表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~  作者: 出雲大吉
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

132/152

第132話 まさかの2人きりの夜


「では、ちょっと入ってみますね」


 フリオがいなくなると、オフェリアが立ち上がり、カバンに触れる。


「先輩でも入れましたからオフェリアさんなら大丈夫ですよ」


 めちゃくちゃ狭かったけどな。


「ちょっと怖いですね……」


 オフェリアはそう言いつつ、カバンを開け、中に入ると、膝を抱えるように腰を下ろした。


「じゃあ、閉めますよー」

「お願いします」


 オフェリアが頷くと、エルシィがカバンを閉めていく。

 そして、完全に閉め終えると、カバンの中からバンバンと叩く音が聞こえてきた。


『すみません。開けてください』


 その声を聞いたエルシィがカバンを開ける。


「どうでした?」

「想像以上に怖いです。しかも、これが動くんですよね?」


 運ばないといけないから当然だ。


「そうなりますね」


 動くと、あちこちにぶつかるから結構、痛かったりする。


「オフェリア、当たり前だが、声を出すのも不用意に動くのもダメだぞ。怪しまれた時点でアウトなんだ」

「わかっています。わかっていますが……すみません。何分、経験がないもので」


 あるわけがない。

 俺以外にな。


「どうする?」


 エルシィに聞く。


「いっそ寝てもらいますか?」


 あー、それが良いかも。


「オフェリア、俺達は睡眠薬も作れる。それで寝ておくっていうのはどうだ? 気付いたら脱出に成功して、列車のベッドの上だ」

「良いかもしれませんね……動いたり、声を出したりしないか不安ですし、正直、寝てたらすべて終わっているというのも魅力的です」


 ウェンディが言うには緊張状態らしいからな。

 まあ、人生がかかっているから仕方がないが。


「じゃあ、それで行こう。早速、作るわ」


 テーブルに戻ると、睡眠薬を作り始める。

 幸い、手持ちの材料だけでできるので特に買い物をすることもなかった。

 そして、そのままウェンディを含めた4人で過ごしていると、夕方くらいにフリオが戻ってくる。


「どうでした?」


 テーブルについてお茶を飲んでいるオフェリアが聞く。


「駅で検問をしている兵士達を見てきたよ。まずだけど、昼にエルシィさんが言っていた特徴の女性を止めていた。やはり兵士達が探しているのはオフェリアと見て、間違いないと思う」

「そうですか……第一王子ですかね? あ、いや、そこはいいです。検問はどんな感じでしたか?」

「女性は別室に連れていかれたのでどんな検査をされたのかはわからない。とはいえ、女性兵士による身体検査だと思う」


 さすがに分けるわな。


「それをされると私はマズいですかね?」

「おそらくは……しかし、そういう女性じゃない者は割かしスムーズだったよ。特に夕方になると、徐々に人が増えだして、不満を言う商人も多かったし、騒動になりそうな空気だったんだ」


 商人は不満を言うだろうな。

 時は金なりって言うし。


「なら結構。当初の予定通りに行きましょう」

「わかった」


 俺達は方針が決まったので下に降り、夕食を食べると、各々の部屋に戻り、ゆっくりと過ごしていく。


「エルシィ、本当にいけるか?」

「大丈夫ですよ。私に任せてください」


 エルシィは自信満々だ。

 まあ、そういうのが得意な人間だ。


 俺達はその後も部屋で過ごしていき、順番に風呂に入ると、時刻は夜の11時を回った。


「さて……エルシィ、俺はちょっと確認してくる」


 ベッドの上でウェンディと遊んでいるエルシィに告げる。


「わかりました。私も気になりますのでお願いします」

「何ですか?」


 ウェンディがエルシィを見上げる。


「教えてあげる。えーっとね……」


 エルシィがウェンディに話し始めたので部屋を出ると、隣の6号室に向かう。

 そして、扉をノックした。


『……はい?』


 フリオの声だ。


「レスターだ。ちょっといいか?」


 そう聞くと、扉がゆっくり開き、フリオが顔を見せる。


「……どうしました?」


 フリオは小声だ。


「……オフェリアは?」

「……もう休まれております」


 そうか……


「……作戦実行の前の夜だし、男同士で飲まないか?」

「…………ちょっと待ってください」


 フリオはそう言って、扉を閉めた。

 そのまま待っていると、扉が開き、フリオが出てくる。


「行きましょうか」

「ああ。下でいいだろ?」

「はい」


 俺達は下に降りると、受付のおばさんにワインを頼んで食堂に入る。

 食堂は誰もいなかったので一番奥のテーブル席についた。

 そのまま待っていると、おばさんがワインとグラスを持ってきてくれたので乾杯をし、ワインを一口飲む。


「美味いな」

「ええ。よく考えたら久しぶりな気がします」

「普段は飲まないのか?」

「オフェリアは下戸でして、飲みにくいんですよ」


 気を遣う男だわ。

 良いことなんだけど、過剰すぎる気もする。


「そうか……たまには飲めよ」

「そうします……それで話があるのでは?」


 まあ、用件もなく、俺が誘うとは思わないわな。


「お前の意思を確認したくてな……」

「どういうことでしょう?」

「俺達の仕事はオフェリアを連れて、国を出ること。だが、お前の意思を聞いていない」

「もちろん、私も出ますよ」


 フリオがはっきりと頷く。


「本当か?」

「ええ」

「オフェリアの情報を漏らしたのはお前だろ」


 そう告げてもフリオは表情を変えない。


「何故、そう思ったんですか?」

「違うって否定しろよ」

「ここで即座に否定する方が怪しいですよ」


 フリオが苦笑いを浮かべた。


「それもそうか……じゃあ、言おう。俺もエルシィもこの依頼に1つの大きな疑問を持っていた」

「言えばいいじゃないですか」

「お前の意思がわからなかったからだ」


 だから聞かない方が良いと判断した。


「そうですか……その疑問とは?」

「オフェリアを国から出したいのはわかる。しかし、それがなんでこのルートなんだ? どう考えても南のペインからの海路が一番早いし、確実だろ。それこそ反乱が起きる前に国から出られる」


 誰しもが思うことだ。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~

【予約受付中】
~書籍~
~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

~漫画~
~5/12発売予定~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

【現在連載中の作品】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
両想いじゃないの
うわー ドキドキ展開 鬱はイヤン どうなるのかな〜
なんてこったー^^ そういえばそうだな、海路でいけばよかったんだー。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ