1 転生ボーナスやばすぎる…
大雨が降る中俺は仕事をしている。ふぅと一息つき帰る準備をする。
「お先に失礼しまーす」
と急ぎ気味で腕時計を見ながら会社を去る。
もう午前4時を回っていた。
にしてもとてもすごい雨だな、天気予報は晴れのはずなんだけどなぁ…そう思いつつ信号を渡ろうとしたその時、光る何かにぶつかった。
「あれ、ここどこだ…何も見えない…もしかして…死んだ?俺」
ゆっくり沈んでいく感覚はあるが思考がよく回らない。
少し時間が経過するたびに沈んでゆく。
もう目を閉じようと目をつぶった。
「やったぞマリ!俺たちの子だ!」
「ええ、ほらリリーあなたの弟よ」
「わぁ!」
弟?何を言ってるんだ?
疑問を抱きながら目を開ける。
む…そうかなるほど…いや驚いた、転生したのかまぁ薄々理解はしていたが本当にするとは…
「おい、そこのお前」
何か声が聞こえるが俺のことではないだろう。
「お前だお前何知らん顔しとるんじゃ」
「え、俺?」
「そうじゃ」
と手を腰にあてている女の子が言う。
え、なにこれ黒っぽい?あ、でも白髪だ。
角かなあれ翼も生えてる
「あ、お前いま私のこと子供だと思っただろ」
「いや…思ってないけど」
ちょっとかわいい。
「奥様、測定を」
「ええ、そうね悪魔と天使の測定ね」
へ?悪魔?天使?何を言っているのか全く分からないのだが。てか悪魔とか天使ってほんとにいたんだ。
てことはあの黒い女の子は…
「バカめ、気づくのがおそいわ」
ごみを見る目でその女の子は俺を見つめる。
でもこの子が悪魔なら天使はどこにいるのだろうか。
「天使はどこにおるのか気になるようじゃの」
「お見通しで」
「天使ならお前の足元におるぞ」
足元を見ると俺の足をつんつんと触っている金髪の少女がいる。
あ、ほんとだ。
「ごほん、この度は転生おめでとうございます、我々天使一同はあなた様に忠実に従います」
「我々悪魔もおなじじゃ」
「私達神々もあなた様に忠誠を誓います」
へ?神?急展開過ぎてわけわからないのだが?
「驚くのも無理ありませんね。では少しこの世界についてお話しましょう。この世界の名はエンジェル・デビル・ファンタジー・ワールドです、略してエンデビです!」
「は、はぁ……」
理解が追い付かん!
「ここエンデビは生まれつき悪魔と天使が人間に宿っています、普通なら悪魔と天使は1人につき2人なのですが、貴方様は悪魔182人天使238人を宿しています!」
「えぇ!でも、なんでそんなに宿っているんですか?しかもあなたさっき『私達神々も』って言ってたじゃないですか」
「よくぞ聞いてくださいました!理由は簡単です。死と生を操る神(私)がうっかり処理する人間を間違えたようなのです、なのであなたは転生神にお願いして転生させました」
つまり転生ボーナスと詫びってことね
「でも、なんで神が俺に宿っているのですか?」
「簡単です、私達の好みの顔をしていたからですよ。あと謝罪の気持ちもありますけどね」
神って人間に似てるなぁ…
「測定の結果をお伝えします」
「ええ、どうぞ」
「お子様の天使と悪魔の人数は一般並です」
あれ、あんなに多かったのに何故?
「それは隠したからですよ、さすがに転生ボーナスとはいえ多すぎてあなた様のことを兵器として利用されかねませんからね。そうなってしまうと我々も不便なのですよ」
「そういうことか…」
夜になった。姉さんがめっちゃ肌を触ってくる。よし、寝よう。次の人生は楽しくやろう。
生まれてから7年が経った。
俺の名前はラファルス・ヴォルフォワードというらしい
生前は岡崎慎司って名前だったなぁと思いだす。
「青空の下、かわいい女の子たちが遊んでいる…」
うむ、いまサラッとやばい発言をした気がするがまぁいいだろう!
ちなみに俺は今魔法を常人の数千は持っているらしい固有スキル『共有』のおかげだろう。
俺の固有スキルも10000は越しているだろう。
「フッ」
かっこつける。
「ラファルス様、なにやってるの?」
「おぉ、メクシア」
この金髪美少女は俺の天使の一人メクシアだ。
メクシアは天使の中で12番目に強い子だ、とても好みである。
「何もしてないよ」
「そう?」
顔を傾げるメクシア。
そういえば悪魔さんたち『花とかは大嫌いじゃ』って言って家に入ってったけど、何してんだろう?
「メクシア」
「どうしたの?主様」
「アイビスたちがどこに行ったかわかる?」
「アイビス様たちならキッチンにいるよ」
「はりゃ?そりゃまたなんで」
「主様に料理を持って行ってだれが主様を喜ばせられるか勝負してるそうです」
アイビスとソフィーか…アイビスは俺がこの世界に転生して初めて見た悪魔だ。ちなみに3番目くらいに凶悪だったらしい
…なんでも『神殺し』の異名を持つんだとか。
「でもこれが3番目かぁ」
溜息を吐きながら言う。
ソフィーはとてもクールな女性だが、俺と二人きりになるとすっげえ甘えてくる美女だ。悪魔の中ではサキュバスに近いかも。唐突だが俺は今剣が欲しいのだ。
「剣が欲しいなぁ…」
「剣がほしいなら『想像』の能力を使えばいいんじゃないかな…?」
「違うんだよメクシア、俺が欲しいのは一から作り上げられ鍛え上げた剣が欲しいんだよ!」
「なら、バネッサ様に作っていただくのはいいんじゃないかな?」
「バネッサか!」
バネッサ、武器を作るのにとても長けている女神。俺は今まで剣を自分のスキルで作っていたから頼んでいなかったのだ。
「行ってくる!!」
「いってらっしゃい、主様」
猛烈に走る。
フッフッフ魔法とはこういうときのためにあるのだよ
〈脚力上昇〉の魔法を使ってバネッサのいるとこまですぐに行くのだ。
「フゥ、到着」
バネッサがいるのは俺の別荘だ。俺が父さんに願って4つになる時にもらった。それをバネッサが改造し、鍛冶をするための家になった。
「おう!主じゃねぇか!」
「よう、バネッサ」
「どうしたんだい、そんな目輝かせて」
「剣が欲しいんだ!作ってくれないか?」
「主はスキルで作れるんじゃねぇのか?」
「違うんだバネッサ、俺が欲しいのは一から鍛え上げられた剣が欲しいんだ!!」
「つってもなぁ…お!」
「作れそうか?」
せっかく異世界に来たんだ武器は簡単じゃないほうが俺はいい
「素材を取ってきたら作ってやるよ」
「ヨシ!行ってくる!」
「はやっ…」
素材は何にするかな…まぁいいやそこらへんのダンジョンにでも入ってクリアしよーっと
「どこに行くんだラファルス」
「ダンジョンですよ父さん」
「ナニィ!!危険だ!」
「大丈夫ですよ」
「そうよ、あなた心配し過ぎよ」
「だが…」
「私が行くよ」
「姉さん?!」
アリネス・ヴォルフォワード、17歳で剣王ジャズと互角で渡り合える実力者…悪魔は上級天使も上級のハイスペック女子
「おぉ、それなら安心だな」
「じゃぁ、行ってきます」
家を出て森を歩く。
気まずいなぁ…
「ねぇ」
「はい…」
「走ろ」
「あ、う、うん」
「〈脚力上昇〉」
無詠唱で魔法をかける。
「やっぱり」
「なにが?」
「無詠唱のこと」
「あぁ、詠唱あると不便じゃん?」
「そう」
姉さんは俺の言葉を冷たくあしらう。
にしても家からダンジョンまでの距離って意外と遠いな…
風の魔法の応用で空とか飛べたりしないかな…
「お、見えた」
ダンジョンに向けて勢いを上げて走る。
「ちょっと待って、S級のダンジョンがある」
「出直す?」
「いいや、しない」
ダンジョンには階級がある『F.魔物が弱くアイテムなども出にくい』『E.魔物は弱いが統括者がおり武器などが眠っている』『D.魔法を使う魔物が多くごくまれに魔剣が刺さっている』『C.ドラゴンの生息域によく現れるため下級ドラゴンがよく住み着いており天使と悪魔の能力を使わないと簡単にやられてしまうレベル』『B.ゴブリンの巣窟、入って戻れたものはいないという』『A.悪魔の迷路、近寄ることすらできないオーラをはなっている』『S.300メートル先からでもそのオーラと魔力を察知できる』
「大丈夫私がいるから」
「う、うん」
S級ダンジョンに向けて足を速める。
S級ダンジョンかぁ…どんな感じだろうか俺は魔物を1度でも倒したことはないがそのための準備をしてきたから問題はないはず。
「この威圧感…」
「姉さん?」
「ううん、大丈夫行こう」
俺たちはS級ダンジョンに入った。
お読みいただきありがとうございます誤字などがありましたらご報告等お願いいたします。ブックマークなどをしていただけるととても励みになります。たまに都合により休暇をいただく場合があるので宜しくお願い致します。烏山からでした