龍太郎、竜宮城で目覚める
地球が回り、太陽が日本の方面に当たり出すころ。
根岸龍太郎は、赤く太い4本の柱で支えられた八畳間ほどの広さの
中華風の部屋の中心のベッドの上で全裸で目を覚ました。
「・・・・・・あがっ!!」
ズキズキと背中と手足の骨が痛み、頭痛が針となって脳を刺す。
胃がギュルルと空腹の音を上げる。
「・・・・・・腹が減るし体が痛いし、服がない。」
寝ている状態から頭だけ上げ、自分がいる部屋の周りを見回す。
なんとなく古代中国の城のような部屋、目の前にはクローゼット、その右には
デスクトップパソコンが置いてある机。
龍王である母が治める、M市の海の底の竜宮城。
その城内の、自分の部屋である事を思い出し上半身を起こしてみる。
「あいつにやられたか、むかつく。」
いやな記憶がよみがえり、バチバチと自身の周囲を帯電させる。
人間の姿から、頭には鹿のような角が生えている半龍形態のなりかけになる。
「失礼します、公子様♪」
男の声が、前方左の出入り口のドアから聞こえドアが開く。
入ってきたのは160センチほどの身長の古代中国の役人の服を着た
二足歩行する、海亀だった。
「おはようございます、昨日はお疲れ様でした。」
と、挨拶する海亀。
「・・・・・・亀じいか、敵を逃した悔しいぞ。」
亀に愚痴をこぼす龍太郎。
「その悔しさが、力になります。ささ、お着替えになられて朝食へ。」
亀がクローゼットをなぜか指のない手で開けてパンツなどの服を取り出す。
「ああ、着替えくらい自分でするよ亀じいっ!!」
気合を入れて全身を起こしベッドから下りて、海がめに近づき
パンツなどをひったくり着替える。
「それでは、じいは失礼さていただきます。」
龍太郎が着替えだすのを見て、そういって海亀は部屋から出て行った。