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マギアス〜魔を求めるモノ〜   作者: ピロシキまん
エピソードⅥ〜人魔大戦、勃発〜
130/132

力の変容Ⅲ

最新話更新です。


 元来、魔法とは誰もが扱うことのできる基礎魔法、魔法都市に産まれ落ちた(ソウル)に刻まれる心魂魔法(マギアス・ソウル)の大きく二つに大別される。

 とりわけ心魂魔法(マギアス・ソウル)は謎が多く、未知の領域となっている。


 

 たしか、一年生の授業でこんなことを言われた気がする。当時の俺は多分、「へぇーー」くらいにしか思っていなかったはずだ。


 でも今ならよく分かる。こういう例外的な存在が、心魂魔法(マギアス・ソウル)が何なのかという問いを難しくしているんだと。


「……その、家とか大丈夫なんですか?」

「もちろん、大丈夫じゃなかったわよ。私の手が触れた瞬間に壁は崩れ落ちるし、侍女の人たちの服もバラバラにしちゃったし、たくさん傷もつけちゃった」


 今までチートだ!とか騒いでいた自分を殴りたい。そう思うほど、ネリエルさんの心魂魔法(マギアス・ソウル)はピーキーな性能すぎる。


「でも、おかしくないですか?心魂魔法(マギアス・ソウル)は基礎から応用っていう風に拡大していくものじゃ……」

「授業でそんなことは教えてないでしょ?グラハムにみっちり説教したから」

「あっ……」


 確かに、今俺が言ったことは授業では習ってない。あくまで俺の経験と色んな人から聞いた個人的な予想であって、確定された事実じゃない。

 

「私の家は元々身分が高かったらしくて、皇帝の懐刀としての役割を担っていたらしいの。別に皇帝一家との繋がりも全く無いんだけどね。その理由は、圧倒的な破壊力。

どれだけの力を持ってしても破壊できない物を、いとも簡単に斬ってしまうこの魔法だけが家の存在意義であり、皇帝一家が欲していたものなの」

「……」


 酷な話だ。能力だけが優先されて特別に位を与えられるなんて、要は使い捨ての駒ってことかよ。


「私の家は、その地位を逃したくなかった。詳しい理由は分からないけどね。だから心魂魔法(マギアス・ソウル)と契約を交わしたの。

()()()()()()()()()()ことと引き換えに、発現者に能力を制限されないってね」

「……そんなこと、出来るんですか?」


 心魂魔法(マギアス・ソウル)は対話ができる存在である以上、契約を交わすことだって可能なはずだ。けど心魂魔法(マギアス・ソウル)は人間個人の(ソウル)に刻まれた魔法。いわば人間が親のような存在なのに、親と対等になろうとさせたとは。


「普通は考えないよ。最初に私がこの話を聞いた時も同じ感想だったもん。でも、提案したのは私たちの方。心魂魔法(マギアス・ソウル)はただ約束を守り続けてるだけなの」

「なるほど。……なんとも言えないなぁ」


 力を求めた事を咎める権利なんて持ち合わせていない。けど、あまりにも身勝手な契約だと思った。


「結局、皇帝は行方をくらまして皇国という名だけが残り、地位の保証元がいなくなった私の家は平民に戻った。だけど契約は破棄されない。ずっと残り続けている」

「じゃあネリエルさんは、すぐ心魂魔法(マギアス・ソウル)を扱えるように?」


 無造作に何もかもを斬るとなると、かなりの対話が必要になる。というか、抑えこめるのかどうかも分からない。でも抑えなきゃ生活もままならないはずだぞ?


「無理だよ。私一人で抑え込めるほど、心魂魔法(マギアス・ソウル)は弱くない」

「じゃあどうやって?」

「グラハムが居てくれたから。彼がいたから、私は多くの時間を抑え込むことだけに注力できたのよ」


 言葉に迷いの色は一切見られなかった。

 それほどまでに、グラハムの存在はネリエルさんにとって大きかったのだ。

 

「グラハムの心魂魔法(マギアス・ソウル)って……」

「頭の回転が速いレージくんなら、二法の片割れって名前である程度推測できるんじゃない?」


 投げかけられた質問に、俺は頭を巡らせた。


(二法の片割れ……。つまりは二つで一つだったってことか?となるとネリエルさんと似た能力?でもあいつがいたから時間が作れたってことは、勝手に抑え込めたってことか。となると同じ能力というよりは……)


「"斬る"ことの反対、"繋ぐ"こと……」

「正解〜」


 サムズアップしてにんまりとするネリエルさんを横目に、俺は驚きを隠せなかった。


「てことはあいつの心魂魔法(マギアス・ソウル)は」

「手で触れたものを全て繋げるの。どれだけバラバラになっていようと、元の形をグラハム自身が知覚していたらね。そして私とグラハムの心魂魔法(マギアス・ソウル)は互いを潰しあう存在。

側にいるだけで勝手に力は弱くなる」


 互いを潰し合う存在……ってことは?!


「あいつもネリエルさんと同じような道を?」

「えぇ。まぁグラハムの性格と心魂魔法(マギアス・ソウル)だったから、あまり落ち込むことは無かったけどね」

「あはは……。そうとしか思えない」


 目を離すとすぐにフラフラ色んなところにいく奴だ。他人の目は気になるようなタイプじゃないんだろうな。


「話がそれたけど、心魂魔法(マギアス・ソウル)は私たち人間と深く結びついているけれど、深く知ることは出来ていない。

だから結論としては分からない、が答えだね」

「そうですか……。ありがとうございます!色々知りたい事が聞けました!」


(結局、俺の現状は誰にも分からないってことか……)

 この場にグラハムが居たら、まだまだ新しい手がかりが掴めるかもしれなかったけど。


「これからどうするつもりなの?」

「うーん。心魂魔法(マギアス・ソウル)が無い理由が分からない以上、今は基礎魔法とか魔力を底上げする事しかできないんで、ひたすらそれをやっていくって感じですね」


(童心に戻ってやっていくかぁ)


 そんな事を考えていると、ネリエルさんは思い出したように言った。


「もしかしてレージ君、私が心魂魔法(マギアス・ソウル)()()()()()と思って聞きにきたの?」

「え?そうじゃないんですか?」


 魔法学校の学校長ってことは、かなりの知識が無いとできない職だと思ってたんだけど、この口ぶりはもしかして……。


「あはは。違う違う。普通の人よりは知ってるけど、私の知識は全部()()()の受け売りだから」

「だ、誰なんですかその人!?」

「一度お世話になってる人よ。()()()()()

「……まさか!?」




『あなたはなんで、レージにイタズラするの?』

『あんたには関係ないでしょ!』

『もー。じゃあ早く僕を出してよ。レージが困ってる』

『だめ。()に気づいてくれるまで出してあげないわ!』


 はぁ……と大きな溜め息をつき、()()()に根負けして何も言わなくなった。


『なんで私に気づかないのよ……!()()!』


 レージの中にいる彼女の声は、未だ響かない。




いかがでしたか?

次は久しぶりにあの方が登場します。

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