3 旅立ち
『娘を眠らせたか…我と1対1で話をしたいようだな』
『いや、普通にめんどくさいだけさ』
『む…念話を使えるのか』
「あ、眠らせたのか、ならこっちでいいか」
そういえばここに魔物が3000匹ほどいたんだよな…まったく気配がない…こいつのせいか?
『ところで小僧なぜここに来た、貴様勇者ではないだろう』
「そうだよ、俺は勇者じゃない」
『ならなぜここに来た』
「剣だよ…剣の素材のためにここに来た」
『くだらん、実にくだらん』
「そうかな…」
『勇者ではないのなら…死ぬがいい――七色の息』
おいおい勇者じゃなかったら死ねって…さすがにひどいぞ…
てか、このレインボーブレスってやつの属性何個あるんだ?――鑑定
技名称:七色の息
属性 炎 水 雷 風 土 闇 光
説明
七色の魔獣が有する技。スキル〈七色奥義〉で取得可能。
全属性か…スキル作成で七色奥義作れそうだな。
――スキル作成 スキル七色奥義
『スキル七色奥義を取得。続いて属性に属性を合わせるスキル、属性合成を取得。現在レベル1です』
おぉこれは使えそうだなレベル上げとくか。
『属性合成のレベルアップを確認。現在レベル10です。レベルが最大になったことによりスキル〈魔属性〉を取得』
魔属性?どんな感じのスキルだ?説明っと。
スキル名称:魔属性
属性:暗黒
説明
その昔初代魔王が発見した属性…この属性は手にした者の生命力を代償にすることで使える。
ひぇ…さすがにこの世界でも死にたくないぞ…
『安心してくださいご主人様』
『うわぁあ!?ってティアマトか…驚かすなよ』
『生命力を代償にさせないようにしておきました』
『え…それってやって大丈夫なの?』
『ええ、私が最高神なので』
『えぇ…』
まぁなんでもいいや、とりあえず取得したスキルで
「――七色の息」
『ムゥ!?』
(押し返されている…我の技をまねたか…ならば)
『――三色の爪』
所詮はこんなものか…おとぎ話って盛ってるな…
「――全ての属性」
『こ…この魔法は…!』
ふぅここらいったいにいた魔物どもも一緒に灰になっちやったか?
「――魔力探知…うむ灰になったようだな」
焼けた道を歩む。アリネスの記憶操作もしておかないとな…
って剣の素材が…あたり一面見渡す限り魔石とドロップ品がある。あ、うん大丈夫かも。
『ぐ…うぅ…』
土の中から七色の魔獣が出てくる。まだ立てるのか…まぁこれぐらいにしといてやるか。
「さーて記憶操作っと」
『待ってくれ…ぐっ…』
「その体で何がしたいんだい」
ボロボロの七色の魔獣に問う。もう立つことすらやっとのことだろうに何がしたいのかな。
『お前…いや…あなた様は…勇者ではないのか?』
「だから違うって」
『ではなぜ全ての属性が使えるのだ?』
吐き捨てるように七色の魔獣がそう言った。どういうことだ勇者の条件は天使しかおらず神が1人宿っている…これが条件のはずだ。だが俺には悪魔がいる、ってことは違うよな。
「俺悪魔いるよ?」
『なっ…』
「まぁ、勇者だろうが魔王だろうがそんなのどうだっていいんだよお前、ここでずっと勇者待ってたんだろ」
『あぁ…はい…』
「なら、俺がお前の勇者になってやる」
『ど…どういう』
「俺についてこい」
うむ何言ってるんだろう…俺。七色の魔獣には悪いがそれっぽいことただ並べてるだけなんだよ。
『…はい!』
まぁいいかそんな事。よし計画通り、記憶操作をして旅立つとしよう。
「すまんな姉さん。――メモリーオペレーション」
『記憶操作の魔法ですか?』
「ああ、俺はお前に殺されたことにした」
『よろしいのですか?』
「いいんだよ、もともと貴族として生きるつもりはないし、また誰かに支配されて労働するってのも嫌だからね」
『誰かに支配されていたのですか?』
「まあね、さて旅立ちの準備と行こうか」
そして俺はそこら中にある魔物たちのドロップ品や魔石を回収していきスキル〈アイテム収納〉で収納していった。
「こんなものかな」
『お疲れ様です』
「ああ、そういえばお前って性別あるの?」
『はい、私の性別はオスですね』
「ふぅん、あと名前って魔物にあるのか?」
『ないですね、種族名はあるのですが名づけとなると魔力を膨大に消費しますが進化の過程で必要になってきます』
「なるほど、じゃあ俺がお前に名付けをしてやろう」
『よろしいのですか?』
「あぁ、それにいつまでもお前だとこれから旅で一緒だってのに呼びずらいだろ?」
『なるほど、理解しました。では、お願いします』
「ああ、うーんと…名前は…――レオンだ」
『ありがたく頂戴いたします』
「あぁ」
旅立つ準備はできているがさすがに記憶操作をしたとはいえ何もなかったら不自然か。よし、着ていた服に血糊をつけそこら中に血糊をばらまけば完了っと。あとはダンジョンに魔物がいないかどうかだな。
「――魔力探知」
よし、いないようだな。ダンジョンに出る前に女神、天使、悪魔を召喚しないと。
「神代表ティアマト。天使代表コスモス。悪魔代表タナトス」
『はっ』
「コスモス、俺は旅立つ。天使を40人ほど我が家においてほしい」
『了解した』
『旅立つ準備はもうできているの?』
「あぁ、できているそれと人形の体を作りそこにお前たちを宿らせたい」
『でしたら、ふさわしい人間を見つけそこに我々が入るというのはどうでしょう?』
「それでもかまわない」
レオンは乗り物として申し分ない。このまま近くの街まで行くか。そのまえに…
「なぁ、ティアマト」
『はい』
「ヴォルフォワード家って有名なのかな」
『王国直属の貴族なので有名ですね』
有名すぎる…さすがに名前は変えておいたほうが良いか。うむそうだなサラサ=マーブロス…まあこれでいいか。これからはサラサ=マーブロスを名乗ろう。
「ダンジョンを出る、レオン」
『はい』
レオンに乗りダンジョンを出る。外はまだ明るい…明るいうちに街に行ったほうがいいよな。
「天使エルティセ、召喚」
『お呼びかな?』
「あぁ、この近くの街を探してほしい」
『了解!』
とりあえずは街に行き食料を確保…のちに色々見て回るとしよう
資金は魔石で補うとして問題は俺の体に宿っている者達だよな。それに見合った素質のある者がいいのだが、はたしているのだろうか?ステータスは隠せるものの悪魔たちの魔力などが強大すぎるから街に行ったとしても街の人たちに恐れては元も子もない。
『主、ここから南西に王国があるよ』
「ありがとう、そこに行くとするか。レオン、聞こえたな」
『はい!』
姿も変えておかなくてはいけないな…なにせ7歳の体だからな。せめて20代の体が望ましい。スキル〈肉体変形〉でどうにかなるだろうか物は試し…やってみるか。
「スキル〈肉体変形〉」
『おぉ!!』
「よし、成功だ。大人の肉体を手に入れた」
『理由をうかがっても?』
「あぁ、さすがに子供の肉体で王国に行くと怪しまれかねないからな」
『なるほど…!』
便利だな…ただMP消費が激しいなまあ湯水のようにあるから問題はないのだができるだけ温存はしておくべきだよな。
「準備完了だ」
『了解です』
「少し待て、レオン」
『はい?』
「――魔物変化」
『我が肉体がスカーレット・ウルフに代わっていく…!』
「あぁ、さすがにSクラスのモンスターを従えていると騒ぎになるだろ?」
『承知しました』
「出発だ」
『はい』
平原を全速力で駆け抜け森に入る。
「あ、ゴブリン」
『倒しますか?』
「いやいい、進もう」
『了解しました』
しばらくして川沿いにでた。
休憩をするか…さすがレオンだ体力はあるな。さて、お待ちかねの武器作成と行こうではないかっ!
「――神バネッサ、召喚――」
『やはり、勇者なのでは…?」
「よう、主」
「素材は集まったんだ!今すぐ作ってくれ!」
「了解だ。素材出しな」
「これだ」
(なんじゃこりゃ、えげつない物ばかりだな…この角なんかA級の魔物、ミノタウロスの物だぞ…それと主のそばに控えてるスカーレット・ウルフ…こいつはA級のモンスターの中では下から数えたほうが早い方の魔物だぞ、なのに奴からはありえないほどの膨大な魔力を感じる。)
「えらいもの持ってきたな…」
「あぁ、S級ダンジョンに行ったんだよ」
「ふむ…通りで素材がいいわけだ」
「あとこいつと出会った」
『お初にお目にかかります、女神バネッサ』
「おう!ところで、お前からやべーほどの圧と魔力を感じるんだが気のせいか?」
『いえ、多分あっているかと思います。私の名前はレオン種族名七色の魔獣です』
「そりゃこんなに魔力を持つわけだ」
「ところで、剣は作れそうか?」
「あぁ、任せろ。ちっと時間は必要だがな」
「どれくらいだ?」
「3日だ」
「わかった」
そう言いラファルスは土系統の魔法を使い建物を作り、魔力障壁を張り工房を作った。
「こいつは…」
「工房だ。自由につかっってくれ」
カウンターの中に入りバネッサが素材を受け取る。