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断章―セフィルの過去―

この話は、トーヤたちの出番はありません

フィアと連との会話が主です


番外編的な話なので、ここは飛ばしても読めるようになっています。


 その頃、レントとフィアは……

「ナイフを大量に投げるなんて、とんでもないことをしでかすな、お前の弟子は……」

 隠れて様子をうかがっていたレントは、彼と同じく様子を見ていたフィアの方を見た。

 対してフィアは、眉間に皺を寄せてため息をついていた。

「まったく素人シロート相手に本気になるなんて……」

「そうやって育てたのはお前だろ。」

 はあ、とため息をつくフィアにレントは冷静に突っ込みを入れる。

 フィアは十年ほど前、幼いセフィルをひろい、それ以来彼の父親代わりとなって、彼を育てていた。

 その時、フィアは彼が一人で生きていけるように最低限の教育と武術を教え込んだ。

 元々、素質があったのだろう。幼いセフィルは勉学も武術も人一倍出来た。

 その後、ある程度の武術・魔術を習得したセフィルに教えたこと、それは……

 ―――敵である限り、相手が誰であろうと結して手加減をするな。

 だった。

「まさかこんな方向に作用するとは思わなかったんだ」

 フィアはあのときのことを思い出しながら、過去の自分を呪った。

 あの時はセフィルはある難問に突き当たっていた。

 それは答え次第でその時から考えて未来―――つまり“今”―――のセフィルの生き方を大きく変えるものだった。―――その時のことについては、後々この物語で語ることになるだろうから、今回いくらか割愛かつあいさせてもらう。

 そう、あの日セフィルは自分の“今”と決別するか“過去”と決別するか悩んでいた。“今”と“過去”。どちらかを選べばどちらかをてねばならない、そんな選択を幼いセフィルは迫られていた。どちらを選ぶか。このままでは両方とも棄てねばならぬ状況にまで陥っていた。彼に残された時間は少なかった。

 そんな時セフィルに教えたのがあの言葉だった。

 ―――敵である限り、相手が誰であろうと結して手加減をするな

 その言葉を聞いたセフィルは目を見開いた。

 そう。

 その言葉は幼いセフィルには些か残酷な言葉でもあった。

 だが、セフィルは自らの心で決心した。

『僕は、今を選ぶ』

『過去と決別する覚悟は出来た』

 そう言ってセフィルは“今”を生きる道を選んだのだ。

 その時の彼の眼は、とてもまっすぐなものだった。

「あの時、彼は何をおもったのだろうか? 私を残酷な師だとおもわなかったのか?」

 当時を振り返り、フィアはやや沈んだ声でつぶやく。

「さァね。 少なくとも俺だったら、その場でお前をなぐるかもしれない。“敵であっても大切なヒト・・・・・と闘えるか”ってな。」

 歯に衣着せぬレントの物言いにフィアは小さくつぶやいた。

「そうか。」

「……セフィルはつよい子だよ。 心も力も……」

「ああ、分かっている。」

 幼い身体と心で必死に運命に立ち向かい、戦った。

 誰にも頼ることの出来ぬ難問にもセフィルは一人で立ち向かった。

 それがたとえ、残酷な結末だったとしても。

 それでも彼は、“今”を選び、いきていた。

 その先の未来へ進むために。

「ああ、セフィルは私の自慢の……」

 フィアが言いかけたとき……

 どーーーーーーーーん

 遠くでなにやら大きな音が響いた。

「な、なんだ!?これは!!」

 ぐらぐらと地面が揺れる。

 それとともに今や扱うものの少ない特殊な魔力の覇道を感じる。

「レント! 恐らくこれはセフィルの言霊コトダマの力だ。」

「セフィル、素人トーシロ相手に上級の術を使ったのか!?」

「いや、術自体は中級……だが、威力と魔力は最上級並だ!」

「何だって!?」

 一体何が起こったのか?

 二人は状況を確認しようと、セフィルとトーヤ達の元へ向かった。











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