表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~  作者: 出雲大吉
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/136

第064話 苦労の果てに


「店主、加工というのは具体的に何だ?」


 ウェンディを見て、固まっているおじさんに聞く。


「あ、ああ……乾燥と防腐処理だ。乾燥はそのままで切ったばかりの木は水分を多く含むからそれを除去する必要がある。防腐処理は専用のオイルや防腐剤の塗布だな。ウチでも売ってるが、錬金術師ならニーナの店で売っている材料から錬成した方が儲かる。そうやって処理した木材をウチが買い取るんだ。質や大きさにもよるが、木1本で20万ゼルと思ってくれていい」


 ふむ……防腐処理は問題ないな。

 似たようなものを作ったことがあるし、ニーナに聞けばレシピもわかるだろう。


「ウェンディ、乾燥は?」


 乾燥はどう考えても魔法だろう。

 自然乾燥なんて何ヶ月かかるかわからん。


「そういう魔法もあります。2種類あって、攻撃魔法と便利な生活魔法ですね」


 攻撃魔法は聞きたくないな……

 ミイラにでもなりそうだ。


「便利な方で良いな……店主、根本的なことを聞くんだが、どうやって木を町まで持って帰るんだ? 馬車か何かか?」


 俺、馬車なんか動かしたことないぞ。

 当然、エルシィも……あ、でも、エルシィは田舎の村出身だからあるかも。


「今時、馬車なんか使わねーよ。そういうのは全部、魔法のカバンだ」


 魔法のカバン……まあ、今の時代、物の運搬はそれか。


「俺達も持っているが、木を収納できるほどの容量はないぞ」

「いや、個人で持っているのがすげーよ」


 宮廷錬金術師は支給されるからな。

 そのまま持ち逃げしたやつだけど。


「たまたまな。でも、どうするんだ?」

「そりゃウチが貸し出すんだよ」


 魔法のカバンはものすごく貴重で高価なものなんだがな。


「いいのか? 持ち逃げした方が儲かるぞ?」

「当たり前だが、はいどうぞとは渡さねーよ。ウチの若い者に持たせて一緒に行ってもらう。もしくは、加工が終わったら呼べばいい」


 そういうシステムなわけね。


「あれでしたら私が同行しても良いですよ。森に行くなら材料の採取にもなりますからね」


 ニーナが立候補する。


「あー、それでもいいな。どうせだし、案内してやれよ」


 カルロも親父さんもこのおじさんも案内してやれよって言う。

 なんか血を感じるな。


「レスター先輩、どうですか?」


 ニーナが聞いてきたのでエルシィを見ると、無言で頷いた。


「じゃあ、そうしようかな。こういうのも経験だし、やってみようと思う」


 将来、店を出す時にこういう経験は必ず役に立つはずだ。

 ポードでのイレナと一緒にした商売も勉強になったし。


「助かるぜ。木材なんかいくらあっても足りないからな。ニーナ、準備をしておくから夕方にでも取りに来てくれ」

「わかった。じゃあ、2人共、次に行こうか」

「ああ」

「わかったー」


 俺達はニーナと一緒に店を出る。

 その際にウェンディがおじさんに手を振ったのだが、おじさんはぽかんとした顔で手を振り返していた。


「ニーナ、次はどこだ?」

「上ですね。頑張りましょう」


 ニーナがそう言って両方のこぶしを握ると、俺とエルシィが同時に上り坂を見る。

 この位置はまだ三分の一くらいであり、上はまだまだある。


「エスカレーターとかないのか?」

「何ですか、それ?」


 あるわけないわな。


「いや、なんでもない。行くか」

「はい。こっちです」


 俺達はこの場をあとにし、坂道を登っていく。

 ニーナは慣れているのかすいすい登っていっているのだが、俺とエルシィは若干、遅れだした。


「この町に住んだら体力が付きそうですね」

「もしくは、引きこもりになるかだな」

「あ、そっちっぽいです」


 だよな……


「大丈夫です?」


 待ってくれているニーナが心配そうに聞いてくる。


「お前はすごいな」

「ニーナちゃん、細いのにどこにそんな力があるの?」


 ホント、ホント。


「慣れ? 坂道は登り方があるんだよ。軽く前かがみで歩幅を小さくする感じ。それでだいぶ違うよ」


 ほうほう。


 俺達は言われたとおりに坂を登っていく。


「何か変わったか?」

「全然」


 だよな?


「すぐにはわからないよ。でも、やるのとやらないとでは今日の夜と明日の朝が違うからやっておいた方が良いよ。あと、寝る前にマッサージを忘れないでね」

「「はーい」」


 俺達はその後も休憩しながら登っていく。

 そして、ようやく頂上の広場に着いた際には息が切れていた。


「あー……疲れた」

「せんぱーい……帰りはお姫様抱っこしてー」

「お前を傷つけたくない」

「落とさないでくださいよ……」


 そのまま坂道を転がっていき、大惨事になる気がする。


「お疲れ様。2人がそんなになってまで見せたかったのはこの風景。後ろを見てごらん」


 ニーナに言われて後ろを振り向くと、そこには一面の海と町並みが一望できた。

 中腹で見た時よりも圧倒される光景であり、海の偉大さをこれまでかというくらいに感じることができた。


「「「おー……」」」


 俺達は声を揃えてその風景を見ていく。

 疲れが消えるように感じるほどの絶景だ。


「ウチの町の最大の観光スポットね。たくさんの船が通るし、いつまでも見ていられると評判。特に夕方が綺麗でものすごくロマンチックになる。色々あって、ここはキス禁止になっている」


 ニーナがそう言って指差した先には【公序良俗の維持のため、公共の場における接触的愛情表現はご遠慮いただきますようお願い申し上げます】と書かれた看板があった。


「何があったんだ……?」


 絶対にキスで止まってないだろ。


「しっ、聞かない方が良いです」


 それもそうか。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

【予約受付中】
~書籍~
~3/27発売予定~
覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

【現在連載中の作品】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
返しが逸品過ぎて好きw
〉「せんぱーい……帰りはお姫様抱っこしてー」 〉「お前を傷つけたくない」 重くて落としそうだから断るのを上手く言い換えていてウケるwww
丘の上の広場で一体ナニが有ったんだ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ