第140話 エンジェル!
「ふーん……まあいいわ。北、東、南が農地なんだな」
広すぎて見切れている。
「列車で来られたんですよね? でしたらわかると思いますが、畑が延々と続いている感じです」
確かにそんな感じだったな。
よく管理できるもんだわ。
「それで湖の南にあるのがさっき言ってた森か」
「はい。まあ、湖の周りも森なんですが、町の南西に森へ行ける門と道があるんですよ。この森が良い薬草が採れると評判なんです」
ふむ……
「魔物は出るのか?」
「魔物が出ない森なんてありませんよ。でも、安心してください。ちゃんと冒険者や兵士が定期的に狩っていますし、奥に行かなければ危ない魔物は出てきません。御二人は魔術師(見習い)でもあるんですよね? でしたら大丈夫ですよ」
ふーん……
「どうする?」
エルシィを見る。
「イパニーアからずっと列車の中でしたし、ちょっとお散歩がてらに行っても良いと思いますよ。遠くないですし、ちょっと薬草や毒草を拾って、戻ってくれば良いと思います」
それもそうだな。
「魔法のレッスンでもします?」
ウェンディが手を上げて、提案してきた。
「それもあったな。じゃあ、行ってみるか……」
「ぜひともお願いします」
受付嬢がそう言って頭を下げたので仕事をすることにし、階段を下りた。
そして、ギルドから出ると、地図を見ながら南西の方に向かう。
「先輩、先に昼食にしませんか?」
「それもそうだな。どこかの店に入るか……」
どこがいいかな?
「エンジェルシックスセンスによると、あの店が良いと思います」
ウェンディが右の方にある店を指差した。
「あそこが良いのか?」
「間違いないです」
ふーん……
「じゃあ、そこにするか」
「行きますか」
俺達はウェンディが指定した店に入る。
店の中はいくつかのボックス席とカウンター席があり、まだ昼前だが、すでに半分くらいは埋まっていた。
「いらっしゃいませー。空いている席にどうぞー」
ウェイトレスが笑顔でそう言うので空いている窓際のボックス席につく。
すると、ウェイトレスがメニューと水を持ってやってきた。
「ただいまランチをやっております。お好きなパスタを選んでもらったらスープとサラダ、それとデザートのアイスが付いてきます」
それだな。
「俺はランチにするけど、どうする?」
「私もー」
「私もです。パスタは何がいいかなー?」
ウェンディがうきうきでメニューを開く。
「…………パスタはこの中からお選びください」
ウェンディを見て一瞬固まったウェイトレスだったが、すぐに笑顔を取り戻し、ウェンディが開いているページのパスタコーナーを指差す。
「ふむふむ。では、私はこの茄子とひき肉のパスタで」
「私はー、トマトと鶏肉のやつでー」
「俺もそれでいい」
美味そうだし。
「かしこまりました。少々お待ちください」
ウェイトレスがメニューを下げ、キッチンの方に向かった。
「それにしてもさっきのギルドでは至れり尽くせりでしたねー」
エルシィが苦笑いを浮かべる。
「多分、ルビアの受付嬢がメッセージでも書いてたんだろ」
やっちゃいました的な。
「さっきのギルドの方、冒険者カードを見て、ものすごい感情の変化でしたよ。後半は焦りがすごかったです」
感情が読めるウェンディがしみじみと言う。
「そんなに気にしてもないんだけどねー。私達にはメリットだったし」
「信用問題に関わるし、ギルドのスタンス的に良くないんだろ。今回は良い方向に行ったが、同じことをされて悪かったらもうギルドは使わないからな。そんでもって、そういう噂は回るのが早い」
まあ、俺達は言いふらす相手がいないんだが……
「結果的にはVIP待遇ですし、良いこと尽くめですねー」
「買い取り額が1.5倍で高級宿屋は無料だもんな。ちょっと楽しみだわ」
「ですねー。あ、来ましたよ」
ウェイトレスがランチのパスタセットを持ってきた。
そして、テーブルに並べていく。
もちろん、エルシィの隣にいるウェンディの前にも置いた。
「お待たせしました。どうぞ、ごゆっくりー」
すべての料理を並べ終えたウェイトレスはちらちらとウェンディを見ながらキッチンの方に向かった
「いただきまーす」
「美味しそうですねー」
2人が食べだしたので俺もパスタを食べる。
パスタはじっくり煮込まれたトマトのコクと柔らかく煮込まれたジューシーな鶏肉が驚くほどに合い、非常に美味しい。
「美味いな」
シンプルな組み合わせだと思うが、いくらでも食べられそうだ。
「うん。本当に美味しいです」
「ね? エンジェルシックスセンスにハズレはないのです」
「すごいね、エンジェルシックスセンス」
何でもかんでもエンジェルを付けるよな。
俺もアルケミストを頭に付けようか……
よくわからないことを考えながらも次にサラダを食べてみたのだが、これも新鮮で非常に美味しい。
「サラダも美味いな。さっきのパスタのメニューを見た時に思ったが、野菜も豊富そうだな」
このトマトソースも美味いし、ウェンディの茄子も美味そうだ。
「あんな大規模な畑が目の前にありますもんね。小麦を使ったパスタやパンも名物なんでしょうけど、野菜も名産な気がします」
「確かにな」
俺達はその後も美味いランチに舌鼓を打ち、食を楽しんでいった。
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