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2つの桜が繋がる時  作者: 犬鳴 椛子
卒業準備
42/50

3月12日 異変(後編)

 桜に触れた城坂きさか問井といは強い妖力に包まれた。それと同時に足元が徐々に沈んでいくのが一目でわかった。


『な、なに……これ……? 沈んでる……?』

「………」

『き……さか……きさ……か……どうな……て……』

「………」

『きさか……?』


 城坂は無言のまま、桜の木を見つめていた。地面に沈んでいるにも関わらず、無言で微動だにせず、振り向きもせず、ただジッと桜を見つめていた。


『ねぇ……返事して……おねがいだから……』


 いつも強気の問井も寂しがる仔猫の様に問いかける。だが、城坂は返事どころか振り向きすらしなかった。


『このままじゃ……わたしらが肥やしに……なっちゃうよ……きさかぁ……』


 それでも返事をしない城坂。もしかして、沈むよりも先に魂を吸い取られてしまったのではないか……そう考えていた時だった。


「ぶはぁっ!! はぁはぁ……とんでもないモノを見てしまったぜ……」

『き、きさか……?』


 城坂が問井の方を振り向く。


「んぉっ……? 問井、どうした? 涙目になってるぞ?」

『もぅ! ばかっ……! 心配して損したわ……! あと泣いてないんだから……!』

「ツンデレか? 可愛いとこあんじゃんか?」

『ば、ばかっ……//// ていうか……そんな事言ってる場合じゃ……」

「大丈夫だ。このまま、先に進もう」

『えっ……?』


 突然の一言に唖然とする問井。もちろん、ちゃんとした理由があるのだろうが、城坂はまだ口にしなかった。


『で、でも……このままじゃ……肥やしに……』

「安心しろ、肥やしにはならないさ。解決策がわかったからな!」

『か、解決策……? なんで……わかったのよ……?』


 きょとんと首を傾げる問井はその策を聞くが……


「今は教えられない……これは部外者には漏らせない事実だからな……」

『ぶ、部外者って……そんな事言ったら……わたしたちだって、部外者でしょ……?』


 城坂は首を横に振った。


「この事実を知ってしまった俺はもう部外者じゃない……内通者と同じだ」

『じゃぁ……わたしも……内通者扱いなの……?』


 問井の手が震え始める。その時、城坂が手を差し伸べた。


「お前は初めから内通者だろ? この怪奇現象を解決する為に必死に頑張ってきたんだ。内通者同然さ」

『きさか……』

「手が震えてるぞ? ほら、俺の手を握って、落ち着け?」

『ちょ、ちょっと待ってよ……!? な、なんで、手を握らないといけないのさぁ……!?////』


 突然の発言にあたふたしてしまう問井。そんな問井に城坂が一言言った。


「俺たちは2人で1つだろ……? 2つに分かれたままで終われるかよ……」


 その一言にドキッとする問井。そして、顔が赤くなる。


『わ、わかったわ……今回だけだよ……?』

「それでも構わないさっ!」


 ニカッと歯を見せて、笑う城坂に五寸釘キューピットのやを打たれた問井。ほぼ吊り橋効果である。


『きさか……手ぇ……握ってくれる……?』

「お、おぅ……//// いざ言われると照れるな……////」


 ギュッと2人は手を繋いだ。

 その瞬間、2つの桜の妖力が強く繋がり合い、桜の花びらをピンクの蛍光色の様に光らせた。


 それと同時に信仰者たちは行動が止まり、みんな倒れたという。


 そして、城坂と問井は地面の中へ沈んでいった。

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