第9話:八ヵ国統一
高が八ヵ国世界の統一。それが、何故かとても難しい。まるで、他の何かの国が出来なければ達成できない性質のもののような。
だが、最速で八ヵ国世界の統一を果たすとしたら、今だ。
大陸の中央にある国。集中力により、力の集まる国であり、闇夜国には任せられない事業。
光朝王は、先ず風神国に先触れを出して意見を窺った。
返事は遅かった。だが、『合衆国案』により、風神国は承諾した。
そこで、八ヵ国会議で議題に出された。反応は、今一つだった。
「これにより、八ヵ国制より、どんなメリットがあるのか」
究極を言えば、その一点に収束した。
「資源の分散により、貧富の差が減少致します」
光朝国の説明係はそう説いた。
「莫迦な、その意味が判って言っているのだろうな?」
「当然で御座います」
そこで、光朝国の切り札、『黄金芋』が提供された。
毒見役も含めて、一ヵ国一個しか配られなかったが、慎重な毒見をしたのは天星国だけだった。
「美味い!」
「何という甘さだ……」
『黄金芋』は、どうやら好評の様子。
だが。
「八ヵ国の統治と云う側面だけから言えば、この『八ヵ国会議』を以てその代理と致せば良いのではないか?」
反論が出された。それは、光朝国も悩んだテーマであった。
「『上王』と云う立場の者を八ヵ国の中から選定し、決断の権利と義務を背負わせれば、と」
「莫迦な……自国への優遇政策を取るのが目に見えて明らかではないか……!」
「そこで風神王!」
光朝王は風神王を振り仰いだ。
「貴国の王には、『司法権』をそのまま引き継いで頂きたい」
これには各国、沈黙。今までと何も変わらないからだ。
「八ヵ国会議には『立法権』を。『行政権』は今まで通り各国王が担っていただければと!」
「莫迦な、『上王』の権限が何もないでは無いか……」
「『上王』には、三権の決断権を持っていただければと」
成る程、各国、八ヵ国世界統一国家の樹立に向けて、そのカタチが明らかになり始めた。
「では、『上王』には、『三権の決断権』しか無い、と」
「『上王』の代わりの王を立てるのであれば、その通りであるかと」
成る程、中々に考え込まれたアイディアなのだなと、各国が理解を示し始めた。
「『上王』がその国の王も兼ねた場合は?}
「その国の『行政権』しか握らないのでは、ただ忙しくなるだけでは?」
つまり、余り忙しくなりたくなかったら、『上王』は自国に代わりの王を立てよ、と云う話である。
「『上王』の任期は?」
「七年ほどでよろしいかと」
必殺、『神の数字』である。
「『上王』であれば、十二年の任期でも構わぬと思わないでもないのだがな」
そう言い出したのは風神王。序でに、こんな事も言い出す。
「『上王』に女性を据えても良いのだな?」
「……その国が相応しいと思える女性ならば」
「して、『上王』の決め方は?」
「八ヵ国の王の、自国以外の王の推薦に因って、投票式多数決で宜しいかと。
同数の票の場合、最多の得票数を誇った王たちによる、決選投票で宜しいかと」
「はて?二ヵ国の王が同数票を得た場合、決着が着かぬのでは?」
「その場合は、風神王の投票した王へと、で宜しいかと」
つまり、風神王が『上王』となる可能性は、かなり低くなると思われた。
「責任重大ですな、風神王」
「何の。悪政が敷かれれば、クビにしてしまえば良いだけの話よ」
今、恐ろしい話題が飛び出し、各国の王はギョッとした。
「済まないが、善政を敷く能力の無い王が『上王』になった場合は?・」
「推薦した王に意見を求めれば宜しいでしょう」
成る程、風神王の投票が、強い決断力を持つのも、理由が明らかとなった。
「唯今を以て、『上王』選出の是非を、今回の八ヵ国会議により、決断する事への多数決を取りたい」
光朝王は、そう言い出した。
「賛成の者、挙手」
風神国、天星国、光朝国、水帝国がすぐさまに手を挙げた。遅れて、氷皇国、この時点で、過半数に達して結審した。
「演説の必要はあるだろうか?」
反応が悪い。演説の必要は無かろう。
「各票を挙手にて願う。
天星国を推薦する者、挙手!」
風神国、氷皇国、地底国が迷わず挙手。少し遅れて、火王国、闇夜国も。その時点で、過半数に達し、『初代上王』の座は天星国王が就いた。他の国の意見を訊けば、恐らく風神国を選んでいたであろう。
「唯今を以て、天星国王を『初代上王』へと任命する!意義は認めない!」
風神王が、拍手を始めた。続いて、他の国王も次々と拍手を響かせる。
「『初代上王』陛下に、初心演説を願いたい!」
「えー……。我が決断を以て、この八ヵ国世界、改め、八ヵ州世界に豊かさを齎したいと思う。
初めての試み故、手間取るかと思うが、先陣を切って改革に努めようかと思う。
尚、各国の名前は、『国』を『州』とすることで退所願いたいが、挙手にて多数決を取りたい。
又、未だその時では無いと思うものは、挙手をしないことで意思表示願いたい。
賛成の者、挙手!」
天星王が真っ先に挙手し、風神王も続く。光朝王も速やかに。そして、氷皇王の投票で結審したが、尚も水帝王が続いて挙手し、悩みながらも他の国も。
「満場一致により、これより八ヵ国世界は『八ヵ州世界』へ生まれ変わる!尚、年内に新たな『天星王』の即位へと向けて動く。
さて。本日の議題は他に?」
それ以降は、主に輸出入に関する議題が幾つかあっただけだった。
『上王』制度の是非は、これより先の年代の行政にて問われる事となりそうであった。
兎も角、八ヵ国世界の統一は、平和裏に進んで解決したのであった。




