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あなたに出会って 2

久しぶりに復活しました。伊倉と申します。

前回の投稿から一年近くたっての投稿です。自分自身も設定などいろいろ忘れかけておりました(笑)

この話は一話前の話とつながっております。できれば前話からお読みいただけますようお願いいたします。

そして、この小説自体、『2人はきっと。』という小説のスピンオフのようなものですので、全体の設定などはこの小説の一番最初にある登場人物紹介のところをお読みいただきますようよろしくお願いいたします。

読者の皆様には面倒なお手数をおかけしますが、これからまたがんばっていきますので、ぜひとも感想などよろしくお願いします。

そんなこんなな大学生活であったが、悩んだのは就職のことである。

実家は首都圏にあるのだが、俺が通っている地方大学周辺に4年間も住んでいると、なんだかんだで居心地がよくなってしまった。

首都圏ほど便利ではないかもしれないが、ちょっとのんびりした雰囲気もあって、自然も程よくあり、それでいて日常生活に不便ではない。

電車を使えばいろいろな観光地に行けるのも魅力で、大学生のときにはいろいろ巡ったりもした。誰と巡ったかに関しては、友人であったり、そのときの彼女であったり、剣道部の仲間であったり、といろいろだが…

で、問題は、どちらで就職しようか、ということだ。

もちろん首都圏に戻るという選択肢もあったし、実際第一候補だったのだが、自分の中で何かが違うとひっかかっていた。

たぶんそれは、大学生になる前は剣道に打ち込もうと決意したにもかかわらず、結局はそうならなかったという自分の甘えに対する違和感のようなものだと思う。

実家に戻れば、実家で寝泊まりして、ご飯や洗濯などの面倒は母がみてくれるし、社会人としての新生活は間違いなく楽であるのだろうが、大学生活の中で自分に甘えてしまっていたことを鑑みると、その状況は自分を堕落させるだけなのかもしれないという風に考えるようになった。

だから、俺は、こっちで就職することにした。

人並みに就職活動をした結果、とある会社の営業として新社会人になることになった。

今の一人暮らしの状態で新社会人となるので、いろいろやらなきゃいけないことは多いし大変だけど、がんばろうと決意したのだ。

そしてもうひとつ、決意したことがあった。

それは、剣道だ。

剣道を大学時代にやってはいたが、全身全霊で打ち込むというところまでではなかった。

なので、新社会人になってからは、時間はもちろん少なくなるが、休みの日などを利用して、もう一度剣道を真剣に取り組んでみようと思ったのだ。

どこでやるかが問題だったのだが、幸いにも、会社(家から30分程度はなれている)があるあたりに、子供からお年寄りまでが入っている剣道クラブみたいなのを見つけ、見学もさせてもらい、みな楽しみながらも真剣に竹刀をふるっていたので、自分もそこに入ることにしたのだ。

そして、俺が加入してから第一回目の練習日。

このクラブでは若い男性が新たに加入するのは珍しいらしく、土曜日ということで学校が休みなので練習にきていた小中学生にいろいろと話しかけられたりした。

年配の方も俺が早く慣れるようにといろいろ気を使ってくださり、クラブデビューはいいものとなった。

で、練習終わりのいまから、駅前の居酒屋で、クラブの大人たちだけで、俺の歓迎会みたいなものを開いてくれることになった。

「それではみなさん、今日もおつかれさまでした。今日の練習も非常に充実したものになったのではないかなと思います。特にですね、小学生のみんなは先週に比べてしっかりと…」

クラブの幹事をやっている佐伯さんがビールを片手に立ち上がって前口上。佐伯さんは50歳前後の男性で、昔剣道をやっていたということもあり、指導者的な役割をしている。俺も一回やらせてもらったけど、実力はさすがだった。

「長げーよ佐伯!!」「はよせんかーーー!!!」

そんな佐伯さんの口上が長いことに対し、年配のおじちゃんたちがどやし始める。

そういやさっき、「佐伯の弱点はな、話が長いことなんじゃよ。」っておじいちゃんに教えてもらったな。

佐伯さんは「じゃあ…」と不服そうに話を切り上げた。

「では、真壁くんの加入を祝いまして、かんぱーーい!」

「「「「「かんぱーーーーーーい!!!!」」」」」

号令とともにあちらこちらでグラスが交わされる。新加入だからということでど真ん中に座ってる俺も、周りの皆さんとグラスを乾杯させる。

その後は、居酒屋っぽく、ワイワイガヤガヤ。飲み食いしつつ、いろんな人たちとおしゃべり。

俺は佐伯さんの隣に座っていたこともあり、周りが地元の中年の人たちばっかで、いろいろなことを質問されたり、逆におすすめの飲み屋を教えてもらったりなど、非常に楽しく盛り上がったりしていた。

途中で席をチェンジする機会があり、俺は端のほうとなったのだが、隣には今日初めて言葉を交わす女性がきた。

「初めまして、真壁くん。東七海あずまななみです、よろしくね!」

すらっとのびた黒髪をポニーテールにしており、キリッとした顔立ちが美人の東さん。気が強そうな印象を受ける。

練習のときも話す機会がなかったということで、お互いにお酒を交えつついろんな話をした。

聞けば、彼女は俺より3個年上で、地元はまた違う地方で、この辺にある会社では事務の仕事をしていて、剣道は中学のころやってて、大学のときは触ってなかったんだけど就職した後スポーツをしたいってことで復活して、好きな本のジャンルはミステリーで、とかいろいろ。

『とかいろいろ』ってのは、俺らのお酒がすすみ、俺は酒に強いタイプでつぶれることは滅多にないのだが、どうやらお酒に強くはない東さんは途中からベロンベロンになって、ろれつが回んなくなってきたのだ。

で、歓迎会お開きってころになると、もうテーブルに頭を載せて爆睡していた。

「あちゃー、また潰れたかー。」「コイツは弱いからのー。」

おじさんおばさんたちがこう言うってことは、いつもこんな感じなのだろう。

そしてそんな姿を見て、佐伯さんは申し訳なさそうに俺にいった。

「真壁君、今日の主役なのに悪いんだけどさ、東さん、家まで送ってってくれない?」

聞けば、彼女が住んでいる地域は、他のクラブの人たちが住んでいる地域とはちょっと離れている地域で、しかもその地域は俺が住んでいる地域であるとのこと。帰る方向も同じだし、タクシー代はみんなで出してくれるとのことなので、俺はその申し出を快諾した。

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