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魔法のまぎあ!  作者: みあみあ
第1話 私、入学します!
4/4

1.私、入学します!(4)

 今流れている静かな時間。

戦いが始まる時、毎回集中するために、こうして数秒間静かになるのだ。

さて、この数秒が流れた後は戦いがようやく始まる。


まず、相手から魔法攻撃が来る。


「オラァ!くたばれぇ!!」


さっき言った通り、魔力は飛躍的に上昇する。

ただ、属性単体連射という弱い攻撃をし続けている。


「ふーん、そんなにチマチマとやるんだね。こんなのすぐに避けれるよ。」


とりあえず魔力切れを狙うために大きな攻撃をするよう煽ってみる。


「クッソ…ガキがァ!!!」


相手はその煽りに乗ってしまったようだ。

属性単体連射とは、その名前の通り1つの属性攻撃を連射することだ。

攻撃力も高くないものを連射すれば、それはそこそこ強い攻撃ではあるが、試合を決する程でもないため、あまり使われない。


「お望み通りぃ消し炭にしてゃらぁ!!」


そうして撃たれたのは魔力消費量が超絶高い一撃必殺。

もうそんなもの出してしまうのかと驚いてしまったが、これを相殺すれば相手の魔力切れを起こすことができるだろう。


「さて、どうしたものか。ね、アクちゃん?」

「…アレをやれと?」

「いやまぁ結局アクちゃんも出るんだし、やっちゃおうよ。」


私がそう提案した後、とにかくこの攻撃を消してみる。

強そうに見えるが、ほかの魔法攻撃をしていたことによって全然魔力が無かったらしい。

ダメだこれ。


「まぁ、弱いよね。じゃあコレあげるよ。」


私はそう言って不良組に向かって魔力を全回復する回復薬を投げた。

相手はそれを受け取ると、躊躇なく飲み、魔力を全回復させる。


「へっ、なんのつもりだ?そんなに死にたいのかぁ?」


相手が復讐心に刈られて、正常な判断すらできないことを確かめるためだ。

というか確信したから投げた。


「じゃあお見舞いしてやれぇじゃねぇか!!今度こそ消し炭になりゃがれぇ!!!」


そう言って放ったのは特大魔法5属性を合わせたとんでもない魔法だ。

私は迷わずその攻撃に生身で突っ込んでみる。

ギリギリ当たってるくらいに調整して、ね。


「おいおい、血迷ったんかぁ?」


「そうそう、これを待ってたんだよ。私が何も考えないで投げるわけないのにね。」

「さて、やるとするか。誘導ありがとよ、リリー。」


服はどうにか当たる部分を調整して、悪魔が今見えているお腹部分にだけ当たった。

私はあの一撃を喰らって分かった。

アレは確実に全魔力を使っている。

つまり、悪魔の出番でもあるわけだ。


「さて、始めよっか。最終魔法裁判、開廷だよ。」


私のお腹にある口、その本体である悪魔は、ピッタリお腹に口だけ存在する。

そして、悪魔は大きく口を開けた。

そこから出てきたのは紅き刃を持つ悪魔の剣。

私は自身の手についている黒いゴム手袋みたいなやつを取り、その剣を手にした。

そうして、闇で構成されている手は、剣を優しく包んで、しっかりと握る。


これは、全魔力を放った魔法を、属性の相性など関係なく、残らずすべて切り裂く。そういう素敵な道具。

ということは、この強力な魔法をすべて切り裂くのだ。


「あの攻撃を…消しただと!?」

「全魔力だぞ!?てめぇ!!一体何をした!!」


そうして辺りは沈黙に包まれ、私はこの魔法界における悪魔の裁判を開廷した。


「お前達は魔悪を用いて、全魔力を使い切った。そして、その力を己の邪悪な欲に使ってしまった。」

「ましてや殺人なんてね。」


悪魔と私の一人から放たれる二人の声。

不協和音となり、聞く者全てはその声へ集中する。


「最も重い罪、魔悪を使って魔力を使い切ることだ。更に、そのくだらない動機も、罪に重ねていくぞ。」

「そうすると、どうなるか分かる?」


魔悪アイテムとは、魔力を消費しても眠らないが、その代償として、この裁判を受ける。

そして、使用者にそれ相応の罪を与える。


「普段の行いも、全て合わせよう。お前達に、判決を言い渡す。」

「今こそ、裁きの刻…」


「ひ、ひぃぃぃぃ!!!化け物だぁぁぁ!!!」

「に、逃げろ!!奴はヤバい!!悪魔だ!!」


魔悪とは、名前を並べ替えると悪魔、つまり、悪魔のアイテム。

人間が使おうものなら、相応の代償が必要になる。

例えアイツらが逃げようとも、この裁判からは絶対に逃げられないのだ。

私は魔法を使って奴らを拘束するだけ。

そして、その裁判を行うのは、最高位の悪魔が行う仕事。


「判決…終獄刑。」


つまり、私の悪魔だ。

私のお腹から出てくる黒い手は、不良組の四肢を掴んで、引きずり込む。

そうして悪魔は大きく口を開け、その奥に存在する地獄へと連れ込んでいくのだ。


「地獄の果てで…悔やんでね…?」


3人は流石に入り切らないかも思ったが、全然入った。

こいつらが悪魔の口に入っていくと、大きく開けた口は勢いよく閉まって、ゆっくりと動く。

そして、そこから咀嚼音が聞こえる。

しばらくすると、少し変な感覚と共に、飲み込んだ。


それは、地獄への入口であり、捕食でもある。

なにより、この味がたまらない。

悪魔は捕食が終わると、舌舐めずりをして何事も無かったかのように振る舞う。


「あいつら、そんなに悔しかったのかな。」

「元から負けを知らない奴が負けたら悔しいんだろうな。」

「そうだねー…あっ!やばい!」


気づいた頃には遅かった。

近くにはソルちゃんもいたが、腰を抜かして、地面で崩れ落ちているかのように怯えていた。


「リ、リリーちゃん?リリーちゃんなの…?」

「…うん!リリーちゃんだよ!怪我なかった?」


彼女には不安かもしれないが、私はいつものように接することで少しでも警戒を解いてあげたい。


「と、とりあえず教員達はこの場から退かしておいたけど…学校の窓際にいる人達が…リリーちゃんの秘密、バレちゃったね…」

「あー…もういいや、ああいう奴らを裁くのが私の役目でもあるし、どの道バレるとは思ったよ。」


…とは言ってもバレるの早すぎるっていうか、あいつらが余りにも頭おかしいからすぐバレたんだろうけど。

しかし、どこからあのアイテムを持っていったのだろうか。


私は魔悪アイテムをすべて回収すると、悪魔がそれに反応するように口を開ける。

私は、魔悪アイテムをその口へと放り投げていく。


「でも…リリーちゃん…悪魔って…」


「私の悪魔は最上位に存在する悪魔の王、サタン。あの伝説に存在するとされていた魔法使いだよ。まぁ彼の正体は悪魔だったってことなんだけどね。

でも、こうして私の身体に宿ったのは、悪魔が助けてくれたから、と言えるかな。」


悪魔の舌は魔悪アイテムに巻き付き、私が喋っている間、ずっと食べるのを待っていた。

こうして話しきると、悪魔は待ってたと言わんばかりに、口へと運んで…食べた。


「ふぅ…さて、戻ろっか。」

「いいけど…リリーちゃん、服は?」


「あぁ、それなら魔法で戻すことだってできるし、べつに気にしなくていいよ。」


破れた服も、魔法ですぐに戻すことができる。

魔法って色んなことができるから素晴らしい。


 結局、授業は中断、今日は全員寮へ戻ることになった。

帰る途中すんごい視線が集まってたけど。


「そりゃ、自分の役目が役目だし、想定はしてたよ。」


悪魔の存在は、ソルの言った通りっぽい。

思った以上にリアクション薄かったし。


「でも、リリーちゃん、すっごいかっこよかったよ!

それと、あの…魔悪アイテム…だっけ?あれって一体何?」


「いいよ、説明する。まず、魔悪というのは、悪魔が過去に使っていたとされる古の道具であって、その力は世界をも支配できる程に強いんだよ。」


少し視線が気になるが、とりあえず彼女に説明くらいはしてあげないと。


「ただ…何者かによって、あれが地獄からこっちに来ちゃったみたいで…

それを全部回収することが私の目的。

アレは人間が使ってはいけない、絶対にね。」

「んー…じゃあ、何か私も手伝えることがあれば、いつでもリリーちゃんの手伝い、するよ!」


「あはは…嬉しいよ…ソルちゃん、ありがとう…」


私、ソルとのルームメイトになって良かったのかもしれない。

最初は本当にどうなるのかと思ったけど、理解してくれて本当に感謝でしかない。


「とりあえず…他の皆にある記憶から、あの事件について忘れさせないとね。

あるんだよ、そういう魔法。」


無属性ではあるが、結構使える人は限られてくるすごい貴重な魔法だ。

魔力の消費量も多い。


「…改めて、ソルちゃん。これから、よろしくね!」

「うん!リリーちゃん!とりあえずお風呂入ろうよ!」

「え、う、うん。入ろっか。」

「やったー!」


もしかしてソルって風呂好きなのか?

とりあえずで風呂を提案するってどういう思考回路してんの??

やばい、この人まだよく分からないとこ多すぎる。

良かったとか思ってたけど、分からないことだらけで、ちょっと不安になってしまった。助けて。

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