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八国史  作者: 月詠 夜光
〜風の章〜

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40/60

第40話:二人の結婚式

 アイヲエルとミアイ、二人の結婚式が執り行われた。

 風神国では勿論、光朝国でも盛大に。

 王宮都市内では、振る舞い酒も無料で振る舞われた。

 実に、風神国の酒の在庫の、三割が消えたと言われる。


 美しい結婚式だった。

 特注で作られた指輪も、派手過ぎず地味過ぎず、ミアイの美しさを引き立てる役に立った。

 実に、大小合わせて二十七個ものダイヤを鏤めた指輪だった。


 ミアイは、皆から祝福されてフワフワと意識が酔った状態で両国での結婚式に参加した。

 アイヲエルは、やっかみの視線に「こんな時ぐらい大人しく祝福してくれよ!」と思っていた。


 そして、誓いの口付けのシーンは、写真を撮られて、後世にまで残ることになる。

 キャー!と云う女性陣の黄色い悲鳴の上がるシーンだった。ほんの、触れるだけのソフトなキスだと云うのに。


 ダイヤモンド・プリンセス。物語のようなシンデレラ・ストーリー。そんな噂が地を駆けた。


 実際には、八ヵ国を旅して廻る、そんな婚約生活を送っていたのにだ。


 そして、『黄金芋』の価値が知れ渡った。結婚式にて、風神国ではモンブラン風味に、光朝国ではスウィートポテト風味に加工されて振る舞われた、その事実を以て。


 『黄金芋』は、それ以降、ほぼ風神国と天星国にしか輸出されず、価格も以前の数倍に膨れ上がった。具体的に言うと、七倍ぐらいに。


 『黄金芋』は光朝国の庶民の口に入る機会が減り、偶の贅沢程度になった。その代わり、他の食糧を食べる機会が大幅に上がった。


 風神国は、光朝国への食糧の輸出を優先的に扱うようになった。


 二人の初夜は恙無く進み、約一年後、子供が産まれた。──男の子だった。名を、ミヲエルと、二人の名前から取って名付けられた。


 そうしてアイヲエルは無事に風神位を継ぎ、風神国の政治の実態を知る。


 即ち、風神国の政治家たちが政策を掲げ、風神王がその採択を決断するだけと云う実態を。


 アイヲエルは即座に、自分の意見を議論に掛ける事を願い出た。その議論に、一年を要した。これでも早い方だと言われる。


 そうして、アイヲエルは結局、フラウを側室に迎える事になった。


 本人は驚いていたものの、拒否する筈も無かった。


 ヴァイス&シュヴァルツは、風神王直属の衛兵として、訓練を施され、三年で採用された。


 ヴィジーは、アイヲエルが王になったのならば、最早一人前と見做し、アッサリと自由の身になった。


 ご意見役は、前風神国王が就いた。コレには、アイヲエルの行動を監視する意味も含まれていた。


 アイヲエルの打ち出した政策は、先ず植物モンスター(食用)の迷宮内でのポップアップ。それの種類を増やした。

 そして、国として天星国に魔空船の建造を依頼した。

 フライトカーレースに協力的になり、時としてスタート地点及びゴール地点をも引き受けた。


 そう云った細かい政策を打ち出し、評判は悪くなかった。

 国際関係も恙無く行ない、特に水帝国との和解に力を注いだ。だが、一代で成すのは中々の難事だと思われた。一方で水帝国の国自体の施策として、風神国との和解は望むところであった。

 そこで、アイヲエルを敵対視しているウィニーの水帝王位継承権剥奪と云う施策が取られた。

 鬼の決断と言われたが、ウィニーでは平和で豊かな国を築くことが難しいと判断されたのだ。

 よって、アイヲエル贔屓(びいき)のウィニーの弟が水帝王位に就任した。

 それにより、意外にアッサリと、風神国と水帝国との和解は成った。

 問題は、『八カ国同盟』を成す為に、地底国の反対意見が強過ぎて、中々成らなかった事にあった。

 火王国王も反対意見を述べたらしかったが、例の『騎士姫』がその意見を揉み消して、とりあえず『七カ国同盟』が成し遂げられた。コレが、アイヲエルが初めて勲章を(たまわ)った原因となった。

 王への勲章の授与は、王族OB&OGに因って齎される。


 アイヲエルの老後の愉しみとして、ヴィジーを除く五人の一行で、絶景の写真撮影の為に、光朝国への技術革新への期待と、少しばかりの資金の提供が行なわれた。少しと言っても、国家予算の中からの少しなのである、それなりの額にはなった。

 そして、引退する頃には、フルカラー写真の撮影技術の獲得と、カメラの小型化が進められた。


 一行はまた旅をする。今度は、八カ国の絶景の撮影の為に。

 そうして、アイヲエルは数量限定で絶景七十二景と云う写真集を発行した。

 因みに、立場としては、風神国の公爵と云う高位貴族と云う事になる。

 政治にも干渉出来るのだが、アイヲエルは敢えてそうしなかった。

 どちらかと云うと、ミアイの方が有名人となった。

 その伝記が、『リアル・シンデレラストーリー』と云うサブタイトルを付けられて販売された程だ。

 よって、ガラスの靴を履いていると云うイメージを持たれたので、アイヲエルは逆に寄せて、『アルフェリオン結晶』製の靴をプレゼントした程だ。履いて歩くと疲れると云う理由で、写真を撮られる時ぐらいにしか履かなかったが。それが理由で、壊れやすい靴だと思われたり、王族が婚約指輪の代わりに贈る文化の発祥の元となったりした。

 ミアイは結局、三男七女の子宝に恵まれ、神王妃を退いた後も幸せだったと言われる。実際には、アイヲエルの旅に付き合わされたが。


 ヴィジーは、人知れず消えるように亡くなったと言われる。アイヲエルも、亡くなるならそのような形でと願ったのだった。


 物語を引き継ぐのは、地底国の長女・スター・アースとなる。今後ともよろしく願いたい。

 『〜風の章〜』コレまでとなります。

 次は『〜地の章〜』、スター・アースが目指す、シンデレラストーリーを駆け上がるべく、活躍して行く次第となります!

 果たして、今度こそ『八カ国同盟』が成るか?!

 乞うご期待!


 ※尚、プロットの作成の為、暫く掲載お休みし、完結設定にしておきます!

 掲載の再開をお楽しみに♪♪

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