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第三幕 ―黎い伝書鳩―

 トーヤは小さくため息を吐いていた。

 翌日いつものように、三人で村周辺の魔物退治をしていたのだが、トーヤは元気が無かった。

「気にするなよ。 ちょっと時間が延びただけだ。 プラスで行こうぜ!何事もポジティブに!」

「……うん。」

 コウハが鎌を素振りしながら元気付けようとしているが、トーヤの声は何処と無く暗い。

「……あ、ねえ、トーヤ。(りん)さんってどんな人なの?」

 どうにかトーヤを元気にしようと、ルナは琳の話題をふった。

 トーヤはうーん、と考えてから口を開いた。

「まあ、簡単に言えば、奇麗な人かな? 男の人に言っても失礼だけど。」

 その言葉にコウハも頷く

「俺が会ったのは、琳さんがトーヤっくらいの歳のときだったからな。本当に女みたいだった。」

「ふーん?」

 どんな人だろうとルナは想像したがよく分からない。

「琳さんって、いくつなの?」

「確か、22って言っていたな。」

「ん~? 奇麗以外に何か特徴とかは?」

「玲さんと逆のオッドアイって言ってもちょっと違うけど……、右目がピンクっぽい赤紫(あかむらさき)で、左目が紫紺(しこん)色。それで黒髪。……玲さんをおとなしくした感じ、かな?」

「へぇ~。」

 トーヤとの会話でなんとなくルナはその琳という人のことが分かった気がした。

 奇麗、奇麗といわれていてもよく分からなかったが、村でもかなり美人だといわれている玲とよく似ているといわれれば、なんとなく分かった気がする。

 細身で中世的な男性のイメージがルナの中で生まれた。

「それで、ものすごく強いんだ! おっきな魔物を一人で倒しちゃうくらい!」

「え!?」

 ルナはトーヤの「ものすごく強い」の言葉に顔をしかめる。

 強いという事はそれなりに筋肉も付いていることだろうと思い、細身のイメージが消えかけたが、それとは反対に魔術で闘う人もいるし、という考えが浮かび、琳の想像画は保たれたが、それも一瞬で崩れ去る。

「剣をつかって、一瞬で家ほどの魔物を倒しちゃうんだ!」

 剣を使う?

 ますます、琳の人物像が分からなくなる。

「ああ、そういえば3年前だか、怪力と豪語されている盗賊団の頭を素手で倒したって聞いたことがあるぞ。」

 次に言ったコウハの言葉に想像画が崩れ去る。

「(一体、どんな人なの……?)」

 ルナの心の声を読み取ったように、トーヤは「会えばわかるって」と、自分が惚れた太陽のような笑顔で言った。

「そう、かな……。悪い人じゃないといいんだけど。」

「悪い人じゃないけど、気難しいかな?」

 トーヤの言葉にこの先が少し不安だった。

 はあ、と一つため息をついて空を仰ぐ。

 不安になった時のルナの癖だ。

 その時、彼女の視界に不思議なものが映った。

「え?何、あれ??」

 ルナの言葉に、トーヤとコウハも空を見上げる

 空の空間が捻じ曲げられ、何も無い虚空に波紋のようなものが現れる。

 そこから黒い、鳩に似た感じの鳥が現れ、トーヤの家の方向へ飛んでいった。

「……ん、さ…だ、」

「え?」

 トーヤの言葉が上手く聞きとれず、聞き返すがその前にトーヤは立ち上がり、走り出した











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