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断章 ―Witch―


 番外編です。

 この話は読まなくても大丈夫です。

 トーヤが祠にいる頃、ルナは……

 

 ルナはラメドの紅一点―――サラに呼び出されて、首をかしげた

 案内された部屋で待っていると間もなくサラが来た。

 綺麗に結い上げられた薄桃色の髪は素直に美しいと思うし、サラ自身かなりの美女だった。

 目の前で彼女ににっこり微笑まれたルナは一瞬固まった

 ―――同性から見ても綺麗だって思う人と一緒にいて普通で入れる人はそうそう居ないわよ!

 心の中で誰に聞かせるでもない言い訳をしていると、サラが口を開く。

「確か、ルナちゃんはヒーラーよね?」

「あ、はい」

 ルナはうなずく。

 ルナは基本的な魔術は大体使えるが、実際一番得意でしかも主に使っているのは治癒術(ヒーリング)だ。

 簡単に言えば、味方のけがを治したり、攻撃力や防御力を上げる援護の術、他には結界などを張るのが彼女の得意分野だ。

 だが、サラはルナの言葉にやや眉をしかめて見せた

「本当に?」

「基本的な……下級術と呼ばれるものはあらかた使えますが……」

 そうと呟き、サラはまたしばらく考えてから口を開いた

「あなたは、自分の血筋がどんなものか知っている?」

「え? いいえ」

「両親の職業とかは?」

 それを聞かれてルナはその幼さの残る顔に暗い影を落とした。

「……幼いころ、私はトーヤの住んでいる村の近くで倒れているのを発見されて……その時私は自分の名前以外のすべてを忘れていたので、……わかりません」

「あ………そう。 ……ごめんなさいね。こんなことをきいちゃって……」

「いいえ。」

 ルナは首を横に振るとやわらかい表情を作って言った

「トーヤやコウハにアークさん、玲さんたちは私によくしてくれているし、私自身今の生活を苦に思っていません。……むしろ、今の生活をとても幸せに思っているから……気にしないでください」

「……ええ、わかったわ。」

 サラは頷くと居住まいを正し、まじめな表情になった

「単刀直入に言うわ。 あなたは魔女の血を引いている。」

「……魔女?」

「ウィッチとも呼ばれているわ。意味は賢い女性。」

「……えっと、魔女って何ですか?」

「簡単に言えば占いや薬草作り……あとは呪術なんかを主に行う女性として知られているけど、私たち魔術師の間では魔女は魔法のスペシャリストとして扱われているわ」

 サラの言葉をどこか遠くに聞きながらルナは頷いた。

 その様子のルナに「まだ実感がないようね」とサラは言った

「実感がないというか……、どうしてそんなことが分かったんですか?」

「簡単に言えばあなたからフィンやフォンとよく似た匂いがしたから、かしら?」

「ニ、ニオイ!?」

 ルナはあわてて自分の体のにおいを嗅ぐ。

 その様子を見てサラはくすくすと笑った。

「そうやってわかるものじゃないわよ。 匂いっていうのはあなたの纏う魔力のことをさすんだから」

「え!? あ、そうですか。」

 急にルナは恥ずかしくなり、サラから顔をそむけた

 そしてどうにか話を別のところへ持っていこうと頭を回転させた

「……えーと、フィアさんとフォンさんは一体?」

「え?」

「その、どうして私と同じって……」

「ああ、あの二人は北国の氷の魔女の末裔なのよ。 ……って言ってもフォンの場合魔法というより、魔力を刃にまとわせて使うっていう戦い方しかしないのだけれど……」

「へえ……」

「あなたの場合、自然界の力ほぼすべての魔術を扱う高度な魔女の血を引いているみたいね。それも色濃く」

「え?」

「簡単に言えば、治癒術以外にも他の魔法も覚えてみないって誘っているのよ?」

「ど、どうしてですか?」

「せっかく帝都に来たんだから、それくらいしてみない?っていうのが表面の理由なんだけどね」

「……?」

「本当は私も弟子がほしいのよ」

 サラの言葉にルナは首をかしげた

「フォンはともかく、最年少のセフィルまで弟子を持つことになったのよ!? 実をいうとラメドで弟子を持ったことがないのって私だけなのよね……」

「そうなんですか?」

 そうなのよ!とサラは続けた。

「女っていうこともあって、なめられているというか……男のプライドってことで男性の兵士は私に魔法を教わりにくいみたいだし、女性の兵ってなかなかいないのよね。居ても大抵頭脳労働。私の出番がないのよ」

「は、はあ」

「……ということで、ルナちゃんは私の稽古受けてみない?」

 ルナはコクリとうなずいた

 今は平和だがこれから何がるともわからない。

 ルナは喜んでその話を受け入れた。










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