始まり
これは夏の7月の出来事。ちょうど小学校の夏休みでオレの家族と幼馴染とそのご両親とで旅行に出かけた。お互いの両親たちは旅行も兼ねた仕事上の都合でやってきたみたいだったが、まだ小学生だったおれは母親にそう伝えられたときにはふーんと聞き流す程度だったのを覚えている。
うちの両親と彼女の家族とは古い付き合いらしく友人のような関係で、昔から良く交流を持っている。相手の家に行ったり来たりと彼女とも良く一緒に遊んでいた。内向的で外にはあまりでないタイプの同い年の女の子だったが、オレはそんな彼女を連れ回していた。
今回だってそうだ。最初は海外旅行は嫌だ。遠くに行きたくないと不安がっていた彼女にオレは行くからお前も来いよとおれがいるから大丈夫だろうと有無を言わせなかった。
彼女も渋々ながら頷いていたようにも思う。
でも実際その光景を見たら胸が高鳴ってしまうのが子供というものだろう。
「海すごく広ーい。早く遊ぼうぜ」
広がる海、そこではしゃいで遊んでる人たちみんな楽しそうで、自分も早く海で泳いで楽しみたかったが少女は何故か緊張して困惑してるようだった。
おれは笑顔で答える。
「何も心配いらないよ。おれがついてるから」
それに頷くと彼女は渋々ながら手を差し出してくる。それを優しく握り返すと、砂浜にかけていった。
「おーいお前たち元気なのはイイが転んで怪我しないようにな!」
と親父の声が後ろから聞こえてきた。
日差しがキツく肌を照りつける太陽が眩しくて、早く海に入りたい一心で自然に足は早まった。
少女も必死ながらおれの後に続いてくる。
両親たちは俺たちを見守るようにパラソルでその光景を眺めていた。