第六幕 ―パーティ―
馬車で城まで行く道中、レントと名乗った青年は、もう一度この任務の作戦を話した。
「……というのが、さっきも言ったがこの任務の大まかな作戦だ。 セフィルは他のラメドメンバー二人と一緒に先に城に行っている。 何か準備があるらしい……」
「準備?」
「ああ、何のことかは話してくれなかったが。」
そうこう話していると馬車は目的地に着いた。
受付を通り、海上へ足を踏み入れる。
「さて、ついたぞ。 敵が来ない限りは楽しんでいるといい。」
言うとレントは皇帝の近くへ行った。
彼は護衛だという。
対して三人は始めてきた城のパーティーに眼を丸くしていた。
「わぁ~、すっごーい! きれいだなぁ。 料理もおいしそうだし……、兄さん達にも見せてやりたいよ。」
「ばーか、アークさんはこの城に勤めていたんだぞ。 こういったもの見慣れているんじゃないのか?」
はしゃぐトーヤを小突いてコウハは辺りを見回す。 怪しい人間がいないかと思ったのだ。
とりあえず、そういった人間はいないようだが……。
「ん?」
コウハの視界に長い銀髪を首の後ろで結った青年が入った。
(確かあれは、ラメドの隊長、フィアール大将軍!?)
先の大戦でも活躍したという人物だ。
今の状況でなかったら、すぐに握手やサインを乞っていただろう。
興奮を何とか抑えながら、コウハはトーヤを手招きした。
やはりトーヤもきらきらと眼を輝かせたが、すぐに一点に視線が釘付けになっていた。
首を傾げて、見るとそこには、長い黒髪を背に流し薄桃色のドレスに身を包んだトーヤより少し年上に見える少女がフィアールにエスコートされていた。
トーヤはただ、じっと彼女を“みて”いた
「お、トーヤ! あの子に見惚れたのか?」
ルナ~トーヤが女の子に見惚れてやがる! とからかうと、ルナはむっとしてトーヤに怒った。
トーヤは弁解する傍らコウハに助けをもとめるが、コウハはにやにやと笑いながら成り行きを見守っているだけで、助けようなんてことはしない
意地悪く笑う彼の眼は『俺より先に女を作った報いだ』と語っていた
そんなことをしている間にパーティーは着々と進み、緩やかな音楽とともに、ダンスがはじまった
やはりというべきか、あの黒髪の少女とフィアール将軍がおどっていた。
フィアールに関しては、少女をエスコートしながら、純粋にパーティーを楽しんでいるようだが、少女はどこか不満そうな様子だ。
どこも問題はないようだと、トーヤがあくびをした時、どこからか悲鳴が上がった。
フィアールは即座に反応し、人ごみをかき分けて悲鳴の発生源へと向かった。
見ると王と王妃を連れていく屈強な男が見えた。
王への反乱か!
コウハはそれを見て、即座に彼らを追った。
「コウハ!危ないよ!!」
「危ないなんて言ってられっか! 名をあげるチャンスだぞ!」
そう言ってコウハは人ごみを逆走した。
王を連れた反逆者は隠し通路へと消える。
フィアールは会場にいる他の反逆者と闘っていた。
足止めをされているのか。
トーヤは一瞬どうしようかと迷い、コウハを追った。
隠し通路に入ったコウハはいくつもの兵士の制服を着た人々が倒れているのを見た。
「酷ぇ……」
呟き、これをやった犯人は誰かと前方を見ると一人の少女が目に入った。
「!!」
それはフィアールにエスコートされていた、あの少女だった。