1.私、入学します!(1)
「なぁ、知ってるか?」
「あぁ、新入生の件だろ?」
「そうだ、なんかヤバい生徒が来るらしいってさ!」
「もしかしてとんでもない不良とか!?」
「そんなことはない…はず…」
「あっ、入学式始まったぞ!」
4月5日、入学式。
ここ、神羅最高魔法学校での生活が始まる日である。
「えー、新入生の皆さん。入学、おめでとうございます。私は校長のタナカと申します。この場で話したいことは沢山あるのですが、(小説の尺の都合で)今回は少しだけ話させていただきます。」
この学校は皆が目指す最難関校とも言われている。
実際にここでは様々な偉人を排出したすごい学校なのだ。
「…では、改めまして、入学、おめでとうございます。以上です。」
そして、この学校は面接と魔法試験という2つが存在する。
ほとんどの学校は大体コレだが、問題がこの魔法試験である。
「では、続きまして…新入生代表の言葉。新入生代表、リリー・V・マギアさん、お願いします。」
私がこの学校にこれたのは、運命か、奇跡か。
それも全く分からない。
それでも、この学校に入学できたのは素晴らしいことだった。
「えっ…ちょっ…紙とか…あ、アドリブ!?わ、わかりました…。
え、えー、生徒の皆さん、そして、教師の皆さん、こんにちは。まず、この学校に入学できて、どのような学校生活が待っているのか、すごく楽しみにしてきました。この場に立っている今でも、そう感じます。」
思えば少し前の学校はとんでもなかった。
というか辛い思い出しか無かった。
この学校でもそうでないことを祈りたい。
「はい、以上です。最後まで聞いてくださり、ありがとうございました。新入生代表、リリー・V・マギア。」
ただ、この学校ではそこそこに厳しい授業があるはずだ。
そんなもの、あの頃の悲劇に比べたらマシだろうか。
「では、入学式をこれにて閉式させていただきます。新入生、退場!」
そうして、ようやく入学式が終わったが、次は教室に行かねばならない。
クラス分けという概念が待っているためだ。
既にもう、皆がワイワイとそのリストに集まっている。
少し離れても見えるため、人波に揉まれず読むことができた…が。
よく考えたらまだ1学期だ。誰がどの配置に着こうとも良いと悪いの区別がつかない。
「ねえねえ、キミ、同じクラスだよね!?」
突然、後ろから話しかけられた。
…しかし、後ろなので見た目もなにも、誰だかわからない。
分かるのは声の高さからして女の子なんだろうな、ということくらいだ。
恐らく、代表故に絶対名前だけ把握してこっちに来たんだなと察した。
「あー…うん。そ、そうだと思うよ?」
私は曖昧な返事を返した。
私はリリー。もとい、新入生代表に選ばれてしまった新入生。
この入学式において、まさかあんなことが起きるとは思ってもいなかった。
なんだアドリブって。台本みたいなやつはないのかよ。
「私、ソル!よろしくね!」
彼女は前に回り込んでくるようにやってきた。
運動しかできなさそうな感じの、いわゆる体育系脳筋女子って感じな見た目だ。
…まぁ文章だけでは伝わらないか。
「そ、そうね…よろしく。」
早々に絡まれた。そこそこ厄介そうな人に絡まれた。
何故だろう、なぜか、嫌な予感がしてきた。
こいつと絡んだら何かやばい事になりそうな気がしてきた。
「教室あっちだから、リリーちゃんも行こうよ!」
そう言いながら私の腕を掴む。
「ちょっ、引っ張ら…うわっ!」
私は腕を掴まれてすごい力で引っ張られる。
結局、教室まで引っ張り回されてしまった。腕もげそう。
「あ、席書いてあるよ!」
さっきの地点からここまで50メートルあるかどうかの距離だ。
なんで人を引っ張って疲れすらしないのか。スタミナおばけなのだろうか?
それはさておき、教室を開けると、学校かと疑うくらいにそこそこ不思議な教室だった。
魔法使い系の映画とかにあるような教室。何かこう、少し広くて、後ろに本とか置いてある。
上を見上げるとなんかへんなオブジェがあるし、完全にこれは2階分使われているスペースだ。
「あっ、リリーちゃんの隣だった!やった!ほら、リリーちゃんもこっち座って!」
彼女は自らの席に座ると、隣の机をトントンと叩く。
そんな机は木製で、綺麗な色をしている。
「ふぇっ?嘘でしょ?」
なんと彼女と隣の席だった。これはやばそうです!
なんかもうこれ最初から大変そうな配置です!
想定外の事態に変な声が出てしまった!
初対面に馴れ馴れしく接されると対応が難しいと言うけど、本当にそうなんだと思い知りました!助けて!
「ねぇねぇ、属性なになに?私そういうのすごい気になるんだよね!」
相変わらず元気そうにグイグイと話しかけてくる。
「は、はぁ…ぞ、属性…ねぇ…」
私はそのテンションについていけず、彼女の話をただ聞くだけになっていた。
「私はDeal!火と木と闇!」
彼女はそのテンションで次々と話を進める。
彼女も無理に明るくしてるわけではないのは分かるのだが、あまりの明るさに頭がおかしくなりそうだ。
「…Trie、木と水と光…」
私はとりあえず少しテンション下げ目で返していくことにした。
学校生活始まって早速この調子だと、もうなんか不安でしかない。
果たしてこの先やっていけるのだろうか。
そうして気づけば11時、30分経った。
色々と楽しい妄想を繰り広げようとしてた30分が全部潰れた。
「よし、全員席に着いたな?」
教員がやってきた。
それに気づいた生徒達は自らの席に急いで戻っていく。
そういうのってこの学校でもあるんだなと、万国共通なのだろうか。
本日はそれぞれ出席確認した後、ホームルームに続き、解散って感じの流れになる。
「さて、まずは担任の名前を覚えてもらわないとな。勿論、生徒の名前もだ。」
黒板という少し古めなものに、手にあった白いペンで書いていく教員。
チョークは手に粉が着くから廃止されたらしい。
それでも、その懐かしさを味わうために使っている学校がある。
「タツヤ、皆覚えたか?これからはこの名前で呼んでもらうぞ。」
白いペンを置くと、可動式黒板をガラガラと移動させ、書いた文字を上に上げていくのだ。
言い方的に真名では無いような感じだが、下の名前の方で呼んで欲しいのだろう。
別に問題は無いが。
「そして、生徒手帳と魔法に使うための道具を配布する。道具は必需品だからな!大切にしろよ!」
これら一人ずつ渡されていくのだが、生徒手帳は過去の学校で貰った経験がある。
嫌な過去を思い出しそうにもなるが、見た目とか違うので変に思い込んだりしなければ大丈夫だろう。
それと道具。前はプラスチックの箸(片側のみ)みたいな棒だったのだが、危ないということでボールになっている。
ちなみに投げたら戻ってくるため、超絶近距離じゃなければ当たることは無い。
「よし、それじゃあ次はここの寮についてだ。この学校には4つの寮が存在している。
生徒はこの4つから選び、その中にある空き部屋を借りて生活することになる。
あ、ちなみに一部屋に二人だからな。」
これがこの学校の特徴。
共同、シェアルームとでも言うべきか。
選ぶ人を間違えたらかなり辛いことになるため、慎重に選ばないといけない。
…もっとも、私の隣にいるやつとは勘弁だ。
「さて、これぐらいか。よし、ちょっと早いが解散だ!どの寮に入るか決めてきていいぞ!」
教員は出席表を机に置くと、黒板に書いた文字を消し始めた。
そして、解散という言葉が聞こえた瞬間、生徒は素早く気になっている寮へと走っていく。
まるで子供のようだ。
ちなみに私以外はほぼ全員出ていってしまった。
「…お、どうした?行かないのか?」
教員がこちらを心配そうに見つめる。
「…いえ、少しここからの景色を眺めてからで…」
すごい適当なこと言ってるが、多分彼女に連れ回されるかもしれない、と危惧していたから、こうして待っている。
「そうか、でも、あんまり長くいると空き部屋埋まってしまうから気をつけろよ?」
教員が教室を出ると、私以外は誰もいない、一人だけの空間になった。
その隙にアレやっちゃうのだ。
「さて、もういないよ。悪魔さん?」
私は視線を自分の身体に向けた。
「ぷはーっ!!なんだあの人間達は!見てるだけで背筋が凍りそうだぞ!」
今話しているのは私の身体に住み着く悪魔だ。
訳あって住み着くことになってしまったのだが、今は全然気にしてもいないくらいに慣れた。
「それで、あれだけ多いと休憩とか必要そう?」
他の人がいないか、周りを見ながら話す。
「…まぁ耐えれるが…休憩はどこかでくれ…長時間もいたら気が狂っちまう。」
私からしたら、これもどうにかしないといけない。
色んな問題が出てきてしまったが、これらは全部片付くのだろうか。
「はいはい、じゃあまた後で、部屋みつけてくるから。」
「理解あるやつがいれば楽なんだけどなぁ…」
私は立ち上がって、ここの教室の扉を開けに向かった。
さて、少し遅めだけど寮選びだ。
この学校の寮には、ヴェリタスБК、ティリヌムЛР、エヴトゥルЦХ、ネディユゴФТの4つがある。
私はどこ行きたいとかないので、適当にヴェリタスБКへと向かった。
…早速後悔することになるが。
「おー、結構広いね。」
空き部屋リストを見てみると、まぁまぁ空いてるじゃないですか。
その中でも気になったのは6区分目の366号室。
六つ切りにした時に分けられる部分だ。
「ここって誰か予約してたりします?」
近くにいる受付の人に話しかけてみる。
「今だと一人だけ予約していますが、ここにしますか?」
受付の人はボードに書いてある366号室を指さす。
「特にこだわりとかないので、ここでお願いします。」
私は少し頷くようにして話した。
受付「かしこまりました。こちら、鍵になります。」
…と、鍵を貰ったので早速階段を上って366号室まで向かうことにした。
後になってエレベーターとかあるのに気づいたが、まぁいい運動になったということで。
「さて、366…ここだね。いやー、誰がいるんだろう、せめて仲良くできそうな人が…」
ドアを開けると、そこには見覚えしかない人がいた。
しばらく固まった後、ドアを閉めてもう一度部屋の確認をする。
…しかし、合っている。
「まさか…そんなはずはないよね…」
そしてドアを再び開け、再び固まる。
「リリーちゃんだ!!あなたもこっちに来たんだね!嬉しい!」
このぶっ飛んだテンションの持ち主。
もうこの声を聞いて絶望でしかないよね。
「かー…これはやばいわ…」
どうしてこのようなことになってしまったんだ。
私、何か悪いことしましたっけ?
「やった!やった!るんるるんるるーん!」
彼女はベッドの上でぴょんぴょんと跳ね始めた。
「…はぁ…」
その様子を見て私は思わずため息をついてしまった。
(これはひどいな…)
悪魔も呆れている。
もうやだこれ。
「とりあえずご飯食べにいこっか!下にお店あるよ!」
気づいたらもう12時になっていた。
とんでもなく長い時間、私は彼女の話を聞いていた。
もう疲れしかない。
「…先行ってて…」
「うーん…あっ、じゃあ買ってきて欲しいもの言ってくれたら買ってきてあげるよ!何かある?」
とりあえず彼女をこの部屋から一度離すことができそうだ。
「…なんか美味しそうなやつで。」
私はとりあえず選ぶのに時間かかりそうな、大雑把な感じの弁当選びを求めた。
「うん!行ってくるね!」
そうして彼女は外へ行き、ドアを閉めた。
私も悪魔も、あのテンションにはついていけずにぐったりとしている。
「おい、あれ本当に大丈夫か?」
少しした後に、悪魔が話してきた。
「…無理かも…」
少しため息をついて、その返答をする。
流石の悪魔でも、私から見てわかるほどに疲れているみたいだ。
あれに慣れる日が1秒でも早く来て欲しいくらいだ。
…いや、私があれよりテンション高めでやっていけばいいのか。
「決めた。はっちゃける。」
「えっ?」
設定としては、入学してテンション上がってるって感じで、とりあえずしばらく頑張ってみる。
もしかしたらこのスタイルに慣れるかもしれないし。
「ただいまー!買ってきたよー!」
彼女が帰ってきた。
ここから弁当が売ってる店まで1分くらいだ。
しかし、帰ってきたのは1分30秒くらい。
走って帰ってきた上に美味しそうなものをすぐ選んで来たようだ。
ちょっと失敗したかもしれない。
「なになに?何買ってきた?」
作戦通り、テンション高めに振る舞う。
「じゃーん!唐揚げ弁当ー!」
そして取り出したのは、私の大好物である唐揚げ弁当だ。
しかもちょっとヘルシーそうなタイプのやつだ。
「へぇー、そんなもの売ってたんだ!ありがとう!」
普段テンション高い振る舞いなんてしないものだから、ちょっと変な感じがする。
この超絶高いテンションに慣れるしかない。
当分はこれで頑張る。
もしかしたらソルも、新生活始まっているからテンション高いのかもしれない。
…そうでなければ怖い。
「あ、結構おいしい。」
とにかく素のリアクションが出るくらいには弁当が美味しかったのは覚えている。
ソルが見てない隙に悪魔にも食べさせるが、正直違う方向見てはすぐ戻ってくるため、結構難しい。
なんとか食べたのでよしとする。
「さてさて、食べたらお風呂入ろうよ!」
そうしてソルはバスタオルをぶん投げてきた。
「え、二人で?」
私はソルに質問してみた。
私が聞くと、当たり前だよってくらいにソルが頷く。
色々と大変なことになる可能性があるのでそれだけは避けたい。
何が大変かって、悪魔の存在などバレてはいけないもの。
多分魔女裁判みたいなものにかけられてしまう。
「いや…いいや、そっちだけ先に入ってきて。」
自分の死を恐れ、この提案をするのも怖かった。
「まぁまぁ、最初なんだし!ほら!」
ソルは私の服を無理やり脱がそうとする。
割と力があって抵抗するのも無理そうだ。
悪魔の存在がバレただろうなと諦めた。
「なにこれ、手袋取れない…あと、切り跡がいっぱいあるよ?リリーちゃん、何かで切っちゃった?」
「…うん、切った。」
私は少し震え声になりつつ、なんとか言い訳をした。
この手袋は、私以外の手では取れないようになっていて、肘くらいまで覆っているのだ。
というか、切ったということにしておいて欲しい。お願いだ。
「あー、何か辛いことがあったんだね…わかった。リリーちゃん、先に入ってきて!」
ソルに風呂場まで押され、彼女はそのままベッドの方まで去っていった。
何か切り傷関連でトラウマでもある、ようになんとか言い訳できた。
とりあえず悪魔の存在がバレずに済んで良かったと思う。
風呂場を開けると、一軒家とかにありそうなシンプルで良い風呂になっている。
二人入れるくらいのサイズなのが良い。
…まぁ入らんと思うが。
「さて…と…」
切り傷なんて気にしてない。
なぜならこの切り傷は悪魔が作ってくれたものだからだ。
私の身体は悪魔と一心同体、悪魔は私の身体を自由にできる。
今回のように、傷を使ったり。
「あんまり無理すんなよ?」
痛々しいのか、切り傷のような跡はスッと消えていった。
「いや、既に色々と無理しすぎて吹っ切れた…」
会話を聞かれてるかもしれないので、さっさとシャワーを浴びて、とりあえず洗うのをサッと済ませて風呂桶に浸かる。
落ち着くくらいにあったかくて、それでいて疲れが無くなりそうだ。
いっそのこと不安まで消し飛んで欲しい。
「はぁ…癒される…」
しばらく浸かった後、ようやく風呂から上がった。
タオルでサッと拭き、よく乾かしてから服を着て戻る。
ちなみに服はいつも来ている服とオフで来ているシンプルな服の2つにわかれている。
いつも来ている服と少しなんか露出度高い用でそれぞれ用意しているが、多分後者の方は使わない。
「入ってくれば?もう上がったよ?」
私はベッドで横になっているソルに入浴を勧める。
「うん!入ってくる!」
そして、彼女はすれ違うように風呂場に向かっていった。
…が、風呂場に向かう途中に少し止まった。
「あれ…傷跡は…?」
という言葉が聞こえ、私の動きが止まった。
ソルは再びこっちに向かってきて、片手で私の両腕を拘束する。
最大のピンチだ。
「ちょっと詳しく調べさせて?」
彼女は私の服を脱がしにかかってきた。
当然、力が無いので抵抗などできない。
「やっ、あ、あんまり見たら…」
身体をしばらく見て、彼女は腕の拘束を解いた。
「わぁ!やっぱり!!本当にいたんだ!!生まれて初めて見たけど、悪魔って本当にいたんだね!」
思ったリアクションとは違うが、もうバレてしまった。
最初に起きていた嫌な予感はコレだったのかもしれない。
「ク、クソ…バレちまったぞ…」
私の身体に口が切り傷のように生まれ、悪魔はそこから話す。
「あ、でも悪魔ってあんまり人に良いイメージないよね…だったら、もしバレたら私も何かリリーちゃんを手伝ってあげるよ!」
ソルは楽しそうに言った。
「そ、そう…」
私はそのリアクションに困惑してしまった。
なんか思った以上に嫌がってもこなかった。
なんなんだあの人…
そして、彼女が風呂に入ってから20分程経った。
「ただいまー、あれ、その服変わってるね!」
ソルが頭を拭きながら帰ってきた。
「…いやね、なんかもうバレてるならもういいかなって。なんでそんなに嫌がったりとか…しないわけ?」
ちなみに今着ている服こそ、露出度が高い服だ。
なんというかアニメに出てくる変身ものの衣装っぽいってだけだ。
「いや…ね、だってね、魔法使いって悪魔に弱くて取り憑かれるだけですぐ死んじゃうんだよ?」
「えっ、そうだったの!?」
衝撃の事実。悪魔を宿すと死んでしまう。
「えっ?ちょっと待って、それ詳しくお願い。」
「うん。まずね、魔法使いに悪魔が憑くと、体内に宿る魔力を吸われてっちゃうの。
起きて魔力を吸われて眠って、って繰り返すと、植物人間のような状態になっちゃって、手の付けられない状態になるんだって。」
「ちょっとまって、悪魔さん?それ本当?」
恐る恐る視線を自分の身体に向ける。
「…実際、そういうことをする奴もいる。寧ろそういう奴の方が腐るほどいる。」
私はすごい怖い存在を宿していることとだけは分かった。
いくつか話していると、悪魔は話しやすい場所を探し始めているみたいで、最終的にお腹の位置に落ち着いたようだ。
あんまり動かないから喋りやすいらしい。
「だから私達は生まれてすぐ、悪魔を寄せ付けない儀式とか魔法で守られるんだけど…どうやってそれを…」
一度悪魔の方を見ると、私のお腹がニヤッとしているのがわかる。
「あんまり人の過去を触れるな。こっちはこいつを守るために憑いているんだ。」
悪魔はニヤッとした後に真剣そうな表情で話した。
まぁそこに目がついてる訳でもないので表情とか合っているのか分からないけど。
「…わかった、もし辛いことあったらいつでも言っていいからね。だって私達、ルームシェアしてるんだし!ほら、悪魔さん!笑ってみて!」
そう言うと、悪魔は頑張って笑い始めた。
…が、少し引きつっている。
あんまり笑い慣れてなさそうだ。