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エトレの名脇役  作者: 最内翔
第一章 キャファルデーモン襲来と勇者の召喚
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異世界散策!! #2

「キョーヤ君、起きて」


 ゆさゆさと体を揺らされて目を覚ます。寝ぼけ眼で体を揺さぶってきた主を見ると、そこにはボン・キュッ・ボンのかわいこちゃんが居た。ハーフなんだろうか、あんまり日本人っぽい顔では無い。

 周りを見回すと、目の前にあるメニュー含めどの文字も日本語では無かった。無い、んだけど何故か読める。どういうことだ……?


「ゴメンね。でももうすぐ閉店時間だから、一旦外で待ってて?」


 あーそう言えば、今俺異世界転移とかしてるんだっけ。で、エミリアちゃんはさっき言っていた通り、本当に閉店後俺の話を聞くつもりのようだった。


「おー あ、代金は?」


「銀貨4枚。もう頂いてるよ」


 財布代わりの巾着を開けると丁度4枚減っている。一応朧気ながら先に代金を払った記憶はあった。


「それじゃご馳走様。また後でね」


 そう言って外へ出る。段々頭がはっきりしてきた。確かノリでキッツいお酒を飲まされた辺りで一気に酔いが回ってきたんだったな。こちらに来てから色々あった上に、元々あんまり酒が強くなく酔うとすぐ寝るタイプだったから、知らない間に落ちてしまってたんだろう。

 空を見上げると東の空がうっすらと明るんでいる。時刻は5時くらいといった所か。この世界も24時間なのかは分からないが、逆算と体感からして多分三、四時間くらい突っ伏して居たように思う。正直店の人には申し訳ないことをしてしまった。

 結構寝たのもあって酔いは覚めてきていると思うのだが、何だろう。物凄く大事なことを忘れている気がするな。

 何を忘れてるんだろうとボーッとしていると、店の中からケニスが出てきた。


「やぁ、目は覚めたかい?」


「おかげさまで。エミリアちゃんは勿論、マスターにもまた謝らないとな」


「違いない。……君の所は、家族は皆無事だったかい?」


「ん? あぁ、皆無事だった。実際にデーモンを見る前に避難出来たしね」


「そうか、良かったよ。僕が言うのも変な話だけど、あそこで君がエミリアに色目を使ってくれて良かったよ。……あの中の何人かは今回の災害で身内を今回で亡くしてたんだ。デイクくんも母親が殺されたらしい」


 微妙に皮肉って来るなって。

 デイクとは未だにエミリアちゃんが好きで、一度ケニスと取っ組み合いをやった青年だった。エミリアちゃん目的でたまに王都からこの店まで来るらしく、今回はたまたまこの店を訪れた時に事件が起きたため難を逃れたのだという。


「一昨日の彼は見てられなかった。自分がちゃんと家にいれば母親を守れたのかもしれないって。あのエミリアの声も届かなかいくらい自分を責めて。でも今日は彼もいつものように軽口を叩いて帰っていったよ。彼だけじゃない。皆が笑って帰れていた」


「そこまで考えてあぁなったわけじゃないんだけどな」


「それでも、さ」


 そのまま店の壁にもたれかかり空を見上げるケニス。俺もそれに倣う。だがあれだ、なんで同じポーズなのに俺と違ってこんなに様になるんだコイツ。

 ……あ”


「どうしたんだい?」


 声が出てしまっていたらしく、ケニスが反応する。


「すまん、この後話するっての無理だ。急用を思い出した。ごめん、エミリアちゃんに伝えといて!」


「わ、分かった!」


 答えるケニスを置いて走り出す。完全に忘れていた。今俺は情報収集を任されてたんだった……

 勢いで走ってはみたものの、冷静に考えると、今の所何の手がかりもないのだった。いっそあのまま残ってケニスやエミリアちゃんに聞いたほうがマシだったな、と思いつつ流石に今から戻るのもバツが悪い。


 KOOLになれ柳瀬恭弥。いくつかの情報は手元にある。そこに何かの手がかりはあるはずだ。

 事件が起きたのは朝。少しずつ人々が起き始める時間にデーモン達が現れ、少し遅れて衛兵が応戦。レナードの話では市民の被害自体は少なかったらしい。実際デーモンを全く見なかったという俺の言葉も特に疑問は持たれなかった。それでも何人かは市民にも被害が出ている。つまり被害に会った人たちはデーモンが発生してから衛兵が出てくるまでに被害にあったと考えていいはず。それで被害にあった人数がそれほど多くないってことは、発生場所自体は王都全域一斉に出現したわけでなく、一箇所からの出現した可能性が高い!

 そうなるとその発生地点を探れば何かしら情報は出てくるだろう。その発生初期の話を聞けそうなのは……、デイクか。彼自身は知らずとも、近所の人で話を聞けそうな人を紹介くらいはしてもらえるだろう。

 そこまで思考を巡らせ、いざデイクの所へ向かおうとするも、よく考えずとも今デイクがどこにいるかなんて知らなかった。それにあまりに非常識な時間だ。明日の朝改めて探すことにして、取り敢えず俺は長の家にあてがわれたベッドで一休みするのだった。




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