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第2話 害虫の森
三人いる仲間はみんな地面の上で呻き、真っ青な顔でひどく寒がっていた。
森の中でまさかの出来事だった。
回復役の僧侶まで苦しんでいる。薬草も使い果たした。一日の内に治った端からすぐ病気にかかってこうなった。
幸い、森には病気以外に敵はいない。そうなると、何故あたしだけ無事なんだろう。それを解き明かさないと脱出できない。
あたしと他の仲間の違いを思いつく限り頭の中でまとめてみた。性別と年は? 仲間は男二人に女一人、あたしは女だからちょうど半々か。余り関係なさそう。年はみんな似たり寄ったりの二十代。これも当てはまらないと思う。装備品かな? 武器や防具はばらばらだけど、魔法なんかは全然かかってないし……。食べ物も、同じ保存食だ。
頭を休めるために、あたしは香油のビンを出して顔に塗った。自分だけのささやかな息抜き。
その時、あたしに近づきかかった蚊が逃げていった。これが!?
あたしは苦しむ仲間にとどめを刺し、金目の品を全て奪った。こんな欲深バカどもとやっとおさらばできる。