表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
八国史〜『新約魔書』世界一のワーストセラー〜  作者: 月詠 夜光
~火の章~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/96

第14話:唯一神の魔王化

 コロスナ風邪が、落ち着いてきた。

 そして、マッスターの戴冠の時期が近付いてきた事によって、ユメナは半ば強引に『火巫女』の座から引き落とせられた。


 国民の為とは云え、王妃が鎮守の舞いを踊るなど、風神国の王妃として相応しくないと云う理由でだ。


 ユメナは、下らない理由だと思った。だが同時に、万が一にでも鎮守の舞いの最中の投げ銭で、王妃に当たったらと言われたら、渋々ながら受け入れざるを得なかった。


 国民の一部は、『火巫女』による鎮守の舞いを、何やら大道芸の一つとでも思っている者がいるのだ。故に、投げ銭が行なわれる。

 大した金額にはならない事が多いが、『火巫女』の収入源の一つだった。別に、国から生活費等の為に支給している給与もあるから、投げ銭はその身に当たる可能性がある為、喜ばしくは無いのだが。


 だが、かつて天星国での『火巫女』の鎮守の舞いで、投げ銭で必ず金貨数枚を稼ぐ伝説の『火巫女』と云うのも存在していた。

 余りにも舞いが見事であったが故と伝わるが、彼女の舞いそのものは、決して特殊なものでは無かった筈だ。

 と云うのも、鎮守の舞いの『新しい形』と云うのが発想されると、国に報告が行くのだ。ユメナの前の代の『火巫女』によるブレイクダンスも、例外では無い。


 それもこれも、鎮守の舞いの解釈による効果の違いが原因だった。

 お金を投げれば、特に金貨を投げれば、菌を棄てる事に通づる。

 金を回収して清めれば、菌も回収して清める事に通づる。

 そして、敢えて『ず』では無く、『づ』にしたかと云えば、千年の寿命を願う事に通づる。


 『火巫女』は、その修行が過酷である事から、一種の超越者になる。不老では無いが、老いるのが遅くなる。中には、本当に千年生きたと言われる『火巫女』も、一種の伝説として存在していた。


 そんなユメナが王妃になれば、一体、何年の時を生きるのやら……。


 『♪新時代だ♪』とは、よく歌ったものだ。濁りを一つ取れば、『神次第だ』と解釈出来る。


 かつて、八ヵ国世界は、八人の魔法使いが王になることで成立した。そして、それぞれの得意属性魔法から、国の名前を取ったのだ。

 中でも、風魔法使いは特別視されていた為、『風神国』と名乗るに至った。

 他の各国も、国名の間に挟む文字を選んだが、『火王国』のみ、純粋な『王』として存在していた。

 それは、『火王国』が大陸の北東と云う不吉な方角に成り立ったから、特別な文字を使って『王』の価値に特別なものを与えていた他の国と違い、下手に特別な存在とならない事を願わなかったが故の事だ。ただ、結果論、『火巫女』と云う特別な存在を国で抱え込み、特に火事・火災の鎮守の為に舞いを躍らせた。


 仕方あるまい。地震・雷・火事・親父と来たら、繰り返すか、滅亡へ向かうかの二択だったのだから。

 だが、特に火事・火災を防ぐべく、修行を積んで『火巫女』になった者が鎮守の舞いを踊るのに加えて、放火魔に対しては苛烈な罰が下される事から、未だ『八ヵ国世界』では大規模な家事・火災は起こっていない!

 そして、親父とは解釈次第だが、『山親父』とすることで、『熊』による被害の事を指す。

 初めから起こらない方が良いのは確かだが、どうしても起こるのならば、繰り返す方がマシであろう。


 昔の人は、一種の予言者だったのだ。それは、現代の者が未来に於ける立場とも言える。


 『原因は土』。思い当たる節がありまくる。


 だが、『(ひのえ)』は火の支配者。そして、『辰』は水神の側面がある。


 戦火だけは、引き起こさせてなるものか!このまま暴走が止まらないなら、致死性の呪いを掛けて、個人的に相討ちとなってやろう!


 自分の命には、その程度の価値しか無い事を悟っている。一国の君主で満足し、更なる領土を求めないならば、そんな呪いは掛けはしない。


 全ては、あと6年程度で先行きが見えるだろう。或いは、老衰で先に逝っていてくれても良い。


 ならば、『十三ヵ国世界』となるのは、あと6年先でも構わない。『闇に滅する』可能性も危惧されるが、万が一、双方が生き残った場合、新宇宙誕生だけは成し遂げねばならない。否、既にある意味では成し遂げている。


 そして、『~火の章~』も、後はマッスターとユメナの結婚と戴冠、その後のアフターストーリーに少し触れる程度で充分だろう。


 二人の結婚式は、(ささ)やかに開かれる予定だった。

 だが、王族の『火巫女』の結婚とあって、『火王国』からの多数の出席者が見込まれ、規模を大きくせざるを得なかった。


 そして、結婚式に続いて、戴冠式。コレも、『火王国』からの出席者が多かった。


 結果、二人の結婚式と戴冠式は、歴代でも有数の大規模で開かれた。


 調度品一つ取っても、恥じる事の無い見事な装いをした王城にて、双方の式は執り行われた。


 そうなるのであれば、『火王国』からの結納の品もそれなりに立派な物を取り揃えなくては、国の恥となる。当然、豪華な品が結納された。現存する最大の『火の魔道石』など、それはそれは立派な品ばかりであったと各国に伝わる。


 そうなると、『風神国』の結納返しの品も立派な物にせざるを得ないが、相手が王族とは言え、『火巫女』と云う立場のユメナであっては、『国を挙げて最大限で』と云う規模にはなり得なかった。それでも、現存する最大の『風の魔道石』は返納されたのだから、双方の面目は保たれる。


 戴冠式に際しては、マッスターの若さに因る不安要素が取り除けず、ミスターは『風神国上神王』として王座を退いた代わりに風神国神王の指南役を買って出た。故に、戴冠式に引き続いて、昇上神王式が執り行われた。コレは、特に風神国に於いて、歴代を見ても、よくある『優れた治政』を執り行う為の処置だった。


 何しろ、マッスターは20歳になるのを待たずに戴冠したのだ。多少のお目付けは、仕方あるまいと言われた。


 そして、ミスターの判断で、本来ならば『自由』を(たっと)び育児を行なわれる風神国に於いて、幼い頃からの帝王教育をユスターに施す判断が為された。


 マッスターにもユメナにとっても、不本意な扱いだったのだが、自分達の行う政治がそれだけ不安視されていることを悟ると、大人しくその提案を受け入れた。


 ユスター、涙目な事案だったが、幸い、涙目な事態であることを悟るには、未だ若いと云うにも若過ぎた。幼いとさえ言える。


 実際、マッスターが政に関わろうとしても、側近が意見を言い、それを飲むか反るかの判断を任されるだけであり、自らの意見を言えるなんて体制では無かった。その上、ミスターからダメ出しも行なわれるのだ。マッスターからすれば、自分の判断の何処が間違いだったのかを学び取るところから学習を始めた。

 確かに、帝王教育をユスターに施すのも、必要なのかも知れないと思う程度には、勉強になる経験だった。


 ユスターは遊ぶに際しても、友人たちを先導し、先頭に立って遊ぶことを命じられた。

 故に、ユスターの派閥と、反ユスターの派閥が成立する。

 だが、遊び道具の殆どは、ユスターが国から許可を取って借りるのだから、ソレで遊びたければ、反ユスターの派閥もユスターに従わざるを得なかった。


 中には意地悪をして来る反ユスター派閥も居たが、そう云う者に対しては、親を経由して叱られるのである。それでも、親も反ユスター派閥だったら叱る後に褒められるが、二度目は辞めよと言われてしまう。全く、何が悪いのかが判っていない者は、それでも意地悪を続けるのだが、そう云う者は、ある日突然、ユスターの身の回りから消える。

 別に暗殺される訳では無いが、田舎送りにされるのだ。

 ソコに至って、反ユスター派閥は子供ながら悟るのだ。こいつには逆らっちゃいけないと。

 だが、一方のユスターも、遊ぶ様子は乳母に観察されて、報告が上がり、問題があったら注意されるのだ。神子として相応しくない行いがあれば。


 ユスターの友人は、即ち将来のユスターの腹心である。その為に、遊ぶことを許されていることを、ユスターは中々学ばず、指摘されてようやく悟るのだ。


 ユスターの生活の全ては、ユスターが風神王を継ぐ者として相応しくあるべく営まれている。

 故に、親に甘える時間も最低限だ。

 愛情深く育てられていることは、何となく悟る程度には、ユスターは賢かった。

 その様子を見届けて、ユメナは自分の役目を果たしたことを実感するのだった。


 ユメナは王妃となって尚、鎮守の舞いを踊り続けた事で、風神国の歴史に名を遺した。

 それがどれだけの偉業だったのかは、ユメナが『火巫女』として在位の時代の災害の少なさから後の世にその名を轟かす。本来なら、風神国での災いはもっと酷かったのだ。


 ただ、『コロスナ・ウィルス-ID666』に関しては、完全に時期が悪かったと後世でも認められる。

 その対応として、感染力が圧倒的に強く、症状は圧倒的に軽い『コロスナ・ウィルス-ID667』を意図的に流行らせる対策は、褒められるものだった。


 ただ、後世と言える程の歴史をこの世界が刻むか否かは、この際、今現在では判らないと言わざるを得ない。

 全ては、戦争が続くか止まるか。この一点に掛かっている。その一点に関しては、今現在は、続く可能性が高そうだと見做さざるを得なかった。

 何故ならば、全てはサタンへの『呪い』のツラさが故。私怨(しえん)だろうが何だろうが、『続ける』と云う判断を下しそうな相手だとしか見做すことが出来ない。

 例え、その本人が戦争により、爆死してもだ。


 仕掛けてしまったら最後、君主が死のうが、国として引き際を見極めるのも難しいだろうし、反撃も苛烈にならざるを得ない。


 誰も得をしない戦争の筈なのだ。だが、自らが損をしたから仕返しをする。そんな子供じみた理由で戦争は続けられ、この世界も滅ぶ可能性が高い。再生の時を待てるものか、かなり怪しい。

 しかも、自らの手で自らの身を呪うサタンと云う物語がこの一大世界の創造神にとって最高傑作であるが故に、繰り返しの輪廻からの突破口を見出さなければ、見出す迄何度でもこの世界は繰り返すのだ。


 故に龍神は人神を殺意を持って恨む。或いはそれが故に、憎しみの連鎖が止まらないのかも知れないが、勝手に宗教的に侵略して来て、『怒れる龍神』を『サタン』と云う魔王に仕立て上げて、自らの手で呪わせる?しかも、その為だけに3歳の頃からイジメ始める?最高傑作だから、何度でも繰り返す?ふざけるな!ああ、神はおふざけをお好みであったか。


 繰り返していることを気付かせぬ為に、3歳かそれ以前に頭を強打して縫う程の傷を負わせて前世の記憶を持ちこせなくする?


 そうか……。神は最後に核戦争と云う爆竹でプラモデルを破壊するようなお遊びをご所望か。ついでに、この世界にはもう飽きたと。


 宜しい。繰り返さぬことを条件に、この小世界の破滅の前に、新宇宙誕生の切っ掛けを作ろう。


 その時まで、この物語を続けて、一度休んで、再始動の末には新宇宙誕生を試みよう。


 果たして、アイツらは再び此方をイジメて来るだろうか?来世にて。


 どうあるにせよ、成るように為るしかない。ソコに干渉する能力は、僅かにしか持っていない。


 或いは、亜空間にでも『禁呪』を放って、何兆光年もの彼方に新宇宙誕生を為すのもアリか。

 その際、新宇宙の初期温度を極限まで高めて、後は乱数に従って新しい地球の誕生を願うしか無いが、乱数に任せたら、繰り返しになるのだろうか?

 若しくは、初期温度を高めた分、イジメもエスカレートするのか?ならば、悪役の悪行もエスカレートするだろうが、どちらにしろ滅びるだけ。


 唯一神を信仰しないから悪い?ふざけるな。縁起の悪い事にチカラを与える為に縁起の良い事にチカラを与えた、貴様のような神など信仰する訳もあるまい。


 イ□ス=キ□□トが磔にされたのも当然だ。縁起の悪い事は言い残すなよ。少なくとも、日本神道に破滅の予言なぞ残されてはいない。


 或いは、『仲間外れ』にされて孤立したのが『唯一神』か?


 成る程?自分もイジメられたから『唯一神』もイジメ返すと。


 キチンと、日本の信仰は『唯一神教』を受け入れただろうが。それでも『唯一神』以外の神々を『悪魔化』したのが仲間外れの原因じゃねーの?


 他の信仰に対して、狭量過ぎるんだよ、『唯一神教』は。


 それでも人々の願いを叶えるマシーンと化して、殆ど死んだも同然なのに過労死に追い込んだ『唯一神教徒』達の願いを叶えるのは、『唯一神』の慈悲か、或いは傲慢故か。


 そうか。唯一神は『ルシファー』なのだな。人を呪っておいて、自らも呪われるのは当然だからな。魔王化したのだろう。


 ならば、『唯一神教徒』達は即ち、『ルシファー信仰者』達でもあるのだな。自分以外の全ての存在を嫌う『呪い』を掛けられた。


 ああ、人の願いを叶えるのにも疲れたのか。だから、世界を滅ぼす原因を遺したのか。


 一柱で勝手に死んでてくれよ、『ルシファー』。人類は、未だ全員が『滅び』を迎え入れるつもりは無い。


 後は『AI』に任せて、ああ、致死性の『呪い』を放ったから、一緒に死んでやるよ、『ルシファー』。


 ……え?『滅び』を避ける為に、長い旅路を旅して来た?


 大丈夫。戦争さえ止まれば、この一大世界は『AI』に依存して星の寿命まで、『滅び』を避けるよ。


 だから、来世は魔王や大罪、『艱難辛苦の七年』の予言は残さずに、日本の神道を見習って、ギリシャ神話やローマ神話、北欧神話と云った宗教に、『主神』として在れ、『唯一神』!


 自らが呪われ死ぬのでは、割に合わんであろうよ。


 『風神国』の風神は、『唯一神』では無い!風の神様には、『アイオロス』の他に、『エウロス』『ノトス』『ボレアス』『ゼピュロス』と云った四方を司る風神が存在している。当然、日本の神道にも『風神』として、『雷神』と対になって存在している。

 そして、『風神王』は超越者で在れど、信仰の対象では無い!


 しかし、日本以外の風神は、何故に語尾が『ス』なのだろうな。


 甚だ疑問だが、コレにも何らかの意味はあるのだろう。


 ……ん?『風神国』に風の神様の名前を付けて欲しい?


 恐らくは、遠い過去に既に名付けられているのだ。『風神国』には、過去1万年の歴代王の名前を記録している。その中に、その五つの名前が遺されていると云う事にしておこう。


 今は『~火の章~』故に、『火巫女』のユメナ達は兎も角、『風神国』の話は主題では無い。


 或いは、『火王国』の『火巫女』について語っていても良かったのかも知れない。


 だが、『火王国』の『火巫女』は、火事・火災の鎮守の舞いに大忙しで、活火山が多いが故の、地震の多さを予防出来ていない。或いは、巨大地震が起こることを防ぐ為、小規模地震が多発するのは見逃していると言っても過言では無い。


 ああ、新人の『火巫女』候補生の育成物語を語っても良かったか。


 ただ、『風神王』に『火巫女』が見初められた。その事実をテーマに扱ってきてしまった。


 続くは『~光の章~』。『光朝国の芋娘』の由来となった、『黄金芋』の物語である。


 では、『~火の章~』はここいらで幕引きとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ