6 勇者と喧嘩
「小賢しい」
「チッ…」
「もういい…魔力を隠すのもやめにしよう」
レオナは抑えていた魔力を解放した。
名称:レオン(擬態)(推定)
種族 緋色の亜人 Lv300
HP300000 MP■ 腕力■ 知力400 脚力■■■ 魔力量■■■
スキル 擬態
固有スキル 緋色の眼(劣化)
使用できる魔術 炎超級 水超級 土超級
「かはっ…てめっ…何しやがった…」
「何って少し力を解いただけさ」
「んな力がここにあっていいわけが…ね…え」
ガタイの良い亜人とほかの亜人たちは目をつぶり気絶した。
オーラに亜人の肉体が拒否反応を起こしたんだろうな。
「お疲れ」
「疲れましたよ。フェンリルと喧嘩したとき以来ですよ疲れたのは」
(フェンリルなんてのがこの世界にいるんだ)
結局いい器いなかったなぁ…奴隷か…会社でもそんな感じだったな…アハハハ…はぁ…まだ昼か…腹減った。なんか食いに行きたい。
「腹減ったか?」
「はい」
「どこかで食べるか」
「あそこがいいです!えっと…魔獣亭?ってところがいいです!」
「そんなところがあるんだ…従魔okなところだといいけど」
レオンがスカーレット・ウルフの姿に変身する。
「よし、行くか」
「もうお帰りになさるのですか」
「あぁ」
ラファルスがレオンの背中に跨る。
「そ、それはスカーレット・ウルフ!初めてお目にかかりました」
「あ、そ、そう…」
すこし引くラファルス。
苦手だ。いい歳をした大人が子供のように目を輝かせている。なんて気持ちの悪いことだろうか…
あまりの気持ち悪さに寒気がするラファルス。
「あぁ、触りたい…美しい…」
『下賤な人間が…』
「あ、もういきますので失礼します」
「そう、ですか…」
悲しそうにする奴隷商の店主。
レオンが走り見えなくなる。
「邪神王の復活に必要なスカーレット・ウルフの瞳…取れそうだな…」
煙草を吸いコーヒーを飲み込み奴隷商の店主がボソッとつぶやく。
「あなたはこのゴミたちをどうするおつもりで?」
「いやぁ、オノネカ。会えて嬉しいよ」
金髪の謎の女が店主に話しかける。
「あぁ、なんだっけな…えっと…奴隷たち…だっけ?」
「そうよ…こんな量のゴミを集めてなにする気?」
煙草を吸いフーっと息を吐く。
「アンラ・マンユの神話って知ってるか?」
「知らないけど?」
「じゃぁ話させてもらう…数億年前この世界は一度滅びてるんだ」
「何が言いたいの?それをアンラ・マンユってのがやったんでしょ?」
「半分正解。答えは邪神王と呼ばれる存在がいたことだ」
「いたぐらいで世界を滅ぼすなんてありえないわ」
「そうあり得ないんだ。だが、神ならどうだ?」
「それならあり得るかもしれない…だけど神なんて勇者がいなきゃ何もできないじゃない」
「そうだな。でもな彗星が降る夜…別の世界から破壊の勇者と呼ばれるものが召喚される。こいつらは世界を壊す為に邪神を植え付けられる…要するに破壊の勇者は邪神そのものでもあるということだ」
腕を捲る店主。
「でも、彗星なんて見ないけど…」
「そうだな、前の破壊の勇者が召喚されてから実はまだ100年しか経っていない」
「ならなんでこの話をしたのよ」
「それはな、俺の悪魔が持つ能力、〈邪神の鉢〉を使うことによって邪神を無理やり生物に植え付けることができる」
「それでこんなにゴミを集めたわけね」
「そうだ」
煙草を灰皿にこすりつける。
「お前も人間を辞める覚悟をしろ」
「どうして?」
「お前にも植え付ける」
◆◇◆◇◆
『ご主人様、急なのですが天使と悪魔って生まれつきいましたか?』
「ん?あぁ、いたよ?それがどうした?」
『普通の人は生まれつきで悪魔と天使を保有していません。ご主人様…どこかの貴族ですか?」
「んー」
少し首を捻る。
「ヴォルフォワードって知ってる?」
『はい、勇者を教育する貴族だとか』
「え、そうなの?」
『知らないのですか?』
「う、うん。一応俺もヴォルフォワードなんだけどなぁ…」
『そうだったのですか…』
「驚かないのか?」
『呆れてます』
「えぇ…」
ふ、ふてくされてる?何がいけないのだろうか…と頭を悩ませている間に宿が見えてくる。
『着きました』
「ご苦労様。」
レオンが人間の姿に変身する。
2人が宿の中に入ると店主と何者かが話をしているところを目にする。
あいつら…何者だ?完全に周りとの格差がある。数は4人だが4人とも強いなにかを放っている。まだそれほど強くはなさそうだが何なんだろう…。
「ん?」
「あそこの人…すっごい見てくるんだけど」
「悠馬さんあの人やばいです」
「ん?どうした?」
「あそこの黒髪の人すごいこっち見てるんだけど」
「君たちの美しさにきっと惚れてるんだよ…」
「えー、やだ私は悠馬君の女だから無理ー」
イラつくなあいつら…一応鑑定だけしておくか。
名称:大文字悠馬
悪魔なし 天使サリエル ラグエル レミエル サドキエル
神の恩恵:天照大神
種族:人間Lv16 勇者
HP167 MP190 腕力80 知力90 脚力160 魔力量20000
固有スキル 勇気ある者Lv5 魔族特撃Lv10
使用可能魔術 炎上級 水上級 風上級 土上級 光上級
名称:桜木尊
悪魔なし 天使バラキエル セラフィエル
神の恩恵:アストヒク
種族:獣人×亜人Lv14 勇者
HP212 MP30 腕力200 知力50 脚力400 魔力量1300
固有スキル 勇気ある者Lv4 特攻戦士Lv10
使用可能魔術 炎上級 獄炎最下級
名称:秋山鈴音
悪魔なし 天使スイエル マルティエル
神の恩恵:エア
種族:竜人Lv13 勇者
HP350 MP500 腕力200 知力100 脚力600 魔力量2000
固有スキル 勇気ある者Lv5 竜魔術師Lv6
使用可能魔術 炎上級 獄炎最下級 魔氷最下級
名称:赤嶋湊
悪魔なし 天使ラシエル サキエル
神の恩恵:ホルス
種族:鳥人Lv16 勇者
HP289 MP700 腕力200 知力130 脚力900 魔力量6000
固有スキル 勇気ある者Lv8 五感強化Lv5
使用可能魔術 炎上級 獄炎最下級 轟雷最下級
「おぉ…マジか、レベル15ぐらいでこれか…勇者!?」
種族の横にある文字を見て驚愕した。
「…教育…アリネスに任せるか…」
『ご主人様は死んだことになっているのでどっちにしろそうなります』
てか見たことのない魔術があるけどなんだ?これ獄炎、魔氷、轟雷…鑑定
名称:獄炎
説明
勇者専用魔術。この魔術は勇者が生まれる際に神から授かる。なお魔氷、轟雷、土岩、嵐雨も勇者専用魔術である。
へぇ、威力どんなものなんだろう…気になる…
「おい、お前」
「え、あ、俺?」
「お前以外誰がいるんだ」
「あんたさぁ、さっきからチロチロ見てるのわかってるからね?」
「お前は俺の女の子を泣かせた…許さない!!」
(泣いてねぇだろ…はぁ…めんどくさい…上司にキレられてる気分だ…)
「で、なんですか?」
「こいつっ…お前…俺と勝負しろ」
俺は啞然とする…こいつらはバカなのか?
「はは…はっはっはっは」
「何がおかしい」
少し怖気づきながらそう聞くとラファルスは口を開いた。
「いいよ…でも相手の力量もわからないまま勝負を仕掛けるのは…さすがに無謀だと思うよ」
「力量はわかっている…俺は勇者お前は一般人それだけだ」
「わかったわかった取り敢えず広場に行こうそれでいいな?」
「ああ、勿論」
宿屋から出て広場に向かう。
『ご主人様…相手は勇者です死なせないように戦ってください』
「わかってる」
広場に着きそれぞれ広場の端に行く。
「その狼も使っていいんだぜ」
「いや、いいよ逆に一人で大丈夫?」
「煽ってるのか?俺一人でお前ぐらい余裕さ」
「やっちゃえ悠馬君」
「それじゃあ行くぞ」
悠馬がコインを投げ落ちる。
その瞬間に悠馬はラファルスとの距離を縮める。
悠馬はラファルスの顔面に拳を入れたが首を後ろに倒され避けられる。
「なかなかやるじゃん」
「かかってこないのか?」
「やってやるよ!」
悠馬は拳をラファルスの腹に打ち込む。
「よし…なっ」
悠馬の腕がボキッと音を立てる。
「おい…もろすぎないか?」
「うるせ!!」
顔に拳をたたき込もうとするがラファルスがそれを指一本で防ぐ。
「お前…一体何者だ!?」
「ラファルス・ヴォルフォワード…よろしくね」
ステータスを解放する。
(ステータス解除)
名称:ラファルス・ヴォルフォワード
悪魔■■■■ 天使■■■■
種族:神聖魔王Lv■■■■■■■■■■■■
HP■■■■ MP■■■■ 腕力■■■■ 知力120 脚力■■■■■■■■ 魔力量■■■■■■■■
固有スキル 逾樊ョコ縺�∞
使用可能魔術 螟ゥ荳雁、ゥ荳句髪謌醍峡蟆�
竜人の一人が吐く。
「おえぇええ…」
「どうしたの!?」
「あれは…人間じゃない…それこそ神以上の力を持つ…おえぇええ…」
悠馬は失禁した
もう年末ですね、クリスマスに投稿は間に合いませんでしたが年末にはなんとか投稿できました
来年も宜しくお願い致します。
追記
今回から鑑定の使用できる魔術を使用可能魔術と表記しましたがこれはミスではなく、ラファルスの鑑定の能力が一段上がったのでこのような表記になっています。ご理解の方お願いいたします
烏山一太