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断章 ―決戦前夜―
ようやくクリフトルとの戦いが明日に迫ったその夜。
フォンルとサラは朝食の仕込みをしていた。
明日、彼らを送り出すために
レントとジーモンはただ柄にもなく神に祈っていた。
彼らが生きて帰ってこれるように。
セフィルは一人部屋にこもり冥想していた。
静かな空気が彼を支配した。
フィアールは愛用の大剣を研いでいた。
彼の男を殺すために
コウハは一人鎌を振りかざしていた。
修行の成果を見せつけるように。
ルナはただトーヤと背中合わせで座っていた。
背中越しに彼の鼓動を感じて……
トーヤはじっと暗い空を見つめていた。
彼の青い瞳に月が映った。
決戦は、いよいよ明日―――




