第6話:『闇』の前に
『虎血魔法文字命令』を試している過程で、送冷風機が出来上がり、赤道付近の住人に重宝され、大ヒットした。
経済とは、お金の流通するスピードである。だから、ヒット商品が生み出されると、経済が活性化する。
よって、氷皇小国は『送冷風機バブル』に沸いた。
だが、結局はその特需に沸いたお金は、食糧品を買うために風神国に流れるのである。
風が吹いたら桶屋が儲かる理論である。
そう、結局は食糧品と云う絶対的に必要なものの為には、お金を使わざるを得ないのだ。
実際、風神上王が誕生して以来、風神国からの食糧の支援は、八ヵ小国全てを飢えから救った。
コレは、風神上王の任期は長そうである。その豊かさを他国に分け隔てなく配ったが故に。
これが他の小国の王が上王になって風神小国に命令しても、こんなに上手くは機能しない。
八ヵ小国全体の経済状況が情報として入ってきて、自らの小国の富を分配したから、成り立った現実がある。
しかも、風神王の次は光朝王の上王化と云う事態が待っているのである。嫌でも期待が高まる。
それでも、飯の種になる発明をしたオーディンは、氷皇王からお褒めの言葉を授かった。
施されているのではなく、対等な対価を支払っていると云う事実は、国の矜持に関わる問題なのだ。
傲慢になるのは矜持の持ち過ぎで問題になるが、最低限の矜持を保てない者は、人間として終わっている。
最低限の矜持を持っていたら、法律に反する犯罪は行わない筈である。
法律に反さない犯罪?ソレはグレーゾーンの問題である。出来る事なら避けた方が良いが、それによってしか成し遂げられない事もある。あたかも、グレーゾーンのギリギリを攻める行為を認められて、社会に評価されるかのように。
グレーゾーンも、そのうち法整備されるかも知れないが、ソレを言い出したら、再放送が出来ない映画等が、数多く出て来る。
皆さんは習わなかっただろうか?『曖昧の効用』と云う教育を。
曖昧なものは、曖昧なままで活用する事が、それなりの意味を持つのである。例えば日本の自衛隊のように。
グレーゾーンを全て失くすことは、ほぼ不可能である。だが、いずれ囲碁の決着が着くように、駄目は徐々に埋められて、グレーゾーンが無くなる日が来るかも知れない。
但し、それは『世界の終わり』を意味する。人のマナーが悪くなっていっているが故にグレーゾーンの取り締まりが行なわれるが、マナーの良かった頃、まだ世界に多くのグレーゾーンがあった頃の方が、圧倒的に住みやすかった筈だ。
極一握りのマナーの悪い者の為に、ルールは厳格化されていくのである。
例えば、『飯テロ禁止法』などと云うものが罷り通ってしまった場合、食品の映像や、食品を描写する文章の全てが取り締まり対象となる。ソレで儲けている者も居ると云うのにだ。
だから、やり過ぎは良くない。それ故に、『禁呪』は使用を禁じられる事で、徐々に八ヵ小国世界に豊かさが齎されているのだ。
フライトカーだって、数が増えれば事故の可能性が高くなり、オート制御で事故を回避しても、今度は渋滞が始まる。
好奇心半分で、偶に『禁呪』を放ってみようと云う行為が、最早危うい。
別に、魔法を使うのは『禁呪』レベルの威力を持っていなければならないなんてルールは無い。
適度に、適切な威力で、適切な目的の為に魔法を使えば、ソレで済むだけの話なのだ。
何も、超弩級の魔法を使う必要なぞ無い。
それを、ムーン・ダークと云う天才魔法使いが『風の空間破壊呪』と『八属性全てを行使した空間破壊呪』なんぞを完成させるから、ややこしい話になった。
何と、『闇の空間破壊呪』すら完成させていないのだ。
それは、母親が風神国出身であったから、と云う理由もある。
『空間破壊呪』には、主に四つの側面のどれかを活用することにある。
光の速度を超えてタキオン化するか。風や水がコレに該たる。
限界を超えて凝縮してブラックホール化するか。天、地、光、闇がコレに該たる。
限界を超えて加熱し、新しい宇宙を創造するか。火がコレに該たる。
限界を超えて熱を奪い、『加熱しても絶対零度』と云う状態を作り出すか。氷がコレに該たる。
だから、『八属性全てを行使した空間破壊呪』は、実は四種類の魔法の混合魔法なのだ。
オーディンも、『禁呪』に関しては、行使を禁ずる派閥に入っている。
──寒すぎるからだ。如何に自分の行いそのものが寒いとしても、限度と云うものがある。
ソレを弁えているから、オーディンは『禁呪』の行使に反対の意志を主張するのだ。
人間、分を弁えないとロクな事が無い。
物語世界と現実世界のシンクロ率も高まっている。あたかも、一枚の板の上に置いた沢山のメトロノームが、一度、全てが同じ動きをするようになるのと同様に。
だが、それと同様に、一度シンクロしたら、今度はまた、次にシンクロする時まで、それぞれ別の動きをするようになる。
国政とて、同じことが言えるのだ。一度、政治的腐敗の全てを切り捨てても、また再び誰かが汚職を行なうのだ。
全員が、まるで同じ働きをする事なぞ無い。2割が頑張り者で、2割が怠け者で、6割が普通に働くのだ。
だからと云って、2割の怠けものを排除したら、他の2割が怠け始める。
恐らくは、2割は普段怠ける事で、イザと云うピンチの時に働き者になる為に怠けているのだ。
そうでもなければ、神々が怠け者を創った理由が無くなる。
イザと云う時の為に頑張っている者も居るが、そんな者たちの中にも、特にイザと云う時の為に、2割、普段は本気を出していない者が居る筈だ。
その2割、捨ててしまうのは勿体無い。最低限のトレーニングにも耐え、頑張る為に怠けている者が居る筈だ。
さて。『~闇の章~』に入る前に、一度、全体を直していこう。
それ故、しばらく更新はしない。
ただ、全体を直した後に、『~闇の章~』の展開を考える。
恐らくは、闇に滅するエンドには導かない。bot以外に誰も読んでいないのに、意見を求める方が間違っていた。
修正後は、この記述も消え去るだろう。
だが、今は敢えてこのまま、残しておこうと思う。
乞う、ご期待!




