表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~  作者: 出雲大吉
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

138/152

第138話 (ヤバい! ヤバい! ヤバい!)


 街並みを眺めながら歩いていると、前方に剣が交差する看板が見えてきた。


「あれか?」

「はい。あそこですねー」

「ビルだな……」


 3階建ての建物だ。

 しかも、結構大きいぞ。


「とりあえず、入ってみましょう」

「そうだな」


 俺達は扉を開け、中に入る。

 すると、多くの客がおり、かなり賑わっていた。

 受付も5つあるが、どこも埋まっており、それぞれ客に対応している。

 しかし、剣を持っているような冒険者っぽい人間はおらず、町人や商人っぽい人しかいない。


「ここ、冒険者ギルドだよな? 役所っぽいが」

「冒険者ギルドだと思うんですけど……」


 看板があったしな……


「いらっしゃいませ。本日はどのような用件でしょうか?」


 俺達が眺めていると、50代くらいの初老の男性が丁寧な口調で声をかけてきた。


「旅の者なんだが……ここは冒険者ギルドだよな?」

「はい。冒険者ギルドです」


 うーん……


「冒険者がいないぞ」


 時間的にもう仕事に行っているんだろうが、それでも一人もいないのはちょっと違和感がある。


「旅の方ということですので、まずは当ギルドについて説明させてください」

「頼む」


 他と違うんだろうか?


「このオーレーの町は農作物の生産が盛んです。さらには森や川、あとオーレー湖という大きな湖もあります」

「それを見に来たんだよ」

「素晴らしいですからぜひ見てください……話を続けます。そういった自然が多く、昔から発展してきたこの町は人口も多いですし、畑を含めた町の大きさは国内でも随一です。その分、仕事も多いため、受付を分散させているんですよ」


 森も畑も広いなら魔物や獣も多そうだしな。


「となると、2階、3階にも受付があるのか?」

「ございます。1階が依頼を発注する受付、2階が依頼を受注する受付、3階が相談の受付になります」


 だからここには依頼を出す町人や商人しかいないんだな。

 依頼を受ける側の冒険者は2階だ。


「俺達は着いたばかりで色々と相談をしたいのだが、3階でいいのか?」

「はい。実際には2階が地元の冒険者が利用し、3階が他所から来られた冒険者の方がご利用されるケースが多いです」


 じゃあ、3階だな。


「わかった。3階に行ってみる」

「あちらの階段をご使用ください」


 職員が右側にある階段を指す。


「感謝する」


 俺達は階段の方に行き、上っていく。

 すると、2階も1階と同じような広さで受付があったが、冒険者っぽい人達が多くおり、賑わっていた。


「本当に多いんですね」

「みたいだな。治安も悪くなさそうだったが、ちょっと気を付けよう」

「ですねー」


 俺達はさらに階段を上がると、3階にやってくる。

 3階は1階、2階とは打って変わって人がおらず、受付も2つしかなかった。

 しかも、片方には人がおらず、茶髪の若い女性が1人しかいない。


「寂しいと感じてしまうな」


 1階と2階が盛況だったのでどうしてもそう感じてしまう。


「まあ、他所からの冒険者は少ないでしょうからね」


 俺達は誰もいないフロアを進んでいき、受付に向かう。


「こんにちは! ようこそいらっしゃってくださいました!」


 若い受付嬢が元気に声をかけてきた。


「どうも……他所から来た冒険者なんだが、ちょっといいか?」

「もちろんです! 今ならいくらでもお付き合いいたしましょう!」


 暇なんだな……


「俺達はイラド出身の錬金術師でな、どこかで店を開こうと思って、世界を回りながら資金集めの旅をしているところなんだ」

「新婚でーす」


 エルシィが腕を組んできた。


「あ、そうですか……それはとても素晴らしいことだと思います」


 なんか受付嬢のテンションが下がった。


「それでイパニーアからこのランスに来て、湖を見ようと思ってこの町に来たんだよ」

「イパニーアから来られたんですか? よく来られましたね。現在、あそこは国境が封鎖とまではいってませんが、かなり厳重になっていますよ」


 やはりそこまでいったか。

 早めに抜け出せて良かったわ。


「内乱だったか? 俺達はそれが起きる前後くらいに国を出たんだよ。だから特に止められることはなかったな」


 本当はエルシィの泣き真似で突破したけど。


「それは運が良かったですね。ウチからイパニーアに宝石や装飾品の買い付けに行った冒険者や商人が帰ってこられないみたいなことが起きているようですよ」


 大変だな。

 滞在費だってかかるし、早く帰りたいだろうに。

 でも、反乱軍もオフェリアみたいな庶子を国から出したくないだろうしな。


「俺達は本当に運が良かったみたいだ。それでちょっと聞きたいんだが、いいか?」

「ええ。何でしょう?」

「数日はこの町に滞在しようと思っているんだが、良い宿屋を紹介してくれないか?」

「宿ですね。わかりました。では、冒険者カードの提出をお願いします」


 そう言われたのでエルシィと共に冒険者カードをカウンターに置く。


「情報を漏らすなよ」

「大丈夫ですよ。ギルドは適切な情報管理を行っていますし、漏らす人なんていません」


 ホントか?


「なら安心だ。ちょっと気になってな」

「ご安心ください。では、ちょっと待っててくださいね」


 受付嬢は笑顔でそう言うと、2枚の冒険者カードをじーっと見ていく。


「へー……本当に錬金術師さんなんですね。しかも、どの依頼も完璧でとても優秀のようです」

「どうも」

「こういう人達に来てもらえると、嬉しいですね……ん? はい?」


 受付嬢が目を見開いてカードを凝視する。

 そして、笑顔が消えた。


「どうした? 何か問題でもあったか?」


 情報を漏らしてごめんねとでも書いてあったか?


「い、いえ…………え、えーっと、御二人の前回の仕事ぶりがとても素晴らしいということでVIPになる感じですね」


 ほう?


「たいした仕事ではなかったと思うがな」

「そんなことないですよ。あ、宿でしたね。実はここから西にちょっと行ったところに【銀月の宿】というこの町一番の宿があります」


 一番……


「高そうだな……」

「ご安心ください。実は当ギルドではお客様用に一室借りているんです。そこが空いてますのでどうぞお使いください」


 へー……そんなのがあるんだ。


「無料か?」

「ええ。数日でしたら全然、大丈夫ですよ。あ、新婚さんでしたね? あとでお祝いのワインでも送っておきますよ」


 本当にVIPだな。


「なんか悪いな」

「全然。ぜんぜーんです。冒険者ギルドはレスターさんとエルシィさんのご活躍を祈っております。店を開くんですよね? 素晴らしいと思います。応援しますね」


 受付嬢がものすごい笑顔で拍手してきた。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~

【予約受付中】
~書籍~
~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

~漫画~
~5/12発売予定~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

【現在連載中の作品】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
罠っぽい
な〜んとなく対応が怪しげな。
本文の内容だけじゃタイトルとリンクしないじゃないですかやだー笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ