第十一幕―VSセフィル―
木々の間をぬって、道無き獣道を走り、時にモンスターをかわしながら、トーヤはセフィルを追った。
「セフィルさん! 覚悟!!」
ようやく追いつき手を伸ばすがそれは指先をかすっただけで、掴むことはかなわなかった。
「甘い!!」
ナイフが投げられたが、うまくそれをかわすとトーヤは剣を構える。
「本気で行くよ……」
「ならば、僕は手加減しようか?」
それは戦士への侮辱だ。
だが、ここで逆上してはセフィルの思うつぼ。トーヤは深呼吸し、落ち着きを取り戻した。
「は!」
剣に風の魔法をまとわせ、一気に振り上げる。
すると、剣圧によって風魔法が真空波となって、セフィルを襲う。
「闇よ 我が障害を消し去れ」
小さく紡がれた言葉に、真空波は 闇にのまれて消えた。
「あ!セフィルさん汚い!」
トーヤは不満を口にするがセフィルは涼しい顔だ。
「中級魔術なら、許可は出ている。 闇の蛇 我敵を拘束しろ!」
「わぁ!」
地面から現れた紐状の陰にトーヤの体は拘束された。
「ぐぬぬ」
腕を動かすもびくともしない。
「時間がたてば外れるようになっている。 それまではそこでおとなしくしていろよ。」
ひらりと軽快に、セフィルは走って森の奥へと消えていった。
魔術で拘束されら体を見る。
「簡単に外れそうにはないなあ。」
ためしにひっぱってみるが、結果は同じ。
外れることはなかった。
諦め掛けたその時
「おーい、トーヤー!!」
どこか遠くでコウハの声が聞こえる。
「コウハ!ルナ! こっちこっち!!」
トーヤの声を聞きつけ間もなく二人は彼のもとにたどりついた。
その瞬間、コウハはトーヤの様子を見て顔をしかめる。
「トーヤ、どうしたんだ?それ……」
「魔術で拘束されているみたいだけど?」
「どうしたも何も、セフィルさんにやられたんだ。 ルナ、これ外せる?」
「やってみるわ。」
ルナは杖を振りかざし、魔法陣を出現させた。
ぱああぁぁと柔らかい光に溶けて拘束は消えた。
「うん、動ける!ルナありがとう!」
「セフィルさんに一発かまされちゃったのね。」
ルナは呆れたように溜息を吐いた。
「だって、まさかこんな魔法があるなんて思わなかったもん。」
「だからって……」
ルナが言いかけた瞬間、四方八方からナイフが飛んできた。
「きゃあ!」
「ルナ!」
ナイフがルナに向かったが、トーヤが咄嗟に彼女の腕を引き、地面に伏せたため、ナイフは当たらなかった。
コウハは大丈夫かと、横目で彼を確認する。ナイフはどこから飛んでくるかわからないが、速度はそう速くない―――おそらく魔法で飛ばしているのだろう―――為、コウハも無事のようだ。
「コウハ、大丈夫?」
「ああ、平気だ」
トーヤはルナをかばい、剣でナイフを払い落しながらコウハのもとへ向かった。
「ルナ!」
「うん、わかった」
トーヤがルナに合図を送ると、トーヤとコウハはルナを守るように立ち、ナイフを落とす。
その間にルナは防御魔法の陣を完成させていた。
「はぁ!」
ルナの魔術に反応し、トーヤたちの周りを透明な壁が囲う。
「防御魔法か。 いつまで持つかな?」
少しはなれたところで魔法を駆使し、ナイフを操っていたセフィルは不適に笑った