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軽銀のドラグーン  作者: 蛍蛍
1章
13/85

9話 下


 外でイリスとフランシスカが暗躍しているとは露知らず、グラウディス、コピス、ファルカタは呑気に湯船に浸かっていた。


「グラウディス、タオルをお湯に付けないで」


「ちょっと落ちただけだっての。小さいことを言っていると小さい男になるぞ、ファルカタ」


「生意気に三本目の足は立派であります」


 男子特有の気色悪い裸の付き合いである。

 注視され、気恥ずかしくなって腰にタオルを巻くファルカタ。


「自分で指摘しておきながら、自らタオルをお湯に突っ込んだであります」


「けしからんな。コピス、隊長命令である。ファルカタからタオルを奪え」


「ラジャーであります!」


「ちょ、やめ、いやぁ!」


 どこか色っぽい嬌声を上げるファルカタ。

 外ではイリスがえずいていた。


「コピス、手を押さえろ!」


「グラウディスは足首を掴むであります!」


「ひゃあ!?」


 四肢を捉えられ、色々と晒す無様な姿となるファルカタ。


「くくく。これでお前はまな板の上の水生魔獣だぜ」


「煮るも焼くもご自由であります」


「や、やめてよ! 僕に乱暴する気!? 童話みたいに!」


 外ではイリスが胃の中の物を戻していた。


「ふう、ゲロりましたゲロりました」


 人心地ついた、とすっきり顔のイリス。


「こ、これが男の子同士のスキンシップなんだ……ちょっと予想外の過激さね」


 そして、奇妙な勘違いするフランシスカ。


「それ、くすぐってやれ!」


「ラジャーであります!」


「あうっ! ひゃははは、らめぇ!」


 プレハブの外まで響くファルカタの笑い声。


「さあ白状しろ! さもなくば苦しみは永遠に続くぞ!」


「ゲリラに条例は通用しないであります! 戦場は地獄であります!」


「ははは、白状って、なにをー!?」


ぴたりとくすぐりを止める二人。


「おい、何にする? 人生で一番恥ずかしかったこととか?」


「エロ本の隠し場所を尋問するであります」


「内容決めないで責められてたの!?」


 ガビーン、と驚くファルカタ。二人の責めは本気ではないので、ファルカタも存外余裕がある。


「もう、やめてよっ」


 二人を振り払い、立ち上がるファルカタ。

 暴れて火照った体を冷ます為、窓を開けて深呼吸をする。


「ふう、外の冷えた空気が気持ちいい―――」


「はわわわっ」


「……フランシスカ、さん?」


 覗いていたフランシスカとファルカタが対峙した。

 下半身もフランシスカと対峙していた。

 赤面するフランシスカに、ようやくファルカタも事態を理解する。


「ふわああっ!? ななな、なんで君がここにぃー!?」


「なんでって、別に、何よー!?」


 涙目で逆ギレするフランシスカ。彼女はこの夜、一つ大人の階段を登った。

 男子と女子では色々と、違う。




 衝撃的な事件以来、もっぱらフランシスカはイリスと一緒にいた。

 昼食後の川原にて。清潔な水で食器を洗いつつ、ささやかな女子会は開催される。


「虫みたいだったわ」


「そういうものなのだから、気にしないべきかと」


「イリスは慣れっこなの? 色んな男達のアレを見てきたの?」


「そうですね、男風呂とかで」


「お、男風呂に突撃したのあんた!?」


「一時期は毎日のことでした」


「まぁいぃにぃちぃいいいぃぃぃ!?」


 航空学生時代の寮生活を思い出し、感傷に浸るイリス。

 フランシスカは絶句した。この女、パネェ。マジパネェ。


「苦手意識は仕方がありませんが、このままではいけないでしょう」


「どうしろっていうのよ」


 不和状態のままでは任務に支障がでかねない。内容とは裏腹に、存外大きな問題であった。


「今後を考えて早急に対処すべきです」


 面倒になってきたイリスは、強行策に出ることにした。




「な、なんで私とファルカタがペアなの?」


「隊長の決定です」


「イリスの進言を考慮した結果だ」


 夜の見回りは二人ペアで行われる。ここ数日は男子女子で別れていたが、夕飯の最中にグラウディスから人員配置の変更が通達された。


「グラウディス、ここは上司命令ということにした方が角が立たないのです」


「いやいや部下のアイディアを奪う気はないぞ。というか俺には責任持てん」


 肩を竦めるグラウディス。嘆息するイリス。

 そんな二人を、フランシスカとファルカタは軽く睨んだ。


「いいから行ってこい。ただ二人で雑談でもしつつ飛ぶだけだ、なんてことはないだろう?」


 グラウディスが見上げれば今宵は満月。実にロマンチックだと当事者ならざる三人は無責任に笑った。


「ちょっと遅くなっても気にしないであります。服装が変わっていても気にしないであります」


「フランシスカ、一線を越えないように。我々は法的にはまだ子供なのです」


 優しい眼差しのコピスとイリスに助言され、ファルカタとフランシスカは抗議する。

 しかし、やがて観念して配置変更を受諾する。

 そして夜は更けていった。




「じゃ、じゃあ行ってくるわね」


「なんで見送りがいるのさ」


 普段なら見回りなど一業務でしかない。担当の者が勝手に出発し、短く完了報告をグラウディスに伝えて終わりだ。


『ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!』


 しかし今晩は、なぜかイリス、グラウディス、コピスの3人が見送りとして万歳三唱していた。

 ファルカタとフランシスカは恨ましげに3人を睨むも、効果がないと見てすぐに踵を返す。

 騎乗を終え、飛び立つ2匹のドラゴン。3人は2人の背中が闇夜に溶けていくのを確認し、慌てて自身の相竜(バディ)に飛び付いた。


「おいイリス、まだ捉えているんだろうな! 見失うなよ!」


「問題ありません。私の視力は闇であろうと見通します」


「出発準備完了であります!」


 手早く出発準備を済ませ、最後にイリスがコピスの後ろに飛び乗る。

 ピーピングトム(デバガメ)する気満々であった。




 冷たい風がごうごうと吹く星空。

 闇に紛れそうなほど小さな点が、2つ空に浮かんでいた。

 若き竜騎士(ドラグーン)が駆る土竜(アークリア)。彼等はかつて別の騎士を乗せていた歴戦のドラゴンであり、若い騎手達を柔軟にサポートしている。


「フランシスカさんっ」


「な、なにさ!」


「好きです! 僕と付き合って下さい!」


「今!?」


 フランシスカは驚愕した。ファルカタが自分(フランシスカ)に好意を抱いていることは気付いていたが、まさかこのようなタイミングで告げられるとは思いもしなかったのだ。


「無理!」


「そんな!?」


「だって君、ナヨいんだもん!」




「あ、ファルカタがフラれました」


 離れた空から読唇術を使用し、2人の会話を盗聴していたイリスは小さな悲劇を目撃した。


「あちゃー、駄目だったか」


「玉砕したであります」


 イリスの実況を介して少年の悲劇は周知の事実となっていく。おおよそ予想された結末なので、誰も特に思うところはない。


「『ナヨい』とはどういう意味でしょう?」


「『なよなよしい』じゃないのか?」


「昨今の言葉の乱れは嘆かわしいものがあるのであります」


 脳裏にてファルカタの自信なさげな表情と『ナヨい』なる形容詞を比べ、思わず納得する一同。


「ナヨいですね」


「ナヨいな」


「ナヨいであります」


 少年の淡き恋心は、彼等にとって最早話のタネでしかなかった。


「おや、動きがありました」


「なにっ」


「月の中にいるので、僕等にも見えそうでありますっ」


 発見されにくいように低空飛行しているグラウディスとコピスのドラゴン。そこから見れば、丁度ファルカタとフランシスカの騎乗するドラゴンは月明かりの中を飛んでいるように見えていた。

一際明るい光源によって、イリスより視力の劣るグラウディスとコピスにもなんとなくファルカタとフランシスカの姿が見えた。あくまで「なんとなく」だったが。




 唐突極まりない、成り行き任せのファルカタの告白。

 不意打ちの言葉に、フランシスカは盛大に狼狽しつつも拒絶した。


「君の気持ちは嬉しいけど、もっと頼りになる人がタイプなの!」


 本音をいえばイケメンが望ましい。が、それをこの場で要求するほどフランシスカも外道ではない。


「努力する。きっと頼れる男になってみせる」


 しかしファルカタはめげなかった。真っ直ぐ見つめてくる彼の眼差しに、フランシスカの心は揺らぐ。


「そんなこと、言われても困るって……」


 フランシスカは困惑していた。現在の状況にではなく、自分の高まる胸の鼓動に。


「 そんな……胸が」


 初めての感情。小さく呟いた言葉は、ファルカタには届かない。

 僅かな逡巡。弾けんばかりの心を必死に宥め、フランシスカ首を横に振る。


「いえ、でも……せめて、もっと大きくなってからじゃ駄目かな」


 それは結局、問題の先送りだったのかもしれない。しかし13歳の彼等にとっては、あながち間違った判断でもないのだろう。

 ファルカタとて性急である自覚はあったので、素直に彼女の提案に頷く。


「いきなりでごめん。この話は任務が終わってからにしよう」


「うん、そう、だね。今は胸にしまっておいて」


 少年少女の会話は、こうして一旦完結した。




 時は僅かに遡り、読唇を試みるイリスに視点は移る。

 イリスはムムムと唸り、眉を寄せていた。


「どうした、唇の動きを読んでくれイリス」


「角度が変わってしまいました。ファルカタの口元が見えません」


 イリスとて見えないものを見る視力は持ち合わせていなかった。


「フランシスカの口元は見えるのでありますか?」


「はい、問題ありません」


「仕方がない、ファルカタの台詞は俺が受け持つぞ」


「では小姓は地の文を担当するであります」


 こうして彼等の解読作業が始まった。




「『君の気持ちは嬉しいけど、もっと頼りになる人がタイプなの』」


「『俺だって胸の大きな女の方がいい。勘違いするな貧乳』」


「早速ファルカタのキャラが崩壊しているであります。しかしフランシスカはそんなファルカタを嘲笑うように見下すのであります」


「『そんなこと、言われても困るって……』」


「『はっ。そんな負け犬思考だから貧乳なんだよ。揉めよ。揉んでやっよ』」


「 『そんな……胸が』」


 意外な単語の一致に、グラウディスとコピスは顔を見合わせた。


「マジで胸の話なのか?」


「注視必須であります。おや、フランシスカは首を横に振ったであります」


「『いえ、でも……せめて、もっと大きくなってからじゃ駄目かな』」


 イリスの翻訳にいきり立つグラウディスとコピス。


「大きく!?」


「ホントに胸の話なのでありますか!?」


 年齢の話である。

 フランシスカの提案にファルカタは頷き、何らかの返答をする。


「グラウディス、彼は何と返答したでありますか!?」


「えっとだな、きっと『うひひひひ!もう辛抱ならねぇぜ!』とか?」


「ファルカタのキャラが更に崩れたであります」


 好き勝手弄る2人だが、次にイリスが口にしたフランシスカの言葉は更に彼等を困惑させる。


「『うん、そう、だね。今は胸にしてしまって』」


「ししし、してしまうって何を!?」


「不明であります! 不明であります!」


「あれ、読み間違えたかも……?」


 怪訝そうに首を傾げるイリス。彼女もまた戦犯であった。


「いやぁ、ファルカタ舐めてた。アイツこそ戦士だ。オッパイ戦士だ」


「オッパイの騎士に敬礼! であります」


 ファルカタが偵察から戻ってきたら最敬礼にて出迎えよう。グラウディスとコピスは、そう心に決めた。


「あの……一応女性の前なのですから、そういう発言は控えるべきかと。それに女性の価値は胸ではありません」


 イリスは憮然とした表情で男子2人を注意する。


「尻こそ女体の絶対価値です」


 イリスは尻派だった。




 後日、一通りの仕事を終えて休憩している5班。

 すっかり馴染みとなった広場にてのんびりとお茶を啜っていると、グラウディスがぽつりと呟いた。


「なあ、お前等。軽銀の竜騎士ジェラルミア・ドラグーンって知ってるか?」


 ギクリとイリスの肩が揺れた。


「当然だよ。僕等の代での準騎士親善競技大会(アミテッド)で世間に知られるようになったんだから」


 あっさりと返すファルカタとは違い、フランシスカはしかめっ面で答える。


「あの大会を無茶苦茶にした騎士でしょ? ホントいい迷惑」


「フランシスカは別に決勝戦に出場していなかったであります」


「ダガーに全賭けしてたのよ!」


「チャレンジャーだなお前……」


 ダガーはアーレイの脱落により棚ぼた的に決勝選出したのであって、実力が高いわけではない。かなりの大穴狙いだった。


「そもそも黒竜軍(リストダーク)の襲撃があった以上、どの道大会は中止になっていたであります」


「結果的に出場選手を助けたんだ、乱入はもういいじゃねぇか」


「すごい人じゃないかな。最近優秀な騎士達に優先配備が進んでいる工学竜鎧(カノンチェイル)だって、軽銀(ジェラルミア)様が考案したんでしょ? 偉人だよ」


「ひゃん」


 イリスがぴょこんと跳ねた。


「どうしたでありますか、イリス?」


「い、いえ。背中が痒くなって」


「そうでありますか」


「それだけじゃないわ!」


 憤慨するフランシスカ。


高速詠唱用人工言語(ピリアグリフ)を考案したのも軽銀(ジェラルミア)だって話だし! 魔法使いの勉強が、あの言語のせいで一気に大変になったんだから!」


「それはフランシスカの怠慢じゃ……」


「い、言うようになったねファルカタ」


 イリスは意外だった。現段階のフランシスカの実力では、高速詠唱用人工言語(ピリアグリフ)は時期尚早だ。

 つまり、フランシスカは積極的に予習を行い高度な技術に手を出しているのである。


「騎士としても技術者としても魔法学者としても優秀、まさに天才だな」


「うへっ」


 イリスは身を捩らせた。


「どうかしたの、イリス?」


「い、いえ、背中が痒くなって」


「ふーん、そう?」


「けどこれは、表沙汰になっているだけの情報でな」


 意味もなく声を小さくするグラウディス。


「実は、あの女性は陛下直属の騎士として様々な任務をこなしているらしい」


 話がおかしな方向に向かっているな、とイリスは眉を潜めた。


「その噂は聞いたことがあるであります。他の騎士団が大勢で遠征するのに対し、軽銀(ジェラルミア)殿は個人で暗黒領域(ヴェルゼルヴセンク)に殴り込んでいるとのことであります!」


「殴りこんでなどいません!」


「ど、どうして強く否定するでありますかイリス?」


 急に大声を上げたイリスに視線が集まる。


「え、えっと……いくらなんでも、同い年くらいの女の子がそんな強くはないんじゃないかなって、ははは」


「あはは。ぶっちぎりの落第生なイリスと比べちゃ駄目よー」


「ら、落第生って、否定はしませんが」


 親しくなって容赦のなくなったフランシスカである。


「でも、あの騎士って私達と同い年なの?」


「年齢までは知らないが、確かに小柄らしいな」


「イリスは同い年と特定したでありますが、何か情報でも?」


 再び視線が集まり、イリスはあたふたと言い訳した。


「勘です。勘です、直感というやつですね」


 極めて雑な言い訳であったが、変にボロが出る具体的な言い訳よりはマシだった。


「そもそも女子とすら限りません。もしかしたら男子かもしれませんよ」


「いや、それはないだろ?」


 話を逸らそうとしたイリスの思惑の発言はあっさりと否定されたが、思惑自体は上手く推移した。


「真っ白なドレスで戦場に出るとかいい度胸だよな」


「防具としては露出が多すぎる上に、やたらと華美であります。悪目立ちするであります」


「ホントいい度胸よ。間違いなく着る人を選ぶタイプの服だし、よくもあれで人前に出れるわ」


「ぴょこっ」


 イリスがウサギのように跳ねた。


「どうかしたの?イリス」


「い、いえ、背中が痒くなって」


「そ、そう?」


「その点イリスの騎士服は無難よね。まさに量産型、標準型!」


「地味だよなぁ、イリスだって顔は美人なのに」


「モブキャラであります」


 言いたい放題であった。


「正規騎士であり天才技師、おまけに魔法大臣とも交流があるとか。まさにエリートって奴だな」


「確かに憧れる、かな。きっと武勲も沢山上げられるんだろうね」


「英雄であります。軽銀(ジェラルミア)と肩を並べて戦う騎士は心強いだろうであります」


「ま、確かにアイツといる限り死なないだろーしな」


「……そんなこと、ありませんよ」


 誰にも届かない声量で呟いたイリス。彼女の脳裏に浮かぶのは、制御不能に陥って墜落する練習機。

 イリスとて、無敵ではない。そんな単語とはほど遠い、ただの人間である。


「よっしゃ、人類の希望軽銀の竜騎士ジェラルミア・ドラグーン様に乾杯だ!」


「乾杯であります!」


「か、かんぱーい!」


「ふう、仕方がないわね。カンパイ」


「にゅうううぅぅぅ」


 イリスはゴロゴロと地面を転がった。


「……背中か?」


「……背中です」


「服の中に毛虫でもいるんじゃない?」


 4人がイリスを憐れんだ眼差しで見ていた。




 一晩明け、少年少女は今日も動き出す。

 しかしながら、今日は少し違った。慣れ始めた野営の朝とは違い、なんとなしに気合いが入っているのだ。

 隊長のグラウディスが手を叩き、メンバーの視線を集める。


「さて、今日はいよいよ別の班が到着する予定日だ。幸いここまで黒竜(ダークドラゴン)の襲撃はなかったが、まだまだ気を抜くなよーふわぁ」


「最後に欠伸をされては説得力がないであります」


 漏れた欠伸を噛み締め、グラウディスは自分の頬を叩く。


「こうも平穏だと気も抜けるっての。だから自分に言い聞かせてるんだろ」


「もう、しっかりしてよねグラウディス!」


 溌剌と声を出すファルカタに、グラウディスは鬱陶しそうに目を細めた。


「貴方はテンション高いですね、ファルカタ。どうしたのですか?」


 イリスが呆れて訊ねると、返答は別の方向から返ってきた。


「午前の偵察当番はファルカタとフランシスカであります」


「ああ、あれ以来初めてペアでしたか。ご武運を」


「ちょっと! 変な勘繰りしないでよ!」


 赤面するフランシスカに、一同は顔を合わせてニヤニヤする。


「存外脈ありっぽいであります」


「結婚式は呼んで下さいね、2人とも」


「なんなら子供の名前を付けてやってもいいぞ」


「いい加減にしてよ、もう!」


 怒り出したフランシスカから蜘蛛の子を散らすように距離を取る班員達。

 運命の日の朝は、いつもと変わらない笑い声から始まった。


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