ケンとサエ
ケンとサエ、らぶらぶ。
時間軸は2人が高校を卒業し、大学に入学するまでの春休みのとある日です。
目が覚めると、私は、ベッドの中で、ケンの腕の中にいた。
目の前には安らかに寝息を立てるケンの端正な顔。やっぱりだが、気づけば、私もケンも何も着ていない。
床には脱ぎ捨てられた服が散らかってる。
そこまで見て、ふと、昨日の夜の行為を思い出して恥ずかしくなった私。
行為は私にとっても、私たちにとっても、2回目のことだった。
1回目は受験前のクリスマスの日。夜遅くにケンが私の部屋に来て、それで…
その時はクリスマスっていうこともあって勢いとかムードとかでそうなっちゃったんだけど、今回はお互いに意識していたので緊張してた。
始める前に『よ、よろしくお願いしますっ!』『こ、こちらこそ!』なんてベッドの上で頭を下げ合ったぐらいなのだ。
私もケンもまだ経験は少ないけど、ケンは私のことをずっと気にかけてくれて、『大丈夫?』『痛くない?』と優しく聞いてくれる。
友達の話を聞いてると『男なんて身体目当てだよ!』とかそういう意見が出てくるが、ケンはそうじゃないって思う。
ケンに大事にされてるな、って感じることができて、私は幸せだ。
こうして、ケンの腕に抱かれているときも。
…もう一回寝よう。暖かいぬくもりを感じながら。
目が覚めると、俺は、ベッドの中で、サエをしっかりと抱いていた。
俺の腕の中にはかわいい顔をして寝ているサエ。思わずその唇にキスしてしまいそうだ。
そこで俺は何も着ていないことに気づく。抱いている腕の感触から、サエも何も着ていないみたい。
あーそうだ、昨日はサエとしたんだった。
俺は女性経験がサエ以外になく、もちろんそういうことをするのもサエとが初めてなので、リードする男としてはちょっとぎこちないというか、頼りないというか…
1回目の去年のクリスマスの時は2人でベッドに倒れこんだ勢いで何も考えずに求めあったけど、今回は何故だか緊張した。
ちゃんとリードしなきゃ、とか思ったり、サエは大丈夫かな、苦しくないかな、なんて思ったり。
腕の中に眠るサエが、いとしい。
行為は快楽を得るものだけど、俺としてはそれ以上に、相手がサエだってこと、サエと一緒になれたということに喜びと幸せを感じるのだ。
すぅすぅと寝息を立てて眠るサエ。俺も、もう一眠りするか…
「もしもし?副島です。」
『おっ美穂ちゃん?緑で~す。分かる?』
「あ、はい!お兄ちゃんのお友達の…」
『そうそう!で、聞いたんだけど、美穂ちゃんって俺らの母校に合格したんだって?』
「はい!合格しました!4月から通います!」
『そっか!おめでとう!美穂ちゃんならきっと上手くやれるぜ!』
「ありがとうございます。緑さんも大学受かったんですよね!」
『おっ、サンキュー!死に物狂いで頑張ってなんとか、ってとこだけど…』
「ハハハッ。」
『それはそうと、兄貴はいる?今日さ、Wデートしようぜって話だったんだけど、集合時間過ぎても副島ペアが来なくてさ…』
「あー、まだ、2人とも、お兄ちゃんの部屋で寝てますよ…」
『おっ、そういうことでしたか♪ じゃ、ヤツら起きたら、もう別々でってこと伝えといてくれない?』
「分かりました!わざわざお電話ありがとうございます!」
『じゃ、よろしくね!ばいばーい♪』
「はいっ、失礼します。」
俺らが寝てる間にこんなやり取りがあったなんてことは、もちろん、知らなかったりして。
最後は『こんなオチかいっ!』っという、緑and美穂登場でした(笑)
いかがでしたでしょうか?