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A SISTER OVERSLEPT...

お久しぶりです。

また生活が落ち着き始めたので続きを投稿させていただきます。

よければこの『A SISTER』シリーズ(いま勝手に名前をつけましたが)を最初から読んでもらえると、話の流れ等分かりやすいかもしれません。

感想等ぜひともよろしくお願いいたします。

居候生活4日目、今日は火曜日です。

気持ちいい秋晴れですね、ハイ。コーヒーが余計おいしく感じます、ハイ。

ん?私の今日の予定ですか?今日は、授業が1限3限4限5限と、ちょっと大変な日なのです。

え?今何時かだって?ハハハ、面白いこと聞きますねぇ。


…9時すぎです。


そうです、つまり1限はおサボリです。

起きたら8時55分で、あ、こりゃもうだめだ、遅刻するより潔く諦めようと思った訳ですよ。

で、1人でコーヒー淹れて、窓から入ってくる日差しを浴びながら飲んでいる訳ですよ。

ちなみに今日はベッドで冴子お姉ちゃんと一緒に寝たのに、起きたら冴子お姉ちゃんはおろかお兄ちゃんまで家にいないのです。2人とも1限からだってね。

じゃあ起こしてくれりゃ良かったのにとちょっと怒りましたが、昨日の夜『私3限からだから、起こしてもらわなくて大丈夫!』とか調子のってほざいてたのを思い出して怒るのをやめました。1限あるのにね、なにを勘違いしてたのでしょう。自分が情けないです。

はぁ、こうなりゃ、とことんゆっくりしてやろう。

とりあえずテレビをつけて、テーブルの上にあるコーンフレークでも食べましょうかね。






「…というわけで、1限諦めたの。」

「いや、威張って言うことじゃないから、美穂…」


現在お昼休み。第二外国語別に編成される語学のクラス(私は中国語を習っております)の友達と、学食でお昼ご飯です。

語学のクラス、仲いいんですよね。一年生はほぼ毎日英語または中国語があるので、毎日お友達と顔を合わせる訳です。

そりゃもう必然的に仲良くなりますよ。

ウチの高校の知り合いで同じ大学の同じ学部に入った人はいなかったので友達出来るか不安だったのですが、そんなのが杞憂でしたね、ええ。

学食のCランチを頬張りながら、私の向かいに座る佐々木桃子ささきももこちゃんに今朝の顛末を話したのです。

桃子ちゃんは、実家が名古屋ということで上京してきて大学の女子寮に住んでいる子なのです。最初の授業のときにたまたま隣に座ったのが桃子ちゃんで、それがきっかけで仲良くなったんですね、ええ。授業がだいたいかぶっているということも相まって、今ではクラス1の仲良しコンビです。

サラサラのロングの黒髪が美しくて、触らしてもらうのが大好きです。可愛い系というより美人系かな。ちなみに彼氏はいないみたい。世の男の子たち、チャンスですよ!!!


「ていうか、美穂んち、お父さんとお母さんが旅行行ってるんじゃなかったっけ?よく1人で生きているね。」

「うぐっ、馬鹿にしないで…」


そして桃子ちゃんは私が寮に遊びにいったときに家事スキルが壊滅的なのを知ってしまったので、それに関してズケズケとものを言ってくるのです。男勝りな、サバサバとした性格。そんな彼女といると私は気が楽なので、仲良くなったのでしょう。


「しかし!なんと!実は!いま、お兄ちゃんの家に居候してるのです!!!」

「…へぇ〜。」


なんですか、その、どうでもいいみたいな反応は。

そんな桃子ちゃんの反応を見なかったふりしつつ、お兄ちゃんは彼女と同棲していてそこに転がり込んだこと等諸々を話ししました。すると、背後から、


「へぇ〜!」


と、桃子ちゃんとは全く違う「へぇ」の声がしました。

ご飯を食べているお箸を口に加えながらその声の方向を見ると、そこには、同じ語学のクラスの、藤田啓ふじたけい君が。ちょっとたれ目気味の、優しい雰囲気が漂う男の子です。ふんわりとしたミディアムの茶髪がそんな雰囲気に拍車をかけています。

あっ、あわわわっ、こんな所見られると、なんか恥ずかしいです。急いでくわえていたお箸をトレーに置きます。


「美穂のお兄ちゃんってサッカーやってるんだっけ?いいなぁ、俺サッカーすごい好きなんだよ!」

「うっ、うん!他の大学でだけど、この前の日曜に試合観に行ったんだ!」

「ほんとか!うらやましい!」


気づけば、啓君のまわりには、同じ語学のクラスの男の子たちが数人。皆でご飯でも食べてたのでしょうか。桃子ちゃんと楽しそうにおしゃべりしています。


「…っと、やべ、3限あるんだった。もう行かなきゃ。」

「あっ、そっか…」

「いまは時間無いけど、今度、もっと詳しく、そのお兄さんの話、聞かせてよね。」

「…うん!分かった!」


啓君はうん、と頷くと、他の男の子たちに声をかけて、食堂を出て行きます。

私は後ろ姿を見送りながら、先ほどの話の内容をもう一回思い返すのです。

…ふふふっ、啓君と、今度もっとおしゃべりできる。


「美穂〜?」

「…あわわわっ!」


いけませんいけません。ちょっと意識がトリップしてて、桃子ちゃんが私のことを覗いているのに気がつきませんでした。


「だっ、大丈夫よ!うん!なんともないよ!」

「いや別に何も心配していないんだけど…」


桃子ちゃんはそう言ってペットボトルのお茶を口に含むと、私の方を見て、それからニヤリと笑みを浮かべて、


「で?藤田とおしゃべりできた感想は?」

「うぐっ、恥ずかしいから、聞かないでぇぇぇぇ!」


思わず大声になってしまいます。

…そう、私、啓君のこと、ちょっと気になっているのです。いや、『気になっている』よりももうちょっと上の気持ちで、いやでも、好きって決まった訳じゃなくて!うーんと、なんだか、説明できないのです。

桃子ちゃんはそれを知っているので、ことあるごとにこんな風にいじめてくるのです。うぅ…


「ま、大学入ってからいろんな男に誘われてるあんたが初めて自分から興味を示したヤツなんだから、いいんじゃない?」


そうなのです。

大学入って、もちろんサークルにも所属していて、その中で一緒にご飯行こうとか映画行こうとか、いわゆるデートに誘われたのは何人かにあるのですけれど、私はどれもなんだかんだ理由をこじつけて行きませんでした。

でも、彼、啓君になら、どこか誘われたら、行きたいかな…


「…やっべ、美穂、チンタラしてる場合じゃなかった。もうちょいで3限始まっちゃうよ。」


ふと腕時計に目を落とした桃子ちゃんがそう呟きます。忘れてた。


「あっ、そうだ!早く行かないと!」


2人で荷物を片付け、食器が乗ったトレーを乗せて、ちょっと急ぎ気味に返却口へ。

そして2人で次の教室まで小走りです。

ちょっと焦り気味なので、おしゃべりする余裕なんて無い。無言で走っております。

そんな中、私は、何故だか冷静に、自分の気持ちを整理していました。


…啓君のこと、好きなのかもしれない。


最初は優しくていい男友達みたいな感じだったけど、おしゃべりしてて楽しいし、一緒にいて気が許せるし、でもそんな中でふと見せる男らしい一面にドキッとしちゃったり、とにかく、彼といると、ドキドキが止まらないのです。


そして、私は、もう一つのことを思い出します。


…秀、元気かな。


それは、幼なじみで、中学の頃から付き合っている、でも地方の大学に行った、『彼氏』のことでした。

このことは、桃子ちゃんにも話していない。

…いや、もう、『彼氏』と呼べないのかもしれない。

大学が始まって最初の頃は頻繁に連絡を取っていたけど、お互い忙しくなって、自然と連絡する頻度も少なくなり、最後に連絡したのは一ヶ月前とかだっただろうか、とにかく全然連絡していない。

それに、秀、カッコいいから、向こうで他の女の子ともうそういう関係になっているかもしれない。


でも、だからといって、すぐに私の気持ちが啓君に行けるはずが無い。

なんか、秀のことが、いまでもやっぱり気にかかるというか、一応体裁としてはまだ『彼氏』なのだから、そういう状況の中で他の男の子に想いを伝えるのはどうかというか…

それに、もしかしたらだけど、秀が向こうで他の女の子とそういう関係になっていないかもしれないし、そうだとしたら、私のこの啓君に対する気持ちは秀に対しては罪となる訳で…


とにかく、なんか、踏ん切りがつかない。


そんなモヤモヤを心に抱えながら、私は、残りの授業を過ごしていた。

授業の内容等、頭に入ってこない。

…はぁ、どうしたものだろうか。

秀は他の女の子とよろしくやっているというのに…(『あなたに出会って1』をお読みになっていただければ秀目線からその状況が分かります)

ちょっとシリアスめな雰囲気を呈してきましたこのシリーズ、続きもご期待ください。

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