表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~  作者: 出雲大吉
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/136

第013話 ベッド最高!


「お前が行きたいならそこに行ってみるか……運賃は3等の個室で1人80万ゼル……」


 個室で一番安いのが3等になる。

 2等は100万ゼル、1等は150万ゼルだ。


「わかってましたけど、高いですね。いっそ自由席にします? 60万ゼルですけど」


 差額の20万ゼルは大きい。

 とはいえ、ポードまで1日以上かかるし、他の客と雑魚寝になる自由席はな……


「いや、個室がいいだろう」


 俺1人なら自由席にする。

 しかし、エルシィがいるなら無理だ。

 この世界はけっして治安が良いとは言えないし、女性がいるなら個室一択だ。

 それにおしゃべり人形もいるし。


「では、3等の個室ですね……2人で160万ゼル……先輩、大丈夫ですか? すでに100万ゼルも払ってますけど」


 ここに来るまでが高かった。

 とはいえ、本来なら俺の分もかかるからその倍は必要だった。


「ああ。残り180万ゼルはあるから問題ない」


 残金が20万ゼルか……


「私の分は私が払いますよ」

「お前、正直、いくらもってる?」

「すみません。100万ちょっとです。節制はしているつもりなんですが、良いところに住んでましたし……」


 エルシィが住んでいたところは治安が良い地区であり、防犯面もしっかりしていたアパートだったから家賃が高かった。


「いい。そもそもそのアパートを勧めたのは俺だ」


 エルシィが就職する際に一緒にアパートを見たのだが、色々と心配だったのだ。

 金を持っている女の1人暮らしなんて危ないに決まっているし、ましてや、エルシィは可愛らしく、モテそうなうえに小柄で弱そうなのだ。


「やっぱり一緒に住むべきでしたよー」


 そういう話もしたな。


「まあ、済んだ話だ。しかし、ポードに行くと、俺が100万でお前が20万しか残らないのか」


 2人で120万。

 かなりあると言えばあるが……


「当分は宿屋暮らしでしょうし、何もしなければ3ヶ月もてば良い方ですかね?」

「そんなもんだな。まあ、その辺は着いてから考えよう。資金を使うのは痛いが、まずはここから離れることだ」


 重要なのはそこ。


「そうですね。明日は……おー、8時発です。早いですね」


 8時に出発し、翌日の朝9時に到着予定となっている。


「さっさと離れたいからちょうどいいけどな。寝坊するなよ」

「先輩が起こしてくれるから大丈夫でーす」


 そういや同室だな……

 まあ、どっちかが起きるだろ。


「じゃあ、今日は早めに寝るか」

「そうしましょう。先輩はもっとでしょうけど、私も足を伸ばせて寝てないので疲れました。ウェンディちゃんはグースカ寝てましたけど」


 まあ、そいつは小さいから関係なく寝られるわな。


「そんなことないですよ。お布団の方が気持ちよかったです」


 ウェンディが両手を上げてアピールする。


「良かったな。エルシィと寝ろ」

「そうします。じゃあ、寝ましょうかー」


 ウェンディはふよふよとベッドまで飛んでいくと、掛け布団をめくり、横になった。


「シュールだな……」

「ちょっと気になりますね……」


 人形が行儀良く布団に入っているのはなんかちょっと怖い気もする。


「お気になさらずに。御二人も寝たらどうです?」

「そうだな」


 ワインも飲んだし、寝るか。


「あ、先輩、寝る前にちょっと良いですか?」


 立ち上がろうとしたらエルシィが止めてくる。


「何だ?」

「エリクサーです。作れるようになったんですよね?」


 そのことがあったな。


「ああ。薬草と水でポーションを作ろうとしたらエリクサーが作れる。おかげでポーションが作れなくなってしまった」


 錬金術の基礎であるポーションが作れない錬金術師になってしまった。


「ポーションがエリクサーになるっていうのもすごいですね……」


 とんでもなくな。


「ただ、かなり魔力を消費する。俺が部長にエリクサーを見られたのもエリクサーを作ったら魔力切れを起こし、気絶してしまったからだ」

「なるほど。エリクサーですもんね……」


 俺とエルシィは同時にベッドの方を見た。


「ごめんなさい。その辺の調整はしていませんでした」


 まあ、ウェンディや神を責めることはしない。

 もうだいぶわかったことだが、こいつら、かなりいい加減だし。


「再調整はできるか?」

「無理です。与えた技能はもはやレスターさんの一部です。それを切り取ると、記憶の喪失や人格破綻が起き、最悪は脳が処理できずに廃人化も十分にありえます」


 ほら、いい加減だ。


「何をしても記憶の喪失や人格破綻が起き、最悪は脳が処理できずに廃人化かい……」

「やめてほしいですね」


 ホントだよ。


「まあ、もらったことはありがたいことだし、有効に使わせてもらうさ」

「1個作るだけで魔力切れを起こすんですよね? 大丈夫ですか?」

「そこは問題ない。量産は厳しいだろうが、1回作ったらだいたいの魔力消費量もわかったからな。もう調整できる。見てろ」


 カバンから薬草と共にコップを取り出すと、洗面所に行き、水を入れた。

 そして、テーブルに戻ると、水が入ったコップに薬草を入れ、錬成を始める。

 すると、とんでもない脱力感が襲ってきたが、なんとか耐える。


「おー……」


 錬成を続けていくと、水と薬草入りのコップが光り出し、徐々に収まった。


「どうだ?」


 テーブルの上には虹色に輝く液体が入ったフラスコがあった。


「これがエリクサー……文献にあるように本当に虹色なんですね。しかも、神秘的な感じがしますし、明らかに普通じゃないです。これを見たら部長もただ事ではないと思いますね……」


 事実、そう思った部長は俺の言い訳を一切、聞かなかった。


「エルシィ、これはお前にやる」

「……え? 伝説の薬ですよね? もらえませんよ」

「伝説の薬だが、薬草と水で作れるものだ。さっきも言ったが、保険で持っておくべきものだし、何かあったら躊躇なく使え。これはそういう使い方をする」


 もったいないと言って躊躇してはダメだ。


「先輩の分は?」

「魔力が回復したら自分の分も作る。まずはお前だ」


 お前、弱そうだし。


「おー……愛ですね」

「そうそう」


 愛だよ、愛。


「わかりました。しかし、疑うわけじゃないですけど、本当にどんな怪我も病気も治るんですかね?」


 伝説だからわからんな。


「ある程度のストックができたらそういった検証もいるかもしれんな」

「それもそうですね。いくら材料が薬草と水でもかなりの魔力を使う様ですし、湯水のようには使えません」


 そうしてほしいね。

 今も結構、眠気がヤバいし。


「見られないことっていうのにも注意が必要だ」

「確かにそれもありますね。これは魔法のカバンにしまってきます。この虹色に輝いている感じが目立ちすぎですし」


 エルシィがエリクサーを自分の魔法のカバンにしまった。


「それがいい。その辺の対策も今後、考えていこう」

「はい。じゃあ、今日は寝ましょうか。ウェンディちゃんはもう寝てますし」


 ベッドの方を見ると、ウェンディが目を閉じてすやすやと寝ていた。


「そうするか」


 俺達はそれぞれのベッドに行き、布団に入る。

 なお、エルシィは真ん中に陣取って寝ているウェンディを横にずらした。


「じゃあ、先輩、おやすみなさい」

「ああ。おやすみ」


 灯りを消すと、目を閉じる。

 すると、魔力をかなり失ったため、あっという間に意識が遠くなっていった。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

【予約受付中】
~書籍~
~3/27発売予定~
覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

【現在連載中の作品】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
そっか、作る量調整すればええか ゲーミングポーションを飲むのは少し勇気がいるかなw 布に付けて湿布とか 何かに染み込ませるか蒸発させて錠剤とかに出来ると捗るけど 何処まで加工出来るかな?
翌朝寝坊しそうな疲労感
外から中身が見えない入れ物に移し替えた方がいいね。 後できれば二人とも1本ずつは先に飲んでおいて今後も年1回とか定期的に飲むようにした方がいいかも。 これで下手に医者にかからずとも良くなるし。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ