第6話:予想以上だ!
桜の木の花びらが散り、新緑の葉に変わった、5月……
ゴールデンウィークの真っ只中、だが、今日は練習の日。
今日から、瑠奈が練習に参加するため、俺は瑠奈と待ち合わせして一緒に学校まで行くことになっていたので、待ち合わせの場所に行く途中だった。
なぜ、待ち合わせまでして一緒に行くのかというと、瑠奈は俺たちとは違う学区の学校出身であったからだ。道理で俺の学校では見かけない子だなと思った。学年は俺と同じ小学五年。これもほとんど予想道理だった。
「てな訳で、待ち合わせ場所に移動中〜」
って……、誰に言ってんだ俺は……?
そんな事をしている内に待ち合わせ場所に到着!
「さぁ〜って、瑠奈はいるかな?」
俺は周りを見渡すが瑠奈の姿はどこにもない。
「はぁー、遅刻かよ……」
今の時間が9時3分。ちなみに待ち合わせの時間は9時である。完全な遅刻だ。うん……? そうすると俺も遅刻か? まあ、いいや。先に来たんだし。
練習の開始時間が10時からだから、まだ余裕があるからいいんだけど。
20分後―――
「すまん、すまん、遅れてしまった」
瑠奈は20分送れて来たのにもかかわらず、自分には悪気がありませんみたいな笑顔で俺に声をかけてきた。
「すまんじゃないよ! 20分も遅れて!」
「いやいや、本当にすまなかった。お詫びにそこで買ってきた、スポーツドリンクをあげるから」
そう言って、冷えたスポーツドリンクを俺にくれた。
「ったく、ゴクッゴクッ……」
文句を言いながらもスポーツドリンクを飲む俺。
いや、勿体無いだろせっかく貰ったんだから。
……何で、1人でノリツッコミしてるんだ。うーむ、今日の俺は何か可笑しいな……。
そんなことを頭の中でやっていると瑠奈が……
「フフッ……こんなやりとりをしていると恋人って感じがするな……」
「ブフッ!! ゴホッ、ゴホッ……」
とてもとても変な冗談を言ってきた。
「ゴホッ……、お、おい! いきなり変な事を言うな! ビックリして吐いちゃったじゃないか!」
「ハハッ! 晃、いいぞ! そのリアクションを待ってたんだ」
瑠奈は手でお腹を押さえながら笑っていた。
「……もしかして、これをやりたいが為にスポーツドリンクを俺にくれたのか?」
「ああ、晃はウブだと思ったからな。こういう事をすれば、私の予想道理のリアクションをしてくれると思っていたんだが、
予想以上のことをしてくれたから、満足、満足」
小悪魔の笑顔で喜んでいる瑠奈。
こいつ……、やってくれるじゃないか。後で覚えてろ、仕返ししてやる。
「ちなみに仕返しをするんだったら、それ相応の覚悟をしてやれよ」
「うっ!」
何で、仕返しするって分かったんだ!? 俺の周りはやっぱり、エスパーだらけだったのか!?
「私はエスパーではないからな」
「ドキッ!」
だから、何で分かったの!? ヤベェ……、俺もう心や頭の中で何もできない……。
「フフッ、晃は顔に出やすいからな。分かりやすくていい」
「えっ、そうだったのか? 道理で他の奴らにも俺の考えてることが分かったのか。今度から気をつけよ」
「そうだな。ところでいつになったら、学校へ案内してくれるのかな?」
「あっ! そうだった! 今、何時だ?」
時間を確認したら、9時半。ここから学校まで15分くらいだから十分間に合うな。
「まだ、間に合う時間だから、行こう」
「ああ、案内頼む」
そんなこんなで学校に向かった。