第一幕 ―ハジマリ―
強い剣士になりたいと昔から思っていた。
「へぇ~、此処が琳さんが仕えているしろかぁ~。」
帝都の城を見上げ、金髪の少年、トーヤはそう口にした。
「トーヤ、そんなんじゃ、田舎者丸出しだぞ。」
呆れたようにトーヤを小突くは、トーヤの兄貴分であるコウハ。
「いいじゃないの?」
ほのぼのと言うは、トーヤの恋人であるルナだ。
何故三人が此処に着たかというと、話は数日前にさかのぼる。
トーヤはかつて大戦で活躍したという戦士、アークの実弟だ。
親のいない自分を此処まで育て、そして英雄とたたえられている兄はトーヤの憧れだった。
ある日、アークはトーヤに聞いた。
強くなりたいか、と
トーヤは大きく頷いた。
「俺、兄さん見たく強くなりたい。皆を守れる力がほしいんだ!」
あまりにも無邪気な答え。
その言葉にアークは苦笑した。
このごろは色々な町に強い魔物が出るようになっていた。
トーヤが強くなりたいと思ったいるのは、そんな魔物の脅威から家族や大切な人を守れるようにだ。
「そうか。 じゃあ、トーヤ。」
「ん? 何??」
「琳のことは知っているか?」
「うん! 前玲さんと兄さんと一緒にあいに行ったことがあるし、その前にお仕事でこの村に来ていたよね??」
琳とはアークの婚約者である玲の弟だ。
年齢のこともあり大戦に参加はしていなかったが、15という異例の若さで帝都の最高戦士、ラメドにえらばれたという、天才的な実力者だ。
確か今年で22だと言っていた。
「で、琳さんがどうかしたの?」
「琳に書状を書いて送る。」
「は?」
「内容は、そうだな。 トーヤの稽古をつけてやってくれ、といったとこかな?」
「ほ、本当にいいの? 俺、琳さんのところに修行に行って……」
「ああ、こんな片田舎にいるより、帝都で剣を学んでいる方がいいだろうからな。」
「やった!」
だが、喜んだのもつかの間だった。
その日の夜。
「だめ! 絶対だめよ!!」
黒髪に右目が藍、左目が赤紫といったオッドアイの女性が強い口調で言った。
兄であるトーヤとともに親代わりとなって自分を育ててくれた女性、玲が猛反対したのだ。
「帝都って言うと、上層部はそうでもないけど、|貧困街≪スラム≫のほうは、すごく治安が悪いっていうし……」
「大丈夫だよ!」
トーヤは講義するが、玲は「黙ってなさい!」と一蹴した。
「帝都まで行く途中で魔物に襲われたりしたら、それこそ危ないじゃない!」
「いや、でも、もう書状、鳩につけて飛ばしちゃったし……。」
アークはばつが悪そうに言った。
「キャンセルの書状書きなさい!……今すぐ!!」
「は、はい!!!」
哀れ悲しいかな。
この場に玲に逆らえる人間はいなかった。