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八国史〜『新約魔書』世界一のワーストセラー〜  作者: 月詠 夜光
〜風の章〜

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第27話:美徳と大罪

 盛大な土産話を持って帰った光朝国行きの一行。会談には、それなりの時間が掛かるものと思われた。


 先に話を通していた、天星国の農民の件もある、魔空船の件もある、そして何より、旅が終われば一行は帰国し、アイヲエルは風神王の座を要求する心づもりで居た。


 農民はこの(とき)を以て光朝国に受け入れられ、今、モンスターの腸を集めて、堆肥作りに取り掛かっていた。


 そして、光朝国の技師は、王族から一人、派遣されることが決定された。


 問題は、ミアイの嫁入りの件だった。


 アイヲエルは、あと二年は旅をしたいと言った。光朝王は、あと一年を目途に、子作りに励んで欲しいと暗に促した。


 妥協できない時間が双方一年ある。一年半で区切りを付けるのが、落としどころとして良さそうだった。


 ミアイは、光朝王から不便は無いかと問われ、「快適に旅をさせて頂いております」と答えた。ここで正直に、「風神国に一刻も早く帰りたい」と言い出さないところが、ミアイが出来た嫁である秘訣(ひけつ)であった。


 果たして、他の王女に同じ発言が出来ただろうか?正直を言えば後者であることを前提として、正直に言う者が大半であろう。正直は美徳では無いのに。


 美徳と云えば、『七元徳』として、『知恵』『勇気』『節制』『正義』の『枢要徳』に『新約聖書』に見られる『信仰』『希望』『愛』とされるものと、『七つの美徳』として、当て嵌まる天使の名を込めた、『正義』ミカエル、『勇気』ウリエル、『知識』ラファエル、『慎重』ハニエル、『忠実』ザドキエル、『貞節』メタトロン、『愛』ガブリエルとされるものや、『七つの大罪』に対応する、『謙虚』(対傲慢)、『寛容』(対強欲)、『感謝』(対嫉妬)、『忍耐』(対怒り)、『勤勉』(対怠惰)、『節制』(対暴食)、『貞節』(対色欲)と云う説もある。

 又、『七つの大罪』と対比する『七つの美徳』には、それぞれ対応する魔王と天使が居り、『傲慢』ルシファー、『嫉妬』リヴァイアサン、『憤怒』サタン、『怠惰』ベルフェゴール、『強欲』マモン、『暴食』ベルゼブブ、『色欲』アスモデウスと云う魔王と、『忠義』ミカエル、『忍耐』ウリエル、『慈悲』サリエル、『勤勉』サンダルフォン、『博愛』メタトロン、『節制』ラファエル、『純潔』ガブリエルと云う天使の存在の説があるらしい。

 これには諸説あり、曜日に対応して、『日曜日』ミカエル、『月曜日』ガブリエル、『火曜日』ラファエル、迄は共通だが、『水曜日』ウリエル(アニエル)、『木曜日』ラグエル(カマエル、サマエル、スリエル、セラフィエル)、『金曜日』ゼラキエル(ヨフィエル、オリフィエル、サラティエル、イェグディエル)、『日曜日』レミエル(ザドキエル、ザカリエル、バラキエル)の各曜日と対応する天使の名前の他に、イェレミエルと云う第八の天使の存在や、メタトロン、サンダルフォン、ラジエルと云った全く別の天使が代わりになることもあるらしい。


 全く、偶然にも、アイヲエルと云う天使がいなくて、良かったのか悪かったのか……。否、第九の天使として名乗りを上げると云う手もある。

 又、魔王にも第八に『虚飾』としてベリアル、第九に『憂鬱』としてアスタロスの存在があり、第九の天使であり、第十の魔王として、『自由』を司るアイヲエル、と名乗りを上げてしまっても……良いのだろうか?否、魔王でもあるのだから、悪くもあるのだろうが。


 要するに、堕天使なのだ。ぺ天使なのかも知れないが。『自由』なのだから、上がったり堕ちたりも自由自在なのだろう。


 否、昇天してしまっては、未だ困る。だから、今は『自由』と云う大罪を司る魔王・アイヲエル、となる訳である。


 ただ、この『七元徳』とやらを馬鹿正直に信じてはいけない。『信仰』の強制は、坊主、即ち仏教徒を悪魔と見做したり、『オクトーバー』として、出雲の国の『神有月』を悪魔の月と見做したりで、『唯一神信仰』の絶対主義を貫く言い訳であるし、『勇気』を持って戦争を起こす愚か者も居る。『愛』も過剰であれば、最悪、近親相姦(きんしんそうかん)と云う大罪であったりするからだ。『知恵』や『知識』も、詐欺に使っては台無しである。『正義』なぞ勝者の言い訳であるし、だから、『自由』は美徳であると同時に大罪であると認めたのだから。


 『自由』に戦争なんざを起こされては、堪ったものでは無い。


 何が言いたいのかと云うと、『主観』に対して『客観』があるのだから、自分が世界の真ん中だ、なんて思った時点で、傲慢であり、ルシファー確定なのである。

 だから、客観的に見た自分の行いを見直しなさいと云う話だが……、コレ、断じて人のことを責めてばかりは居られない。


 いい加減、『殺人』を『大罪』に含めるべきなのだろうが、あんなにもアッサリと言動一つで人の生命を奪うことが出来るのだと知ると、却って『殺人』と云う『大罪』を避ける事は難しいのかも知れない、と思う。『殺人』を『大罪』扱いする事は、譲れない条件だ。

 即ち、『戦争』も『大規模大罪』である事は譲れない。何が『□らの□日間戦争』だ、何が『□の□日間』だ。金儲けする為に未来をサクリファイスしてしまったのだろう。百歩譲って、未来への警告であると認めても良いが、既に手遅れになりつつある。

 『やはり、こうなる』。そう警告して来た者も居た。

 何がどう転んでも、正しい警告だ。間違いは一つも無い。ただ、諦念(ていねん)の勘を覚えることは、一切否定できない。

 『戦争は、将来的に全て無くなる』。果たして、その予言は正しいものか。


 兎も角、この八ヵ国世界では戦争は起きない。創造者としての予言だが、国が一つ失われれば、その属性が無くなる。それを根拠に、この八ヵ国世界では戦争が無い。


 『新約魔書』であるが故に、属性は八つしかない。『旧約魔書』であった時点で八属性しか創造されていなかったが故に。


 もしもあり得るとするならば、領土の一部の独立化による、新しい属性の誕生であろう。

 その場合、最低でも『時』『空』『電』『磁』『央』の五つが誕生する可能性がある。既存の八属性と加えて、十三属性となることになる。──『王』の数字だ。


 飽く迄も可能性の話であり、予定には無い。だが、可能性だけならば、間違いなくある。


 ただ、そこへ辿り着けるものか、甚だ怪しい。

 もしかしたら、そこまで辿り着く為に、創造主は生かされる可能性もある。

 どうなるものか、見物(みもの)と云えば見物だった。

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