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マギアス〜魔を求めるモノ〜   作者: ピロシキまん
エピソードⅡ〜それぞれの学び舎〜
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魔導学園入学Ⅱ

お待たせしました!

バルトラ篇第2話です!

 ~皇歴260年 バルトラ家~




 入学試験当日の朝。


 バルトラは、ライラとともに試験会場である魔導学園に向かっていた。


「ついに来ましたよ入学試験!バルトラ様、忘れ物は無いですか?」

「大丈夫だって。確認するの5回目だよ?何回確認すんのさ」

「そりゃあ心配にもなりますよ!入学試験は10歳の1回きりしか受けられないんですから!」


 バルトラは少しめんどくさいと言おうとしたが、心配してくれているには変わりないため、なるべく優しい言葉遣いを心がける。


「……大丈夫だよライラ。俺は絶対ハイクラスになるから」


 (今の間……。ちょっとめんどくさいと思いましたね?!)

「はぁ。そうですね。バルトラ様の努力は私が一番そばで見てきてますし!」


 そうしてあれこれと話しているうちに、二人は魔導学園の正門へと着いていた。





「じゃあ、私はこれで。受験者以外がいると不正を疑われますから」

「あぁ。ありがとうライラ。いい報告、待っててね」


 そう言って、口が悪い主人は門をくぐっていった。

「頑張ってください……!バルトラ様!」







 正門をくぐって程なくすると、先生らしき女性が案内をしていた。


「すみません。入学試験の受付はここで合ってますか?」


 筆記の会場は毎年変わるため、必ず試験を受ける者たちは会場を聞いておかなければいけない。


「えぇ、そうよ。あなたも受験生?」

「はい」

「じゃあ名前を教えて」

「バルトラ・フォウ・グリストです」


 歴代の生徒達の名前が入っているかと思うほどの分厚い本を開きながら、その女性は何かを探している。


「はい……。バルトラ君ね。筆記会場はここを曲がったところにある大講義堂よ。頑張ってね」

「ありがとうございます」

 

 忙しい中真摯に対応してくれた女性に感謝を述べ、バルトラは言われたとおりに大講義堂へと向かった。



「ここが大講義室か」


 ついて早々目に入ってきたのは、ゆうに300人は超えていそうな人だかり。


「前から順番に座ってくださーい」

 その人だかりを統制すべく、眼鏡をかけた女性が声をかけ、整列を促している。

 バルトラはその隊列に入りながらも、自身の名前が書いてある机を探した。



(俺の座る場所はっと……。お、ここか。しっかし、同学年の奴はいっぱいいるんだな)


 席に座ってそのままキョロキョロと見まわしていると、見たことがある赤髪の少女を見つけた。


(げっ。あいつ受けるのかよ。同じハイクラスにはならないでほしいが)


 そこから目を外し、他にも知り合いがいないか探していると、会場に大きな声が響く。


「これより、魔導学園入学試験・筆記の部を始めます。受験者の皆さんは椅子に座ったままお待ちください」


 アナウンスが終わると、受験者の机の上に一斉に問題用紙が置かれた。


(机を魔導化させて別の場所と魔力の空間を共有させてるのか……!さすが魔導学園!発想が予想外から飛んでくるな!)


 初っ端から見せられる魔導学園の技術に静かに興奮していると、次のアナウンスが流れてきた。


「もし周りを見回したりなどの怪しい行動をすれば、問答無用で失格とします。制限時間は10の刻までの30分間です。

 では、試験開始」



(よーし、やってやるか!)

 かくして、入学試験が始まった。





 ~30分後~



「試験は終了です。これ以上回答を加えないでください。引き続き受験者の方は実技を行うので、イシュタルホールへと向かってください」



 筆記試験の終わりを告げるアナウンスと同時に、次の試験会場が言い渡されて歩き出したそんな中。

 

 バルトラは、一人黙々と筆記試験の振り返りをしていた。


(やっぱりそんなに難しくなかったな。複雑化してる魔導回路を書け、とかめんどくさいのはあったけど)


 筆記会場を後にして実技会場へ向かう途中、バルトラは前方を歩く金髪の男を見ていた。


(あいつ、俺と同じ10分で終わってたやつだよな……。何者なんだあいつ)


 バルトラは自身の頭の良さには自信を持っている。


 魔導に関して努力を怠ったことはないからだ。

 だからこそ気になった。


 自身と似た存在なのではないか、と。








 〜イシュタルホール〜




 実技の会場に着くと、今度は数人の男女たちが整列させていた。


「はーい。実技試験は個人での試験になるので、しっかりとここに集まってくださいねー。名前が呼ばれたら私たちについてきてください」


 どうやら試験はもう始まっているらしく、時を待たずしてバルトラの名前が呼ばれた。


「次。バルトラ・フォウ・グリストさん」

「はい」


 20代くらいの男性に連れられ、魔導学園の部屋の扉の前まで来た。


「この扉を開けると、審査員の方がいらっしゃいます。そうしたら自身の試験内容を発表してください。もし質問をされたりしたときは、必ず答えるように」


「分かりました」

(あくまで個人の情報だけにさせない気か……。こわいこわい。)

 

 深呼吸して気を引き締め、バルトラは扉をノックして部屋に入る。


「失礼します」




「ふぉっふぉ。よく来たのう」


 そこにいたのは、フサフサのひげを蓄えた老人と、がっちりとした体格の初老の男性、妖艶な雰囲気を漂わせる女性と、見た感じは自分よりも年下のような女性(?)がいた。


「じゃあ早速だけど、名前を言ってもらえるかな?」

「バルトラ・フォウ・グリストです」


(この人が質問係か。どんなことを質問されるのやら……)


「おぉ、君がグリスト伯爵の息子なんだね。いいものを見せてくれると信じているよ。では始めてくれ」


 そう言われ、バルトラは自身のインベントリから1本の槍を取り出した。



「俺はこれを作りました。名前は竜を穿つ聖槍(グングニル・ドラッヘ)と言います」


 その槍は黒々とした鈍い輝きを放ちつつも、どこか気高さを感じさせるような逸品である。


「ほぉ、槍の魔導化か。槍は使い手が少ないらしいからね。

 君が自分で作ったのかい?」


 食い入るように竜を穿つ聖槍(グングニル・ドラッヘ)を眺めていた男性から質問が飛ぶ。


「はい。素材はアダマンタイト鉱石を使っています」

(こう言う情報は素直に答えた方が良いよな)


「アダマンタイト鉱石は君の力で?」

「いえ、父さんの力も借りました。ですが設計から制作はすべて俺がやっています」


「なるほど……」


 数秒の間の後、再び質問が飛んでくる。

 だが、男性の声色には答えを確信しているような含みがあった。


「この槍、()()()()じゃないよね?」


「……。それはどうして?」

「どうしてかって?簡単なことさ。

 この魔導学園の実技試験に課されたただ一つのルールは、魔導都市にとって良いものか、ということ。

 皆がより良いものを持ってこようと競い合っているのだよ。

 そんな中で槍一本だけ、というのはどうなんだい?」


 男性は真剣な表情でこちらを見つめている。

 この顔は、明らかに確信を持っている目だった。


(へぇー。もうちょっと遅く勘付かれると思ってたけど。これ以上は無理かもな……)




 ここが秘密を明かす頃合いだと感じ、バルトラは一度大きな溜め息をついた。


「はぁ……。さすが魔導学園だ。その通りですよ。

 この槍にはもう一つ仕掛けが施されてる」

「それは、私たちを驚かせることが出来るのかな?」


 初老の男性はみくびっているのだろう。

【こんな子どもに驚かされるはずがない】と。


 だが、バルトラはニヤリと笑い答えた。


「もちろんですよ。だって、

 この槍には()()2()()組み込まれているんですから」



「ほう」「なんだと……!」「まぁ」「へぇー」


 彼らの口から、驚きや感嘆の声が聞こえる。

 

 特に初老の男性は分かりやすく動揺していた。


「そ、その話、詳しく聞かせてもらうことはできるかな?」

「えぇ、もちろん。ただし、()()()()()()()()()()()()教えてあげますよ?」


 バルトラは笑みを絶やさずに、取引を持ち掛けた。 


 この技術を教えても良いが、ハイクラスにならなければ教えない、と。


 だがこれは、取引現場ではなく試験会場。

 普通ならこんなことは無い。暗黙の了解でやるはずがないのだ。


「は、はぁ!?君、そういうのは試験でやることじゃないよね?」

「……」


 少し怒っている初老の男性に対し、バルトラは何の反応も返さない。


「は、話を聞いてるのかな?」「……」「聞いてんのかおい!!」「……」「こんの……!」


 男性が怒ってバルトラを殴ろうとした瞬間、中央に佇んでいる老人が笑った。


「ふぉっふぉっふぉ。まさか取引をするとは。やるのうバルトラ。

 良いじゃろう。()()()検討しておこうぞ」


「ありがとうございます」

 その会話の後、バルトラはスッと扉を開けて部屋を出ていった。


「ちょ、ちょっと!」







 バルトラが出ていった後、初老の男性は怒っていた。


「本当に良かったのですか!?()()()

 あんなのは取引に見せかけたただの脅しです!器が2つ入っているなんてただのでまかしですよ!」


 しかし、学園長は笑みを絶やさない。


「そうかのぉ?わしは嘘ではないと思うが」

「はぁ?!」

 男性は困惑した。

 まだ10年しか生きていないガキが、大人に向かって不躾なことを言う。

 これだけでも生徒としてふさわしくないのに、挙げ句の果てにはハイクラスに入れることを確約するとは、失礼極まりない行為のはずである。


「なぁに、後で嘘だとわかったら失格にでもすればいいじゃろ。 

それにもし、あの技術が本当であれば、魔導都市全体の損失。ひいてはこの実技試験で唯一課しているルールをわしらが破ることになるんじゃぞ?

 その尻ぬぐいはできるんじゃろうな?」


 老人の体から発せられる凄まじいオーラに、思わず男性はたじろいでしまう。


「わっ、分かりましたよ。

 ただし、入学してそれが嘘だとわかったら即刻!彼を退学にしますからね!」

「ふぉっふぉ。良いじゃろう。さぁ、次の者を呼んできてくれんかの」


 かくして、バルトラは入学試験を終えた。


 革新の小さな風を吹かせて。




(恐ろしい奴じゃの。バルトラ・フォウ・グリスト……)


いかがでしたか?

感想やブクマ等、随時受け付けてますので、よろしくお願いします!

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