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2つの桜が繋がる時  作者: 犬鳴 椛子
卒業準備
41/50

3月12日 異変(前篇)

 2つの桜の間のど真ん中に2人は少々疲れた顔をして座っていた。真反対側の傾斜が思ったより厳しく、登山をしている様な感覚だったからである。


「くっそ……なんで、校内で山登りもどきをしなくちゃいけないんだよ……!」

『わたしにキレられても、正直言って困るんだけど……? とりあえず、登ってはみたけど……怪しいモノは1つも無さそうに見えるわね……』


 はぁ……っとため息をつきながら、少し脱力する様に体育座りをする。


「いやいや、諦めんなって言っただろ……? もう少し、頑張れよ……網を引いてる奴らにも申し訳ないじゃないか?」

『あぁ……あいつら? 正直、あんた以外のやつって鬱陶うっとうしくてから、敵わないのよねぇ……』

「今、さらっとあいつらに酷い事言ったなお前……」

『いいのよ……表向きが綺麗な副委員長として、わたしはこうやって生きてんだから……アイドルだとかファンだとか、わたしの知ったっちゃないわ……』


 問井といの物凄いネガティブ発言に城坂きさかは驚いた。学園のアイドルはそんな深い悩みを抱えていたのかと……。



 ――その時、問井が立ち上がった。

 問井は自ら、問井側(校舎を正面にすると左側)にある桜に近づいていった。


『はぁっ……学園のアイドルとか無くなればいいのに……』

「お、おぃっ!? 問井!? 桜に近づくなっ!!」


 だが、時既ときすでに遅く、問井の手は桜に触れていた。


『っ……!! い、委員ちょ……きさ……かぁ……』

「問井っ! しっかりしろ!!」


 問井の手を取ろうとする城坂。しかし、強い妖力がその手を弾いた。


「ぐぁああっ!!? な、何なんだよ、一体……」

『さくら……さわ……て……おねが……ぃ……』

「な、何を言ってんだよ!? 触ったら、養分にされてしまうんだぞ!? みんなの希望を消してしまうつもりか!!?」

『おねが……さわっ……てぇ……』


 問井の目からは涙が流れていた。――このままでは問井は助けられない。俺も触れれば、助けられるのか?

 頭の中で悩みながらも、決断は既に済ませていた。


「わかったよ……待ってろよ! すぐに行くからな!」


 城坂は反対側の桜の木へ移動し、ゆっくりと木肌へ触れた。


『あり……がと……きさか……』

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