嘘にしたのは私だった
掲載日:2026/04/08
もう聴かないと決めた曲が、ラジオから流れてきた。
あの人に会ったのはファン同士のコミュニティ。
しばらくはみんなで話していたのに、いつのまにか個人的に連絡を取るようになっていた。
毎日メールして、お互いの顔写真も送って、気づいたら私は貴方を好きになっていた。
私は嫌われないように必死にこの想いを隠して、少しでも長く貴方と会話をしたかった。
だけど日に日に貴方への想いは募り、返信がくるたびに嬉しくもなり、苦しくもなった。
逢いたいけど、幼すぎて方法がわからない。
貴方の私への気持ちもわからない。
ずっと一定だったから。
『彼氏が出来た。男性とやり取りするの嫌がるから、もう連絡出来ない。』
嘘にしたのは私。だけど本当ではないとも言い切れない。
あの時は、それでよかったんだと言い聞かせ続けた。
それから何度泣いたかわからない。
好きな曲も聴けなくなった。
結局貴方が私をどう思っていたのかすらわからないままだ。
今は別のアーティストが好きで、かつて好きだった曲を聴くこともなくなった。
…ただ、今好きなアーティストの曲に、私のあの時の気持ちが歌われている曲がある。
その曲を聴くたびに貴方のことを思い出す。
まるで「忘れないで」と言われているみたいで、私は少しだけ音量を落とした。




