表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

君のいる風景

under water

作者: 蒲公英
掲載日:2011/08/08

佐倉とプールに潜ってキスをしたのは、たいした成り行きじゃなかった。

でも、キス自体をたいしたことじゃないと思っていたのは、実は佐倉だけだったことを佐倉は知らない。

僕には、たいしたことだったのだ。

だって僕は、ずっと佐倉にキスしたいと思ってたんだから。

だから、水からざばっと顔をあげて目を見合わせた時、佐倉が普通の顔してたのにがっかりした。

そのピンク色の唇は、今僕の唇と触れたばかりだっていうのに。


大体、制服姿だって充分カワイイのに、そのカラフルな水着とお団子にした髪は反則だろう。

はしゃいで笑ってると、黒目がちの大きな瞳に光が反射する。

他のヤツが佐倉がカワイイことに気がついちゃうじゃないか。

部活のせいでくっきり小麦色に見えてた肌が実は白いことに、みんな気がついちゃうじゃないか。

でも、佐倉をバスタオルの蔭に隠しとく権利なんて僕にはないのだ。

女の子も誘おうとプールの計画をした時に、佐倉に声をかけたのは、僕なんだから。


佐倉の剥き出しの肩を手で叩き、水面の下を指差した。

佐倉は悪戯っぽく笑って潜ると、水の中で目を開いて僕を見たんだ。

頭を引き寄せるだけのタイムラグの鼓動。

誰か、気がついちゃうかな。

仲間たちがビーチボールに気をとられているうちに、早く!

水を挟んで柔らかい唇を探した。


プールからの帰りは、みんなでアイスキャンディーを齧りながら賑やかに歩いた。

佐倉のタンクトップで隠しきれない肩が、水着の部分を白く残して赤くなってる。

ショートパンツから伸びた足は、ソックスの形にツートーンカラー。

「あ、松山のアイス美味しそ。一口頂戴」

手ごと握られてドギマギしてるのは、僕だけ。

佐倉はやっぱりいつもの佐倉の顔をしていて、アイスキャンディーを齧る唇は何事もなかったかのよう。

僕、バカみたい。


「松山、家まで送って」

みんなで別れ際、佐倉が僕に向かって命令した。

何で松山?周りが騒ぐ中、佐倉は平然と宣言した。

「あたし、今日から松山とつきあうから」

スタスタと歩き出した佐倉に慌てて追い付くと、佐倉はまっすぐ前を見ていた。

「つきあうって、勝手に決めるなよ」

「ダメなの?」

動揺した顔が、僕に向きあった。

「だって!男の子とキスしたの、はじめてだったんだもん!」


「・・・さっきまで、まるで平気な顔してたくせに」

「みんなに知られちゃうって頑張って普通の顔してたのに!松山、気がついてくれないんだもん!」

うわ、泣きそう。僕はこれに弱い。

元気のいい佐倉がたまに見せる顔。

「ごめん、今度は水に隠れられないけど」

アイスキャンディーの味を残した佐倉の唇は、水の中と違って暖かかった。


fin.


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 可愛かったです^^ こういうお話、大好き♪ 爽やかだなぁ~
[良い点] か、可愛すぎる物語ですね。 甘酸っぱすぎます! こういう佐倉さんみたいな、ツンデレの入った 女の子って青春恋愛物語で光りますよね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ