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宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~  作者: 出雲大吉
第3章

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120/153

第120話 王都最後の夜

本年もよろしくお願いいたします。


 店を出た俺達は職人街を出て、ギルドに向かった。

 ギルドはまだ16時過ぎということもあり、他の客の姿がない。


「空いててラッキーだな」

「ですね」


 俺達は馴染みの受付嬢のもとに向かう。


「こんにちは。仕事は終わりましたか?」


 受付に行くと、受付嬢が笑顔で聞いてきた。


「ああ。店にあった鉱石を全部錬成し終えた」

「それは素晴らしいですね。冒険者カードをお願いします」

「ああ」

「はーい」


 俺達はカウンターにカードを置く。


「それでは少々、お待ちください」


 受付嬢が俺達のカードを持って、奥の扉に向かった。

 そして、部屋の中に入っていったのでその場で待つ。


「今日の晩飯はどうする?」


 待っている間にエルシィに聞く。


「王都最後の夜ですし、宿屋の食堂で食べて、部屋でゆっくりしませんか?」

「それが良いな。明日は……あー、駅で時刻表を確認しないとな」

「そうですねー。あ、でも、受付の人が知ってませんかね?」


 ルビアまでの時間を知っていたし、知っているかもな。


「聞いてみるわ」

「そうしましょー」


 俺達が話しながら待っていると、受付嬢が部屋から出てきて、こちらに戻ってくる。


「お待たせしました。まずは冒険者カードをお返しします。こちらに今回の仕事を含めた実績が反映されております」


 受付嬢が冒険者カードを返してくれる。

 カードの表裏を確認するが、やはり何かが書いてあるようには見えない。


「どうも」

「次にこれが昨日言っていた推薦状です。ルビアのギルドに着いたら誰でも構いませんから渡してください」


 受付嬢が今度は推薦状が入っているであろう封筒を渡してきたのでカバンにしまった。


「感謝する。言っていた通り、明日にはここを出る。それでちょっと聞きたいんだが、ルビア行きの列車の発車時刻を知らないか?」

「えーっと、少々、お待ちを……あ、ありましたね」


 受付嬢がカウンターの下から紙を取り出す。


「時刻表か?」

「ええ。運搬の仕事も多いですからそういう問い合わせもあるんです。えーっと、ルビア行きは9時、11時、14時、16時になりますね」


 9時か11時だな。

 早く起きられたら9時で寝坊したら11時だ。


「わかった。助かる」

「いえ。ルビアでの活躍も期待しております」


 受付嬢がにっこりと微笑んだ。


「なあ、それともう1つ聞いていいか?」


 他に客がいないので聞いてみようと思った。


「何でしょう?」

「この国の政変についてだ。イラドにいた時に新聞で読んだ程度なんだが、何があったんだ? 街中を見る限り、そんなに庶民への影響はなさそうだが……」


 これは確認しておきたい。


「あー、それですか。確かに一般市民に影響はありませんね。まあ、単なる後継者争いですよ。先代の王が昨年からずっと体調を崩してたんですが、数ヶ月前についにお隠れになったんです。それで次の王を巡って第一王子と第二王子が争ったわけですね。争いは第一王子が勝ったんですが、第二王子側が粛清されたんです。それでちょっと王都が騒然としましたし、荒れました。とはいえ、もう元通りになってますよ。第一王子と第二王子は仲が悪いことで有名でしたし、正直、第二王子の方が優秀と評判で先代の王からも期待されていました。それで恨みがあったんだと思います」


 こう言ったらなんだが、よくある後継者争いだな。

 粛清はちょっとやりすぎな気がするが。


「そうか……特に検問とかはないよな?」

「ないと思いますよ。もし、あったとしても冒険者カードを提出してください。それで大丈夫だと思います」


 問題なさそうだな。


「わかった。世話になったな」

「ありがとうございましたー」


 エルシィと共に礼を言う。


「いえ、こちらこそ仕事をしていただきありがとうございました。また立ち寄った際は当ギルドをご利用ください」

「ああ。そうするよ。じゃあな」


 俺達はギルドを出ると、宿屋に向かった。

 そして、少し早めの夕食を食堂で食べると、2階の部屋でゆっくりと休む。


「昨日、今日とバシリオさんやダナさんから良い話を聞けましたね」

「そうだな。非常に参考になったし、なんかぐっと近づいた気がする」


 90万ゼル儲かったことよりも金言だった気がする。


「実際、援助を申し込むのはどう思いました?」

「悪くないと思う。知らない奴に頼むのは避けるが、例えば、ポードのイレナやターリーのカルロとニーナに紹介してもらうという選択肢もあるわけだ」

「確かにそうですね。大金かもしれませんが、コツコツ返済していけると思います」


 俺とエルシィならそれができると思う。


「ただ、貴族はないなって思っている」

「私も同感です。どうしても学校や職場で一緒だったいやーな貴族が頭に浮かびますし」


 ホントにな。

 もちろん、世界には民のことを考える良い貴族もいるんだろうが、俺達が信用できない。

 それだけ貴族社会のイラドでは貴族の横暴が目立っていたのだ。


「色々回ってみよう。バシリオさんやダナさんみたいな出会いもある」

「そうですね。これまで3つの国に行きましたが、どこでも良い出会いはありました」


 イレナにカルロとニーナ。

 確かにそうだ。


「よし。明日からはルビアの町だ。ちなみにだが、9時と11時だったらどっちがいい?」

「ぱぱっと行きましょうよ。9時ですね」

「私もそう思います」


 ウェンディも同意する。


「じゃあ、9時な」


 いつも朝はごねるが、起きられるかね?

 特にウェンディ。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
今回の故郷からの密偵は何が理由で不発になるか楽しみ
新年あけましておめでとうございます。 今年も一層のご活躍を期待してます。
ウェンディはポッケにねじ込んでいきましょう。
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