あなたは確か、ニコル・モーントさんでしたわよね?」

「よろしくメリーさん。トレーネさんもね」

「うん……。よろしく……。ニコル……」

「今から食事ですの?よろしければご一緒しますか?」


 あの鈍感マンから聞いたイメージからは想像もできない穏やかな顔で話すメリーに、クリスはこれから前途多難な学園生活の始まりを予感していた。


「いや、今日は部屋で食べるよ。バルトラと一緒に」

「バ、バルトラひゃまと!?」

 

 試しにバルトラの名前を出した途端、メリーの顔は真っ赤になった。


(あー……。これは。相当やられちゃってるなぁ)


 そうして真っ赤になって悶えている中、ニコルの袖をトレーネが引っ張っていた。


「ねぇ……。メリーはなんでこうなってるの……?」


(ここは、協力者を増やした方がいいかも)

 仲間を増やすことにしたニコルは、トレーネに事情を話した。


「実は、かくかくしかじか……」

「!!!なるほど……。分かった……。メリーにも聞いてみる……。確定だと思うけど……」


「ありがとう。トレーネさん」

「トレーネで良い……。協力者だから……」

「分かった。じゃあ僕は夕飯もらって戻るから。頼んだ。トレーネ」


「ん……」



 そうして協力者を得たニコルは、夕飯を受け取って部屋へと戻っていった。



「思った以上に楽しい学園生活になりそうだね……」



いかがでしたか?

ここで一旦バルトラ篇は終了して、次回からアルマ篇がスタートします!


「おもしろそうじゃん?」って思った方は、ぜひブクマ等していただけると嬉しいです!

よろしくお願いします!

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