第5話:訴訟
因みに、少なくともbotとは思われない読者がある程度居ないと、ホントに『~闇の章~』にて破滅エンドを描くけど、本当にソレで良いの?
まぁ、世界一のワーストセラーなら、その位が適当なのかも知れないけど。
風神王の裁決が下り、水帝州は無事に無罪となった。
一方で、訴えで出た商人は、「納得がいかない!」と言いつつ、その財産を没収されて換金され、水帝州が負担した、旅費を含む全諸経費を支払うのに使われた上で、裁判の費用を差し引いた後、余剰分が商人に返された。
尚、判決は「水帝州に対して疑惑を持たせるべく、悪意を持って行われた、卑劣な犯行である!」との厳しいお言葉付きである。
この判例を以て、これ以降、『スカイ・スキッパー』に対する訴訟が行なわれる可能性がぐんと引き下がった。
因みに、魔空船の製造時にも、同様の訴えがあり、同様の判決が行なわれた過去もあるが、長い年月が経つことで、忘れ去られようとしていたが、その際の訴えの前例は、確り風神州が証拠として保管してあった。
重要な情報だ、今回の件も、大事に保管される事だろう。
兎も角、水帝州は『スカイ・スキッパー』の量産に向けて、専用のドックの増設に向けて動くことが出来るようになった。
敗訴していたら、『スカイ・スキッパー』の製造が止まりかねない、危うい事態であった。
それでも、誠実に物を作っていたら、いつかは必ず報われる筈なのだ。
ソレを奪う卑劣な者の存在を、決して無視は出来ないが。
そして、事態は『空帝』の製造に取り掛かる事案まで進んでいた。
少なくとも、八ヵ州各三機。それが必要だった。
そして4月7日、風神州と水帝州に『空帝』が行き渡った状況で、『E-1/2』が開催された。
リミッター制限の緩和が報せられていたが、対応が間に合ったのは、元々リミッターが時速1200キロに設定された、『空帝』を備える二ヵ州のみ。
開催当日、報せられていた他六ヵ州がリミッターの設定を考えて、急な変更にパイロットが対応出来ない事態を想定して、そのままのリミッターでレースに臨んだ。
結果は自明の理だが、上位6着を風神州と水帝州が占めた。しかも、マクシムが三着に入ると云う、快挙の達成である。
耐Gスーツの着用は、既に『E-1/2』に於いて常識だが、それが必要になるレベルまで自分を追い込んだのが、マクシムであるだけの話なのだが。
練習では、何度もG-LOCにて意識を失い、オートパイロット機能でスタート地点まで帰り着き、落ち癖みたいなモノが付きかけていた事もある。
本番直前では、9Gもの加速圧に1分間耐えるレベルまで仕上がっていた。
後は、風神州の持つ『風の加護』と、マクシムの血の気が引くレベルの努力との勝負だった。
結果として3位に入ったから良かったものの、下手をしていれば失格になっていた可能性もあったのだ。
彼にとっては、最大時速1200キロと云う制限は、余計なお世話と言ったところか。
兎も角、1位は歴代で最短タイムを記録する程ものレースになった。
こうでなくちゃいかん、とサマリは思った。これで、八ヵ州の全てのフライトカーが『空帝』になったら、どうなるだろうか?
或いは、風神国に弟子入りし、耐Gトレーニングからみっちり行う者も出て来るかも知れない。
それならばそれで構わない。
何にせよ、互角の勝負が出来る事こそが肝要なのだ。
でなければ、風神州以外の州がやる気を失くしてしまう。
それだけは避けたい事態だった。
何しろ、不参加を決め込む州が出てきたら、他の州もそれに倣うかも知れない。
そうなれば、『Eー1/2』はお終いだ。
そうならないための『空帝』である。
そして、風神州の1-2-3フィニッシュで終えさせなかった事に、サマリは大変な意義を見出していた。
初導入の上、風神州と水帝州のみに機体の提供があった事から、この結果は齎された。
これが八ヵ州全てにとなると、また違った結果が出て来るだろう。
取り急ぎは、天星州だ。『天の加護』があれば、『風の加護』程で無いにせよ、何らかの影響を求める事も、或いは出来るのかも知れない。
そして、とサマリは思う。そして、各パイロットの耐G性能が高まれば、次は2位を脅かすかも知れない。
それが1位をも脅かすまでには、どの位の時間が必要だろうか?
……判らない。判断材料が少な過ぎる。
『風の加護』は、風神州の血に伴う加護だとも言われている。
ならば、他国に嫁入りした風神州の姫が、『E-1/2』に参加すれば。
ただ、経験値として、風神州のトップレーサーはレベルが高い。ソレは否めない。
それでも、とサマリは思う。
『風の加護』を持ち、耐Gトレーニングを充分に積み、その姫かその姫の子供が経験値を積めば。
他州の優勝も、夢じゃないと、サマリは思う。
そして、そんな時代が早く来れば良いのにとサマリは思った。
特に、天星州に嫁入りした姫が居れば、それは絶好の条件だろう。
だが、今現在、そんな姫が存在しないのも事実。少なくとも、『E-1/2』に参加している者には。
いつかは現れるだろう。そんな予感が、サマリにはあった。
ただ、それがいつの事になるのかまでは、サマリの想像の及ぶところではない。
そもそもが、風神州の姫を、『E-1/2』に参加させるだなどと云う考えが、甘いのかも知れない。
それでも、だ。それでも、風神州の1位を脅かさない事には、『E-1/2』が、風神州だけの為のレースになってしまう。
それでは意味が無いのだ。そんな為に開催するのであれば、風神州が主催すればいい。
水帝州が主催州の一つに加わっているのには、魔空船やフライトカーを単独の州で生産出来る州であり、他州に向けての輸出の為に生産したいと云う思惑がある。
故に、『E-1/2』の開催には、他の州も競って欲しいのだ。
それは、ただ単に魔空船やフライトカー、そしてこれからは『スカイ・スキッパー』が売れるように、ただ商売の観点から見ていたに過ぎなかった。
そうなのだ。利益の為にレースの公平性を求める。ただそれだけなのだ。
だが、それは大事な事であると、その事実から目を逸らす訳にはいかなかった。
『~闇の章~』での破滅エンドを望む方はサムズアップで、違うエンディングを望む方は他のリアクション(ポイント評価、ブックマークや感想でも可。但し、★一つ又は★二つの評価は、『~闇の章~』での破滅エンドを求めるものと見做す)で反応下さい。
一つも反応無かったら、botしか読んでいないと見做し、『~闇の章~』での破滅エンドへと導きます。




